石油備蓄と政治備蓄

今日はこの話題です。
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1.国家備蓄石油売却


11月24日、日本政府はアメリカのバイデン政権の要請を受け、石油の国家備蓄の一部を放出することを正式に発表しました。

放出は、日米の他、英中印韓の計6ヶ国が協調して行うとのことで、アメリカは今後数ヶ月かけて、6億バレルある備蓄のうち、国内消費の3日分に当たる5000万バレル放出する方針です。

同じく、日本も国内需要の2~3日分に相当する420万バレル程度を放出。放出する石油を販売するための入札を年内にも実施し、2022年3月末までに市場に出す方針です。更に、必要に応じ追加放出も検討するとしています。

原油備蓄の売却について、岸田総理は会見で次のように述べています。
まず、御指摘のように、米国時間23日、バイデン大統領が石油の放出を発表したということを承知しております。米国とはこれまでも、国際石油市場の安定のために連携を取ってきましたが、我が国としましても米国と歩調を合わせ、現行の石油備蓄法に反しない形で、国家備蓄石油の一部を売却することを決定いたしました。

原油価格の安定、これはコロナからの経済回復を実現する上で大変重要な課題であると思っています。政府としましては、今回の措置に限らず、産油国に対する働き掛けですとか、あるいは農業、更には漁業等に対する業種別の対策、更にはガソリン・石油の急激な値上がりに対する激変緩和措置、こうしたものもしっかりと行っていきたいと考えています。

そして、量、あるいは時期についての御質問がありましたが、詳細につきましては、是非、萩生田経済産業大臣に確認していただければと思っています。
このように岸田総理は国家備蓄の原油を放出すると明らかにしています。


2.石油備蓄法


石油備蓄法とは、第一次石油危機の経験を通じて、緊急時における石油の安定供給を目的として1975年に制定された法律のことです。2001年に改正され「石油の備蓄の確保等に関する法律」に名称変更となりました。

石油備蓄法は、石油公団が行う国家備蓄として輸入量の90日分以上、石油精製業者、元売り、輸入者を対象とした民間備蓄として消費量の70日分以上の備蓄を義務づけています。

2021年9月末時点での国家備蓄は国内需要145日分の2億8000万バレル、民間備蓄は同90日分の1億7000万バレル、国内施設を産油国に貸し出す協働分を含め241日分を備蓄しています。

民間備蓄は1991年の湾岸戦争や2011年の東日本大震災などで過去5回放出されたことがありますけれども、国家備蓄放出は初めてのことで、価格抑制目的も初めてです。

岸田総理は、石油備蓄法に反しない形といっていますから、145日マイナス90日で、最大55日分までは放出できるということだと思われます。


3.戦略的政治備蓄


アメリカのバイデン政権は石油備蓄から5000万バレルを放出すると発表したのは11月23日ですけれども、それから原油価格が下がったのかというとそうではありませんでした。

WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエー)原油先物価格は、放出発表後上昇しました。

これについて、イギリスのフィナンシャルタイムズは、市場は、アメリカの備蓄放出量について予想していた程ではなかったことや、一部のアナリストが、原油供給量の増加を求められているオペックが、反対の決定を下し、予定されていた供給量の増加を差し控えるか、あるいは削減する可能性があるとみていることなどから価格は下がるのではなく上がったと報じています。

フィナンシャルタイムズは、バイデン政権にとって経済全体のインフレが支持率を大きく低下させているため、アメリカ人に、ガソリン価格を下げようと行動していることを伝える必要があったと指摘し、戦略的石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)とは対照的に、戦略的政治備蓄(Strategic Political Reserve)だったとの声があることを伝えています。

要するに、政治的な理由で放出したのだということです。

今回バイデン政権が自国の備蓄を放出するだけでなく、他国にも要請して協調して備蓄を放出させた訳ですけれども、これも、他国にも放出させたとバイデン大統領がリーダーシップを発揮して危機に対応しているとアピールすることも狙ってのことかもしれません。

また岸田政権にとっても、林外相の親中発言によってアメリカに睨まれることを少しでも緩和することが出来ればと、バイデン政権の要請をこれ幸いと喜んで受け入れた可能性も考えられます。

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4.需要と供給の問題


そんな中、26日になって原油先物が暴落しました。WTI先物は前営業日比10.24ドル安の1バレル=68.16ドルと約2ヶ月半ぶりに70ドルを割り込みました。

その原因とされているのは、南アフリカなどで見つかった武漢ウイルスの新型変異株オミクロン株です。

このオミクロン株によって感染が再拡大し、新たなロックダウンが導入。原油需要がさらに低下するという見方が強まったからだと言われています。

結局は、需要と供給の問題だということです。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は、12月2日に会合を開き、来年1月の生産量について協議するとしています。

OPECプラスは今年8月から毎月、供給量を日量40万バレルずつ追加し、減産を解除する方向に進んでいるものの、一段の増産を求めているアメリカには抵抗しています。

其処にきて今回のオミクロン株の出現です。

オミクロン株には世界各国は警戒感を示し、EUやイギリス、インドなどは出入国管理の厳格化を発表しています。従って、先行き需要が減るという懸念が出るのも当然です。

あるOPECの代表者は、オミクロン株について「ただでさえ弱い見通しに、弱気な見方が加わるのだから良くないことだ」と語り、別の代表者も、時期尚早としつつ、問題化する可能性があると指摘しています。

オミクロン株はデルタよりも感染力が強いなどとしきりに言われていますけれども、毒性がどうなのかについての報道は殆ど見かけません。

感染力が強くても毒性が低く、重症化しないのであれば、ロックダウンの懸念も遠のきます。そうした情報がOPECプラスの会合までにどこまで明らかになるか分かりませんけれども、しばらく石油価格は不安定な動きをするのではないかと思いますね。


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