河南省の被害と習近平の苛立ち

今日はこの話題です。
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1.中国河南省の記録的豪雨


先日の、中国河南省の豪雨が大きな被害を出しています。

省都・鄭州の主要幹線道路である京広路の「京広北路トンネル」と「京広南路トンネル」は、20日の集中豪雨で短時間で殆ど水没というくらいに冠水しました。

22日にはトンネルにたまった水を吸い上げる作業が始まり、24日までに4人の遺体を収容、200台以上の車が搬出されたとしています。

河南省当局によると、省内で27日、死者71人、行方不明5人、被災者1330万人に上るとしているようです。




2.脆弱なインフラ


件のトンネルについては、地上の道路よりも低い場所にあるため洪水被害には脆弱であると指摘されていました。アメリカのニューヨーク・タイムズによると、中国の専門家グループが2011年当時建設中だったこのトンネルについて「低地にあるため、滞留した水による池が頻繁に形成される」と指摘する技術論文を発表していたそうです。

にも拘わらず、トンネルはそのまま建設され翌年に開通。当局は「50年に一度の大雨」を想定した排水システムが備わっていると説明していましたけれども、「1000年に一度」の大雨は想定していなかったということなのでしょう。

それにしても、50年に一度の大雨を想定して、1000年に一度の大雨がきたというのに、死者71名というのが驚きです。もちろん筆者はこんな中国当局の発表など微塵も信じていません。

ネットに上がっている、現地の動画などでは、幹線道路は水没し運河になっている様子が映し出されています。実際の被害は、当局発表よりも、はるかに多いのではないかと思います。

ネットでは、豪雨災害直後の河南鄭州市は停電し、電子決済不可。タクシーの8割がEV車で行動困難。シェア自転車、シェア移動充電器はバーコード式で読み取れない。ネットで予約したサービスは現地で反映されないなど、IT難民が現れたなんて書き込みもあります。

一見先進的なように見えても、なんでもかんでも電気に頼ることの脆弱性が垣間見えます。




3.当局対応に批判相次ぐ


脆弱なのはインフラだけではありません。当局や中国メディアもそうです。

記録的豪雨にも拘わらず、市政府は出勤停止など具体的な注意喚起もせず、市内のダムの放水についても、放水翌日未明になってようやくSNSで公表したのだそうです。

また、被害が出ていた20日夜、省政府系の地元テレビ局は「抗日ドラマ」を放送を続けていたそうで、「少しでも人間性があるなら、災害対策情報を放送すべきだ」と批判されています。

更に、人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は17日、すでに100人超が犠牲になっていたドイツの洪水について「西側諸国の統治レベルに対する信頼感が揺らぐ」などと投稿する一方で、河南省の水害に対しては「極端な天気で水害は避けようがない」とダブスタ発言を行い、こちらも「憎まれ口をはやめろ」などと批判が殺到しています。

当局もメディアも責任追及を恐れ、都合の悪い事はひたすら隠そうとしているようにしか見えません。




4.まさか仕事をしなくなるということではあるまいな


今年6月、中国共産党中央文献研究室が「習近平 関于全面従厳治党論述摘編(全面的な厳しい党治 ダイジェスト版)」という習近平国家主席の腐敗摘発に関する発言を抜粋した文書を発刊しています。

それによると、1月22日、習近平国家主席は、党中央規律検査委員会の第5回全体会議で、党幹部らの仕事ぶりについて「責任感の欠如」「怠惰」「苦しさや困難を嫌がっている」「おざなりにやって責任を逃れている」などと不満を表明し、「党中央委員会の指示をそのまま繰り返して臨機応変に対応できない者、党中央委の文書による指示を待ってから動く者、指示がなければ動かない者がいる……私が文書指示を出すのは、最後の一線を守るためだ。私がそれを出さなければ、まさか仕事をしなくなるということではあるまいな?」と叱責したそうです。

これについて、中国政治と法律に詳しいオーストリア・ウィーン大のリン・リー教授は、「党首脳部からの指示は、党の方針や規則よりも強制力がある。なぜなら、それらは特定の問題について、指定された機関や担当者に対処するよう求めているからだ。この慣行は、2019年に採択された党の通達によって強化された。そこには、どのような状況になれば、幹部たちが上司の指示を仰いで意思決定すべきかが明記されている……また、習近平氏から個人的な指示を受けた者は、その実行に向けた作業の進捗状況を報告するよう規定されている」と党幹部の萎縮ぶりを説明しています。

また、アメリカ・シカゴ大学の楊大力教授も「習近平氏が文書による指示に依存しながら官僚機構を厳しく管理しているため、官僚はリスクを取ることを嫌うようになった……習近平氏とその仲間たちは、たくさんの文書による指示を出しており、人々はそれを待つのが自然になっている。反腐敗運動と政治的な教化によって、習近平氏は党全体を支配下に置くことに成功したが、その結果、みなが非常に用心深くなっている」と分析しています。

つまり、習近平主席の「一強支配」が長期化し、次々と出される文書指示がますます重要となり、幹部は徹底して「指示待ち族」となることでリスク回避を図っているということです。

習近平主席はこうした態度に不満を示した訳ですけれども、トップが殆どの権限を握る独裁政治になれば、こうなるのも当然の帰結です。

それを背景に、今回の豪雨災害を振り返ってみると、既に当局が「指示待ち族」であったがために、却って被害を拡大させた可能性も拭えません。その後の隠蔽もまた然りです。

7月28日のエントリー「東京五輪の成功は北京五輪のカードになるか」でも少し触れましたけれども、こんな状態で北京冬季五輪がまともに運営できるのか。

徐々に盛り上がりを見せている東京五輪がどういう結末を迎えるのか分かりませんけれども、その出来如何では、習近平主席に対する大きなプレッシャーになるのではないかと思いますね。


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