日中外相電話会談と中国からみた岸田内閣

今日はこの話題です。
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1.日中外相電話会談


11月18日、林芳正外相は、中国の王毅外相と電話会談を行いました。

その概要について、外務省のサイトでは次のように発表されています。
11月18日、午後5時35分から約40分、林芳正外務大臣は、王毅(おう・き)国務委員兼外交部長と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭、林大臣から、外務大臣就任の挨拶を述べ、王毅国務委員兼外交部長から林大臣の外務大臣就任に対する祝意が述べられました。

2 林大臣から、来年は日中国交正常化50周年であると言及しつつ、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を含め、10月8日に行われた日中首脳電話会談で両首脳が一致した共通認識の実現のため、王毅国務委員兼外交部長と共に努力していきたい旨述べ、王毅国務委員兼外交部長から賛意の表明がありました。

3 林大臣から、尖閣諸島を巡る情勢や東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明すると共に、台湾海峡の平和と安定の重要性につき述べました。また、林大臣から、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めました。その上で、こうした問題を含め、今後対話や協議を重ねていきたい旨伝えました。

4 両外相は、日中経済に関し、対話と実務協力を適切な形で進めていくことを確認するとともに、明年の日中国交正常化50周年を契機に経済・国民交流を後押しすることで一致しました。

5 両外相は、気候変動問題や北朝鮮を含む国際情勢についても意見交換を行いました。北朝鮮への対応については、林大臣から拉致問題の即時解決に向けた理解と支持を求め、両外相は引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
これだけを見ると、普通に日中で協力していこう的な普通の会談に見えなくもありませんけれども、これを中国側からみればまたニュアンスが異なってきます。

19日、人民日報は「王毅部長『日本が対中・対米関係をうまく処理することを望む』」という題名の記事で会談について取り上げています。次に引用します。
王毅国務委員兼外交部長(外相)は18日、日本の林芳正外相と電話会談を行った。

王部長は会談で、「岸田文雄首相の就任以来、中日両国の指導者は積極的な相互交流を行ってきた。習近平国家主席と岸田首相は、新しい時代の要請にふさわしい中日関係の構築という重要な共通認識に達した。双方はこのために計画を立て、来年の中日国交正常化50周年を契機に、両国関係が正しい軌道に沿って長期安定的に発展する後押しをするべきだ」と指摘。

「中国と日本はこの地域の重要な国であり、世界第2位と第3位の経済大国であることから、共に時代の大勢に順応し、両国関係の正しい方向性を把握し、両国民により良く幸福をもたらし、アジアと世界にプラスのエネルギーをさらに多く注ぎ込むべきだ。日本側が、中日間の4つの基本文書で確立された諸原則を厳守し、中国の発展を客観的かつ理性的に受け止め、両国が『互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない』という政治的共通認識を政策に反映させ、行動に移していくことを望む。両国関係の政治的根幹、双方の基本的信義に関わる歴史や台湾地区など重大な問題においては、揺るがず、後退せず、越えてはならない一線を越えないようにすることを望む」とした。

王部長はさらに、「双方はより高水準の強みによる相互補完と互恵・ウィンウィンを実現すべく努力し、グローバルな産業チェーン及びサプライチェーンの安定と、公正で開かれた貿易・投資環境を共同で維持し、両国の質の高い発展と民生の改善を後押しする必要がある。双方は、地理的近接性と文化的結びつきという独自の強みを十分に発揮し、北京冬季五輪及び今年と来年の中日文化・スポーツ交流推進年を契機に、積極的な民意及び社会的雰囲気を醸成する必要がある。中国と日本は共に地域の重要国であり、自らの担う国際的責任を認識し、真の多国間主義を共に実行し、分断や対立、さらには新冷戦を図るいかなる企ても阻止するべきだ。来年1月に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効し、中国と日本は初めて二国間の関税減免措置を実行する。双方は共に努力して、アジア地域の協力と統合のプロセスをリードし、推進していくべきだ」と指摘。

「日米は同盟国であり、中日は引越しのできない隣人だ。中米は現在、両国の未来に関わる戦略的問題について意思疎通を進めている。日本側も大勢を把握し、自国と地域の共通利益に着眼し、対中関係と対米関係をうまく処理することを望む」とした。

林外相は「現在、国際社会は重大な変革期にある。アジアの重要性は増し続け、中国は日進月歩で発展し、日中関係への国際社会の注目と期待が高まっている。日本側は中国側と共に、来年の日中国交正常化50周年を契機に、対話と交流を強化し、互恵協力を深め、国民間の交流を増進し、意見の相違を適切に管理し、グローバルな試練への対応のために責任を担い、『互いに脅威とならない』などの共通認識を実行に移し、安定的かつ建設的な日中関係の構築を推進することを望んでいる」とした。

王部長は、釣魚島(日本名・尖閣諸島)、香港地区関連、新疆関連、南中国海などの問題における中国側の原則的立場を表明した。

両氏は、関心を共有する国際・地域問題についても意見を交わした。
これらを見ると、両国が自国の立場で互いに主張したことがはっきりと分かります。

日本は、建設的かつ安定的な日中関係を求め、経済・国民交流を後押しすることを確認すると共に、尖閣、東シナ海、南シナ海、香港、ウイグルへの深刻な懸念を表明し、台湾海峡安定と気候変動問題や北朝鮮問題について意見しています。

これに対し、中国側は、日中両国の安定的発展では一致したものの、「互いに脅威にならない」という原則を守り、歴史や台湾問題において一線を超えてはならないと釘を刺し、対中関係と対米関係をうまく処理するよう注文しています。

要するに、中国は、台湾問題には口を出すなとした上で、日本に対し、中国の脅威にならず、アメリカと上手く話をつけろと要求している訳です。これは裏を返せば、日本を脅威になり得ると思っているということであり、アメリカを上手く丸め込んでこちら側にくるようにと取り込みに掛かっているように見えなくもありません。

親中と言われる、林外相、ひいては岸田政権ならば、それで篭絡できると思っているのかもしれません。


2.我々は我々として判断していく


11月21日、林外相はフジテレビの番組で、中国の王毅外相との電話協議で、訪中の招待を受けたと明らかにしました。

林外相は「現段階で何も決まっていない。まだ具体的な調整が始まったわけではない」としたものの「ただ待っているのではなく、米中両方と話ができるのが日本の強みだ」と明言しました。

米英で冬季北京五輪での外交的ボイコットが取り沙汰されている今の時期に、訪中するなど、中国の問題に目を瞑ることを公言するようなものですけれども、林外相はその外交的ボイコットについて「我々は我々として判断していく」と言葉を濁しています。

米中両方と話が出来る、外交的ボイコットは日本として判断していく、という言い方をみる限り、先の日中外相会談で、王毅外相が「日本が対中・対米関係をうまく処理することを望む」と二股を掛けるよう求めたとおりに動いているようにも見え、親中の香りが漂っているように見えてなりません。


3.中国から見ればウェルカムな岸田内閣


嘉悦大学の高橋洋一教授は、11月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演し、第2次岸田内閣について「中国から見ればウェルカムな内閣です」述べ、西側に対して誤ったメッセージになりかねないと苦言を呈しました。

ただ、高橋氏は、安倍元総理がマレーシアに特使として派遣されるという話について触れ、バランスをとる意味で「マレーシアに行ったあと、急に台湾へ行っても不思議ではない」と述べています。

そんな中、17日、岸田総理は安倍元総理の事務所を訪ねて30分ほど会談。安倍元総理にマレーシアへの訪問を依頼したと伝えられています。

岸田総理は会談後記者団に「政治の動きのなかで話題になるさまざまな課題について有意義な意見交換ができた」と述べ、最も時間を割いた話題を問われると、経済と外交をあげています。

政府関係者によると、安倍元総理は来月上旬にもマレーシアを訪問する方向で調整しているとのことです。

もっとも、ジャーナリストの山口敬之氏によると、岸田総理はこれまでも安倍元総理とはしょっちゅう電話していたそうで、ただ、安倍麻生傀儡政権と呼ばれることを嫌って、表向きは会談しなかった。ところが、両氏の反対を押し切って、林芳正氏を外相に据えたことで、もう傀儡だといわれないだろうという自信の現れだと指摘しています。

そして、岸田総理がわざわざ安倍元総理に会いに行ったのは、絶対盗聴されたくない話であった筈で、それは外交ではないか、と述べています。

果たしてそれが、安倍元総理による電撃台湾訪問なのかどうか分かりませんけれども、何某かが水面下で動いている可能性は否定できません。




4.中国が林外相に期待しても見返りはない


一方、林外相は、周囲がいうほど親中ではないという見方もあります。

嘉悦大学の高橋洋一教授の翌週19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演した外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦氏は、11月18日の日中電話電話会談について、「中国が譲歩するわけがないし、日本も譲歩するわけがないのですから、最初は米中と同じで、まずは相手の出方をよく見ながら、とにかく対話することが大事です。ただ、今後どのように具体的な措置を取るかということは別の話だ」と述べ、林外相が親中派ではないかという批判に対しても「それはないでしょう。日中議連の会長は他にもいろいろな方がいたけれども、みんなが親中というわけではありませんでした。林さんは素晴らしい語学力を持っているし、アメリカにも留学していたのでバランスも取れていると思います。中国がもし、林さんは中国に優しいのではないかと期待するのであれば、それは違うと思います」と述べています。

宮家氏は、林外相について、防衛大臣の他に農水大臣もやっているから、TPPにも詳しいし、中国の思う通りにはならない。中国側もそこはよくわかっていると思う、と述べていますけれども、先にも述べたように、米中両方と話が出来るとか、外交的ボイコットは日本として判断する、とか中国の要求に応じたような発言をしているのをみるとやはり不安を覚えます。

宮家氏は、経済安全保障について、日本が本腰を入れ始めたとし、当然、中国を念頭に置きながら考えなくてはいけないものの、すべてがすべて中国をデカップリングする訳ではないとも述べています。

ただ、中国は何か気にいらないことがあると、全然別のもので嫌がらせをしてくる国です。

従って、ある分野だけデカップリングだといってそうしたとしても、中国はデカップリングしていない分野で輸出や輸入禁止なんかをしてくるであろうことは容易に予想できます。

その意味では、対中政策で部分的なデカップリングなど、原則ありえず、全面デカップリングを覚悟した上で、デカップリングしないところがあればラッキーくらいの積りで臨むべきではないかと思いますね。




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この記事へのコメント

  • 外務省、中国テニス選手の消息不明問題に「拳を振り上げて何もなければ何だったのかとなる…事実関係が確認できていないんだ!」日本政府と欧米の温度差鮮明に ………http://seikeidouga.blog.jp/archives/1079569248.html

    俺の云った通りの認識だよ外務省がな。
    逆切れしてて恥ずかしくないのあんた。
    2021年11月24日 12:23