米中首脳会合と中国の政治的A2D2

今日はこの話題です。
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1.米中首脳会談


11月15日、アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のオンラインによる首脳会談が行われました。

前々回、2月、そして前回9月の会談は電話会談だったのですけれども、今回は初めて「対面」での会談となりました。

会談冒頭、バイデン大統領は「次回は、訪中した時のように対面で会談することを希望する」と語り、習主席も「古くからの友人に会えてとてもうれしい」と答えました。

両者は副大統領、副主席時代からの旧知の仲であったこともあり、友好ムードを演出したのですけれども、3時間半に及んだ会談では、経済や人権、安全保障などを巡って激しい応酬を繰り返したようです。

会談後のホワイトハウスの声明によると「両首脳は競争を責任をもって管理していくことの重要性について議論した。バイデン大統領は習主席と率直かつ単刀直入に話し合う機会を歓迎した」としたうえで、競争が衝突に発展するのを防ぐため、「ガードレール」の役割を果たす共通認識を形成する必要性や対話の継続について言及したとしています。

そして、台湾を巡っては「バイデン大統領は中国が一方的に現状を変更したり、台湾海峡の平和と安定を損なったりすることに強く反対すると主張した」としています。

一方、中国外務省は、習主席がアメリカとの関係について、制御不能にならないよう意見の違いや敏感な問題を建設的に管理することが重要だと指摘し、「中国は当然、みずからの主権や安全、発展の利益を守らなければならず、アメリカには問題を慎重に処理するよう望む」と述べ、今後も対話を継続することで一致したとしています。

けれども、台湾問題については、習主席が「台湾海峡は新たな緊張に直面している……完全な統一の実現は全国民の共通の願いであり、『台湾独立』勢力が一線を越えるならば、断固たる措置をとらざるをえない」と述べたとしていて、立場の隔たりは埋まりませんでした。

このように、バイデン大統領は中国を「唯一の競争相手」とみなしているのに対し、習主席は欧米主導の国際秩序に反発。双方の溝は埋まることなく、共同声明もなく、目に見える成果はありませんでした。

今回の会談について、バイデン政権高官は、「大きな前進は期待していなかったし、実際なかった」と具体的な成果を目指すよりも協調的な雰囲気を演出する思惑があったと漏らしていますけれども、会談について、ホワイトハウスは「サミット」という単語を使わずに、単なる「ミーティング(協議、会合)」と事前に言葉を変えていますから、なんらかの成果がなければ失敗といわれかねない首脳会談(サミット)ではないのだ、と最初から予防線を張っていたということです。


2.世界の半分をお前にやろう


この米中首脳会談について、一部のメディアでは「強気の習氏"地球2分割"案も 米中首脳、初のオンライン会談」という見出しの記事を挙げ、「権力基盤を固め、2030年代まで見据えた長期支配へと歩みを進める習近平国家主席は、米中両国での"地球2分割"案まで持ち出した」と報じています。

まぁ、ネットなどでは、「りゅうおうかよ」とかドラクエネタで一部盛り上がっていたようですけれども、台湾四大新聞の一角「聯合報」は「地球は米中の発展を受け入れるのに十分な大きさがある、2つの大きな船は衝突してはならない」と述べたとし、バイデン氏は会談の中で、アメリカは中国の政治体制を変えようとはせず、台湾の独立も支持しないと述べたと報じています。

かつて、習近平主席は2014年11月のオバマ大統領との米中首脳会談で「広大な太平洋は米中両国を受け入れる十分な大きさがある」と発言し、2017年11月のトランプ大統領との共同記者発表で「太平洋は中国とアメリカが共存するのに十分な広さがあるから、二つの大国が意思疎通と連携を強化すべきだ」と発言したことがあります。

従って、今回の「地球は米中の発展を受け入れるのに十分な大きさがある」という言い回しを持って"地球2分割"案を出したというのは、それほど外した見出しではないかと思います。

要するに習近平主席は米中二分割論をずっと言っているということです。


3.三つ限界線


一般に成果がなかったとされる今回の米中首脳会談ですけれども、既に米中取引が成立したから会談が行われたのだという見方もあります。

評論家の石平氏は、今回の首脳会談は、中国が出した三つの条件に対し、アメリカがそのうちの一つを飲む代わりに気候変動対策強化で協力を要請し、中国が受け入れたことによって開催されたと述べています。

石平氏によると事の発端は7月26日のシャーマン国務副長官と王毅外相との会談でした。ここで王毅外相は、米中関係が制御不能に陥るのを防ぐためとして、三つ限界線(譲れぬ一線)を示しました。その3点を人民日報から引用します。
(1)米国は中国の特色ある社会主義路線・制度に対して挑戦や中傷をしてはならず、さらにはその転覆を企ててはならない。中国の路線と制度は歴史の選択であり、人民の選択でもあり、14億の中国人民の長期的幸福に関わり、中華民族の前途命運に関わり、中国にとって堅守せねばならぬ核心的利益である。

(2)米国は中国の発展プロセスの妨害さらには断ち切りを企ててはならない。中国人民にもより素晴らしい生活を送る権利が当然あり、中国にも現代化を実現する権利があり、現代化は米国だけの権利ではない。これは人類の基本的良識と国際正義に関わる。中国は米側に対して、中国に対する全ての一方的制裁、高額の関税、管轄権の域外適用、科学技術封鎖を早急に撤回するよう促す。

(3)米国は中国の国家主権を侵害してはならず、ましてや中国の領土的一体性を損なってはならない。新疆、チベット、香港地区関連の問題はかねてより人権や民主の問題などではなく、「新疆独立」「チベット独立」「香港独立」との戦いという根本的是非の問題であり、国家主権・安全保障が損なわれることを許す国はどこにもない。台湾地区問題は、これらにも増して最重要だ。両岸は未統一だが、大陸と台湾地区は共に一つの中国に属し、台湾は中国の領土の一部である。この基本的事実が変わったことはないし、変わることもない。もし「台湾独立」分裂勢力が大胆不敵にも挑発するのなら、中国には必要なあらゆる手段を講じて阻止する権利がある。台湾地区問題において必ず約束を恪守し、必ず慎重に行動するよう米側に忠告する。
つまり「体制転覆を企図するな」「中国の発展を妨害するな(制裁解除)」「台湾独立を認めるな」の3点です。

8月31日、バイデン政権はケリー特使を中国に派遣し、気候変動問題の交渉したのですけれども、手ぶらで言ったケリー氏は相手にされず交渉は失敗しました。

そして10月21日、CNNが生中継した対話集会でのバイデン大統領が「台湾防備の義務」があると発言すると、中国は激怒してCOP26を欠席します。

すると、11月7日、サリバン大統領補佐官はCNNテレビでのインタビューで対中国政策について「これまでの中国に対する政策の誤りの1つは、アメリカの政策によって中国のシステムに根本的な変革をもたらすことができると考えていた点だ」と過去の政権のアプローチは間違いだったと指摘。アメリカは中国の体制転覆を企図しないと明言しました。

石平氏は、このサリバン報道官の発言は、中国の三つの条件の最初のものへの明確な回答になっているとして、その結果、11月10日に米中気候変動対策強化で電撃合意したのだと指摘しています。

石平氏は、「アメリカが中国の体制転覆を企図しない」ことと「中国が気候変動対策で協力する」ことで米中取引が成立したとし、それが今回の米中首脳会談に繋がったと述べているのですね。

そうしてみると、今回の会談について、「聯合報」が、バイデン大統領が、アメリカは中国の政治体制を変えようとはせず、台湾の独立も支持しないと述べたと報じたこととも辻褄が合います。




4.政治的A2D2


石平氏は、今回の会談について、バイデン大統領が会談直前に「中国通信機器排除法」に署名したこと、会談で台湾問題などで中国を強く牽制したことから、中国の三つの条件の残り2つには応じる積りはないとし、米中対立は今後も続くと述べています。

そして、石平氏は、中国はアメリカによる体制転覆をもっとも恐れているのに対し、アメリカはバイデン政権が倒れるのを恐れる必要がないことを挙げ、中国が体制転覆を恐れる限り、アメリカは常に優位に立つと指摘しています。

なるほど、確かにそうです。

独裁国家、専制国家は革命によって体制転覆が起きるのに対し、民主国家は選挙によって政権交代が行われるという、ある意味、「体制転覆」の可能性を常に内包した政治システムだともいえるわけです。

実際、バイデン政権が中国の政権転覆を狙わないと宣言したとしても、そして、ある程度の外交的継続性が求められるとしても、バイデン政権の次の政権が、たとえばトランプ政権のような政権になってしまえば、またどうなるか分かりません。

その意味では、中国は大統領が変わるたびに体制変更に怯えなければならないということになります。

そう考えると、習近平主席がアメリカに、世界を二分しようとしきりに持ち掛けるのは、自身の政権転覆を恐れているからではないかとも思えてきます。

つまり、中国が周辺国を属国として従えて、大中華帝国圏を構築して、アメリカと世界を二分すれば、それだけアメリカの勢力が中国に浸透することがなくなる、ようするに中国の勢力下にある周辺国を盾とすることで、共産党政権を守ろうとしているのではないかということです。

中国人民解放軍の海上軍事戦略に、アジア・西太平洋戦域で行なわれている軍事作戦に対するアメリカ軍の介入を阻止し、第2列島線以内の海域でアメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害する、いわゆる「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略がありますけれども、実は政治体制においても、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を行っているのではないかということです。

ということは、逆に言えば、中国の周辺国でありながら、中国の影響下に入らない強力な民主国家が存在すれば、それだけで、中国の「政治的A2D2」をかなり阻害出来ることになります。

そんな国になりうる国の中で、その筆頭になる国はおそらく日本になるであろうことは論を待ちません。

世界の二分することで、自身の安全を図ろうとする"りゅうおう"中国の野望を阻む大きな鍵は日本が握っているのかもしれませんね。

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