香港国家安全法制定採択

今日はこの話題です。
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1.香港国家安全法の制定を採択


5月28日、中国は全国人民代表大会(全人代)で、「香港国家安全法」の制定方針を採択しました。

採択結果は賛成2878、反対1、棄権6で、方針には「外国勢力が香港に干渉することに断固反対し、必要な措置をとって反撃する」と明記されました。

李克強首相は全人代後の記者会見で「決定は一国二制度を確保して香港の長期繁栄を守るものだ」と述べました。今後、6月にも全人代常務委を開き、立法作業を進め、9月までに成立する見通しとされています。

こうした動きを見据え、アメリカは反発・ポンペオ国務長官は、前日の5月27日、香港人権・民主主義法に基づく議会報告に関する声明で「私は議会に対し、香港が1997年7月以前に米国法が適用されていたのと同様の扱いに値しないと認定した」と言明。「道理をわきまえた人なら、現状を鑑みて香港が中国からの高度な自治を維持しているとは誰も断言できない」と、宣言しました。

香港人権・民主主義法は、2019年の香港の逃亡犯条例改正案によるデモ騒動に対し、中国大陸への容疑者引渡しに関する香港政府の主要官員を牽制するため、昨年11月に成立した法案で、アメリカ国務省に対し、香港の高度な自治を保障した「一国二制度」が機能しているかどうかを検証する年次報告書を作成するよう義務づけたものです。

ポンペオ国務長官の発言は、香港にはもはや「高度の自治」が保障されていないとの認識を示したものであり、これまで「一国二制度」に基づき、関税やビザ発給などで香港を中国本土より優遇していた前提が崩れたと宣言したことになります。

同じく27日、トランプ政権の関係筋が、香港からの輸入品に適用している優遇関税措置の停止を検討していると明らかにしています。


2.香港国家安全法とは


今回、問題視されている「香港国家安全法」とは、国家に対する反逆行為の禁止などを定めた中国本土の国家安全法を香港にも適用するというものです。

もともと香港における「香港国家安全法」は香港基本法23条において、香港特別行政区自身が、香港の法制度の下で「国家安全条例」として定めるものとされています。

香港基本法23条は国家への反逆、国家の分裂、反乱の扇動、中央政府の転覆、国家機密の不正な取得を禁止し、外国の政治組織が香港で政治活動を行ったり香港の政治団体が外国の政治団体と関係を持ったりすることを禁止するための法制定を求めています。

ところが、今回の「香港国家安全法」は香港での議会を通した法制定プロセスを採らず、全人代(中国政府)が直接制定しようとするものとして問題視されています。

一国二制度の香港では、中国本土の法律は原則適用されません。けれども例外が存在します。香港基本法18条です。

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香港基本法の18条では、全人代が定めた法律でありながら香港にも適用可能な「全国レベルの法律」が定められています。

18条では、この「全国レベルの法律」を全人代が香港特別行政区基本法委員会と香港特別行政区政府に意見を尋ねた後に追加または削除ができるとしています。

今回の「香港国家安全法」は、全人代が新たに定めた法律をこの「全国レベルの法律」に埋め込む形で施行されるようで、それゆえに香港の言論の自由に対し中央政府の機関が中国本土の法律によって直接的に介入することになるという点で懸念されています。

香港基本法に置ける国家安全法も、今回全人代が定める「香港国家安全法」も「国家分裂」や「転覆」をもくろむ活動を禁止するという点では同じなのですけれども、香港基本法では「中央人民政府を転覆させる行為」が禁止されているのに対し、全人代のそれでは「国家政権を転覆させる行為」となっています。

これはつまり、香港政府を転覆させる行為も"国家政権"を転覆させる行為と見做される可能性があり、これを盾にとれば、それこそ香港デモ隊を根こそぎ逮捕し罪に問うことが出来てしまう恐れがあります。


3.米中対立は世界を巻き込んだ混乱へと向かう


確かにこれでは、一国二制度は崩れ、ポンペオ国務長官ではないですけれども、「高度の自治」が保障されているとはいえなくなります。

アメリカは既に香港を制裁する動きを見せていますけれども、中国政府とて、当然そうなることは予測できていた筈です。にも関わらずなぜこのような強硬手段に出たのか。

これについて、ジャーナリストの福島香織氏はその理由について「香港デモの決着をつける」「国際世論の武漢ウイルス責任追及を躱す」「貿易交渉でアメリカに配慮する必要がなくなった」の3つを挙げています。

香港デモの決着については、もういうまでもなく力づくで鎮圧するときの法的根拠に出来るということですし、武漢ウイルスの国際的責任追及をかわすことについても国際世論の目先を替える意味では効果があるかもしれません。

これについて福島氏は、香港という国際金融都市で、武力鎮圧をやれば、国際社会は大慌てになる。そこで、武力鎮圧をやらない代わりに、武漢ウイルスの賠償責任追求をあきらめろ、という具合に交渉カードに使う事も出来る、と指摘しています。

筆者には、果たして、こんなのがカードになるのか疑問を持っていますけれども、考え方の一つとしてはあり得る話です。

そして、アメリカへの配慮が要らなくなったことについて、福島氏は、これまで中国は、アメリカと上手くやっていくためには、香港の一国二制度を維持する必要があったとしていたのが、昨年の香港人権民主法案によって、監視されるようになってからは、もうその必要を感じなくなったのだ、と指摘し、習近平は、香港の国際金融都市としての価値を失ってでも、党内の責任追及をそらすことを優先したのだ、と述べています。

けれども、これでは、習近平主席が権力維持にしがみつけばしがみつくほど、どこまでも強権発動をしなければならなくなります。

米中対立は世界を巻き込んだ混乱へと向かっていくと考えた方がいいのかもしれません。


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