身構えている時には死神は来ないものだ

今日はこの話題です。
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1.クスィーを飛ばしたオミクロン


11月26日、世界保健機関(WHO)は南アフリカで確認された新たな武漢変異ウイルスを現在、広まっているデルタ株などと同じ「懸念される変異株」に指定し、「オミクロン株」と名付けました。

オミクロン株の前に確認された変異株を、WHOはギリシャ文字の12番目から「ミュー株」と呼んでいたのですけれども、オミクロンはギリシャ文字の15番目に当たり、今回、13番目の「ニュー」と14番目の「クスィー」の2文字を飛ばして命名しました。

飛ばした理由についてWHOは、「ニュー」は、英語で「新しい」を意味する「New」と発音が重なり、誤解を生む恐れがあり、「クスィー」については、「一般的な名字なので使用を避けた」としています。

ただ、「クスィー」を避けた理由について、中国の習近平主席の名字である「習」の英語表記が「Xi」と「クスィー」と同じになるため、一部では「あえて避けたのだ」という見方も出ているようです。

クルーズ上院議員はツイッターに「WHOがそんなに中国共産党を恐れているなら、次回、中国がパンデミックを隠匿しようとした際、どうして信用できようか」などとツイート。同じく共和党のコットン上院議員もツイッターに「WHOは公衆衛生よりも中国共産党の機嫌を心配している」と投稿しています。

相当信用を無くしています。


2.「綱渡りだな」、「この先ずっとそうさ」


既にオミクロン株は各国で次々と発見されています。

これまでに、南アフリカの隣国のボツワナや香港、それにイスラエルで感染が確認されたほか、ヨーロッパではイギリス、ドイツ、ベルギーに続いてイタリアなどでも確認されています。

更にオランダでは2、6日に南アフリカから旅客機で到着した乗客のうち61人の陽性が確認され、保健当局は、これまでに13人が新たな変異ウイルス「オミクロン株」に感染していたことが確認されたと発表しました。

また、28日にはデンマークの保健当局が南アフリカから入国した2人が、「オミクロン株」に感染していたことを確認したと発表しています。

そして、同じく28日、オーストラリアでもアフリカ南部から入国した2人の感染が確認されています。

この感染拡大に各国は素早い反応を見せています。

オーストラリア政府は、南アフリカを含むアフリカの9ヶ国からの外国人の入国を禁止すると発表したほか、フィリピン政府は、南アフリカなどのアフリカの国に加え、オランダなどのヨーロッパの国々、合わせて14ヶ国から原則として入国を認めない方針を明らかにしました。

またイスラエルは、すべての外国人の入国を14日間、禁止することを決めたほか、モロッコは、海外からのすべての直行便の乗り入れを29日深夜から2週間、停止することを発表しています。

日本はどうかというと、27日、南アフリカ共和国・エスワティニ・ジンバブエ・ナミビア・ボツワナ・レソトの6ヶ国を水際対策強化対象国に指定。翌28日にモザンビーク、マラウイ、ザンビアの3ヶ国を追加しました。

そして29日に岸田総理が、外国人の入国措置は30日午前0時から全世界を対象に禁止すると表明。日本人の帰国者らを対象とした待機措置についても「9ヶ国に加えて14ヶ国・地域から帰国する場合、厳格な隔離措置を実施する……情報がある程度明らかになるまでの臨時、異例の措置だ」と述べました。

ただ、入国全面禁止といっても、これまで成功した国が殆どなかったことを考えると遅かれ早かれ入ってくるものとして対応したほうがよいと思います。




3.これからが地獄だぞ


オミクロン株がいずれ国内に入ってくると仮定すると、問題になるのは、その感染性もさることながら毒性です。

11月26日、国立感染症研究所は、オミクロン株を注目すべき変異株(VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始しました。ところが欧州などの各国で感染例が相次いでいることを受け、翌々日の28日には、懸念すべき変異株(VOC)に位置付けを変更し、監視をさらに強化することにしています。

国立感染症研究所はオミクロン株について、「オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein; RBD; residues 319-541)に存在する」とし、変異がもたらす可能性として次の3つを挙げています。
・細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。(H655Y、N679K、P681H変異)
・免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある(nsp6における105-107欠失:α、β、γ、λにも存在)
・感染・伝播性を高める可能性がある(R203K、G204R変異:α、γ、λにも存在)
国立感染症研究所は、感染・伝播性への影響や免疫への影響、そして重篤度への影響として次のように述べています。
〇感染・伝播性への影響
南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) , ECDC; Threat Assessment Brief)。

〇免疫への影響
オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念される (ECDC; Threat Assessment Brief) 。
スパイクタンパク質へ実験的に変異を20ヶ所入れた合成ウイルスを用いた実験で、既感染者及びワクチン接種者の血清で高度な免疫逃避が確認されたとする報告がある。オミクロン株においても、このような多重変異によるワクチン効果の低下及び再感染の可能性が懸念される(High genetic barrier to SARS-CoV-2 polyclonal neutralizing antibody escape. Nature.)。

〇重篤度への影響
現時点では重篤度の変化については、十分な疫学情報がなく不明である。
このように、感染力が高いこと、ワクチンが効かないことが注意されています。とりわけ、20ヶ所変異させた合成ウイルスでは「既感染者及びワクチン接種者の血清で高度な免疫逃避が確認されたとの報告がある」としています。20ヶ所の変異のオミクロン株の変異とどこまで一致しているか分かりませんけれども、オミクロン株にはワクチンが効かない可能性があることには留意が必要かと思われます。

また、現時点では重篤度への影響が不明とのことですから、一定以上の警戒は必要かもしれません。国立感染症研究所は、基本的な感染対策として「個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される」としていますから、それに従うのが基本対策となると思われます。


4.なんとでもなるはずだ


では、オミクロン株が見つかった南アフリカでの感染状況はどうなのか。

オミクロン株は11月11日にボツワナで採取された検体から初めて検出され、その後、南アフリカで11月14日以降に採取されたサンプルからも検出されています。

南アフリカの国立公衆衛生研究所(NICD)によると、11月28日現在、オミクロン株による症例の大部分はハウテン州(81%)からのものであり、西ケープ州が5%、クワズールナタール州が4%を占めているとのこと。残りはムプマランガ州と北西部がそれぞれ3%で、リンポポ州が2%、東ケープ州、フリーステイト州、北ケープ州はそれぞれ1%となっているそうです。

ハウテン州では、学校や若者の間で感染者が急増していたのですけれども、現在検査されている検体の半数以上がオミクロン株であることから、南アフリカ保健省はすでにハウテン州ではこのオミクロン株が主流になっていると推定しているとのことです。

この地域はこれまではデルタ株が広がっていた地域で、デルタ株から置き換わって広がっていることから、オミクロン株はデルタ株よりも感染力が強いのではないかと指摘されています。

ただ、南アフリカの公式コロナウイルス(Covid-19)オンラインニュースにアップされている「Epidemic curve」のデータを見ると、7月にピークをつけた第3波が9月から10月で殆ど収束してから、11月に出てきたように見えます。

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また、「B.1.1.529 genomes detected in GP」のデータでもデルタ株が10月頭にはぷっつりと無くなってから、11月にいきなり出現しています。オミクロン株が広がっているハウテン州に至っては、8月中にはデルタ株が収束しています。それが11月にいきなりオミクロン株が出現している。

それ以前には、3月から4月に掛けてベータ株からデルタ株に切り替わっているのですけれども、それと比べると、ちょっと不自然な感じを受けなくもありません。

これらを見る限り、オミクロン株はデルタ株を押しのけて出てきたというよりは、無人の荒野に突然ふらっと出現してそのまま席巻していったとみるべきで、デルタ株より感染力が強いからだというのは必ずしも言い切れないのではないかと思います。

オミクロン株に感染した場合の症状については、南アフリカの国立公衆衛生研究所(NICD)は「感染後に異常な症状は報告されておらず、他の変異体と同様に、一部の個人は無症候性です」としています。

また、南アフリカ政府のワクチン諮問委員会で委員長を務めるバリー・シューブ氏は、イギリスのスカイニューズに対して「これまでの感染症例を見ると症状はどれも軽度または軽度から中程度となっており、良い兆候だ」と、「オミクロン株」に感染しても重症度はそれほどでもないとコメントしています。

更に、南アフリカ医師会のクッツェー会長も「症状としては、筋肉痛や疲労感などがあり、1~2日は体調が優れないという軽度の病気です。これまでのところ、感染しても味覚や嗅覚が失われることはありません。軽い咳が出るかもしれません。目立った症状はありません。感染者のうち何人かは現在、自宅で治療を受けています……確かに感染力は高いが、今のところ医療従事者としては、なぜこれほどまでに大騒ぎになっているのか、まだ調査中なのでわかりません。入院している患者さんの中には、40歳以下の若い人もいるので、2~3週間後にはわかるでしょう」と述べています。

これを見る限りでは、まだ安心するのは禁物ですけれども、それほど毒性は強くなさそうです。

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5.身構えている時には死神は来ないものだ


日本の水際対策は、芋づる式に後から後から追加して、ようやく最終的に外国人の入国措置について全世界を対象に禁止しました。

これについて、岸田総理は「まだ状況がわからないのに、"岸田は慎重すぎる"という批判については負う覚悟だ。ご不便をおかけする国民の皆さまにはご理解をいただきたい」とコメントしています。

一部には、最初から全面禁止にすべきだったという声も出ているようですけれども、ネットでは、この決断を待っていたなどと、評価する声も上がっています。

ただ、この後付け対応を見ていると、筆者には、岸田総理に有事対応の練習をさせているようにも感じられて仕方ありません。

有事の際、状況が全部分かることなどあり得ません。少ない情報の中で、次々と決断しなければならなくなります。

11月12日のエントリー「聞く力と見通す力」で筆者は「聞く力は、結果を見通す力とセットになっていないといけないと述べましたけれども、決断に際して指針となるのは、結果がどうなるのかを見通す力です。それが備わってないのならば、過剰なまでに"慎重な"対応をとってリスクを回避するのも次善の策だと思います。

「平時の岸田」が「有事も岸田」になれるかどうかは、実は今この瞬間に掛かっているのかしれませんね。



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