ファイザーの武漢ウイルス治療薬

今日はこの話題です。
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1.ファイザーの武漢ウイルス治療薬


11月5日、アメリカの製薬大手ファイザーは、開発中の武漢ウイルス感染症を治療する飲み薬について入院と死亡のリスクを89%低下させたとの治験結果を発表しました。

ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は緊急使用許可申請の一環として、今月25日までに米食品医薬品局(FDA)に治験の暫定結果を提出するとしています。

ファイザーが治験を実施したのは、既存の抗HIV薬「リトナビル」と開発中の武漢ウイルス治療薬を併用する治療法で、薬の名前は「パクスロビド(Paxlovid)」。1日2回、3錠を投与するとのことです。

ファイザーその他製薬会社の武漢ウイルス経口薬開発については、9月28日のエントリー「緊急事態宣言全解除と武漢ウイルス収束後の世界」で取り上げましたけれども、行われていた第2/3相試験と中間解析結果の概要は次の通りです。
・2021年9月29日までに1219名の成人の新型コロナ患者が登録
・肥満や高齢など少なくとも1つ以上の重症化リスクを持つ、発症から5日以内の軽症から中等症の患者が対象
・発症3日以内にパクスロビドを投与された患者のうち登録後後28日目までに入院した患者は0.8%(3/389人が入院し、死亡はなし)であったのに対し、プラセボ(偽薬)を投与された患者のうち、入院または死亡した患者は7.0%(27/385人が入院し、7人がその後死亡)であり、パクスロビドは入院または死亡のリスクを89%減少させた。
・発症5日以内に治療を開始された患者でも同様の傾向がみられた。
・有害事象は、パクスロビド(19%)とプラセボ(21%)で同等であり、そのほとんどが軽度のものであった。重篤な有害事象や有害事象による試験薬の中止もプラセボの方が多かった。
このように発症5日以内の投与で優れた効果を発揮したとのことです。

ファイザーは、パクスロビドの副反応については詳細を明らかにしませんけれども、パクスロビド投与とプラセボ投与の双方のグループの約20%が何らかの不調を訴えたようです。ちなみにリトナビルの方は吐き気や下痢といった副反応が知られています。


2.3CLプロテアーゼ阻害薬


パクスロビドは、新規の抗ウイルス薬と既存の抗HIV薬を組み合わせた薬剤ですけれども、メインは開発番号PF-07321332の新規抗ウイルス薬の方で抗HIV薬のリトナビルはサポート役になります。

新規抗ウイルス薬(PF-07321332)は3CLプロテアーゼ阻害薬と呼ばれるものでウイルスの増殖を抑える効果があります。

ヒトに感染した武漢ウイルスは、細胞の中に侵入すると自分を複製するのですけれども、最初から自身の複製をそのまま作る訳ではありません。

まず、自己複製のために必要なさまざまなタンパク質を合成し、それらが何個もびろーんと繋がった、長いタンパク質を作ります。それを専用の酵素で切断して別々のタンパク質にしています。

この専用の切断酵素が「3CLプロテアーゼ」と呼ばれるもので、新規抗ウイルス薬(PF-07321332)はこの「3CLプロテアーゼ」の働きを阻害します。こうすることで、繋がっているタンパク質は切断され、結果、ウイルスの複製はストップします。

一方、抗HIV薬のリトナビルは、新規抗ウイルス薬(PF-07321332)の血中濃度を高く維持する効果があり、「リトナビルブースト」とも呼ばれています。

武漢ウイルスのスパイク蛋白をターゲットに抗体を作らせるワクチンに対し、ウイルスの複製そのものを阻害するパクスロビドは、より上流で食い止めるともいえ、様々な変異株にも抗ウイルス効果を有するとされています。

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3.誰でもすぐに処方してもらえない


ただ、パクスロビドが治療薬として緊急承認されたとしても、治験対象が重症化リスクの高い人であったことから、対象患者もこの条件に該当する患者となることが見込まれていて、武漢ウイルスと診断されたら誰でもすぐに処方してもらえることにはならないだろうと見られています。

もっとも、いつまでも対象が限定されるかというとそうとも言い切れません。

例えば、二種類の抗体を同時に点滴で投与する抗体カクテル療法は、軽症から中等症で、かつ重症化リスクがある患者を対象に今年7月に承認されましたけれども、今月、厚生労働省は発症を予防する目的での投与も条件付きで承認しています。

これは、日本での販売権を持つ中外製薬が、海外の治験で患者の家庭の濃厚接触者に投与した結果、感染して発症するリスクを81%減らす効果が確認できたなどとして、発症を予防する目的での投与も認めるよう追加で申請していたのが認められた結果です。

実際、パクスロビドも、ワクチン接種者を含む重症化リスクのない武漢ウイルス患者を対象とした臨床研究も行われていて、良好な成績が得られれば今後対象が広がる可能性も残されています。


4.パクリメクチン


このように優れた結果を示したパクスロビドですけれども、ネットの一部では「パクリメクチン」などと揶揄されています。

これは疥癬治療薬で武漢ウイルスにも効果があると巷で言われていた「イベルメクチン」をもじった呼び名であることはいうまでもありません。

というのも、イベルメクチンにも、プロテアーゼを阻害するというパクスロビドの作用と同じ作用があるとされているからです。

こちらのおそらく北里大学感染制御研究センターと思われるレポートでは、コンピューターシュミレーションでは、イベルメクチンのメインプロテアーゼに対する親和性が報告されているのに加え、インポーチン(Importin)というタンパク質を核内に輸送するタンパク質の機能阻害が基礎研究で確認されていると述べられています。

インポーチンがイベルメクチンで阻害され、武漢ウイルスが細胞核内に侵入できないとなれば、ウイルスのタンパク質合成から出来ないわけで、更に上流で食い止めることになります。

果たして、パクスロビドにインポーチン阻害機能があるのかどうか分かりませんけれども、なかったとしたらイベルメクチンの方がパクスロビドよりも優れている可能性も出てきます。

パクスロビドにはリトナビルによる血中濃度上昇効果があるではないかという見方もありますけれども、イベルメクチンは脂溶性で、脂っこい食事後に服用すると最高血中濃度は3倍も違うそうですから、程度の差はあれ「食事ブースト」を掛けることはできると思われます。

既に、興和が武漢ウイルス軽症患者を対象に第三相試験を行っていますけれども、イベルメクチンがパクスロビド並み、あるいはそれ以上の効果があるのなら治験でも同等以上の効果がでるのではないかと思います。

また、長期安全性等という意味では、30年以上、毎年億人単位で使われているイベルメクチンは安心できると思います。イベルメクチンの治験結果も大いに期待したいですね。


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