日米韓次官協議と自由で開かれたインド太平洋

今日はこの話題です。
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1.日米韓次官協議


11月17日、アメリカのワシントンDCで、日米韓外務事務次官協議が行われました。

出席者は森健良外務事務次官、ウェンディ・シャーマン国務副長官、崔鍾建(チェ・ジョンゴン)韓国外交部第一次官で、会議概要は次の通りです。

総論
三者は、それぞれの二国間関係に関する問題は日米韓次官協議とは別の場で協議することを前提に、日米韓三か国が、引き続き重層的な意思疎通を図っていくことの重要性を改めて確認しました。

北朝鮮への対応
三者は、北朝鮮が核・ミサイル活動を活発化させていることについて懸念を共有した上で、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、引き続き日米韓で緊密に連携することで一致しました。また、関連する安保理決議の完全な履行の重要性について、改めて確認しました。森次官から、シャーマン国務副長官及び崔第一次官に対して、拉致問題について、引き続きの理解と協力を求め、改めて支持を得ました。

地域情勢及びグローバル協力
三者は、東シナ海及び南シナ海における中国の行動、ミャンマー情勢といった地域情勢や、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組についても意見交換を行いました。また、気候変動、新型コロナウイルスへの対応を始めとする国際保健といったグローバルな課題についても意見交換を行いました。
北朝鮮の非核化、安保理決議履行、拉致問題と、対北朝鮮の対応については一致したようですけれども、対中戦略や「自由で開かれたインド太平洋」戦略については、意見交換したとはなっていますけれども、一致とはなっていませんから、まぁ、互いに言いたいことをいっただけで終わったものと思われます。


2.共同会見中止


日米韓の三ヶ国で行われた協議ですけれども、その後に予定されていた3ヶ国による共同記者会見が急遽中止され、シャーマン米国務副長官の単独会見となるという異例の事態となりました。

その理由について、シャーマン副長官は「日韓の間で相違点があった」と述べたのですけれども、これについて、松野官房長官は18日の記者会見で「今般の竹島をめぐる事案に関し、わが国の立場に鑑み、到底受け入れることができず、韓国側に強く抗議している中、共同記者会見を行うことは不適当と判断した」とその理由を説明しています。

この竹島を巡る事案というのは、16日に韓国警察庁のキム・チャンリョン(金昌龍)長官が竹島に上陸したことを指しています。

韓国の現職警察庁長が竹島を訪れるのは2009年以降、12年ぶりのことなのですけれども、韓国の警察トップである長官が竹島に上陸したのは2005年3月のホ・ジュニョン(許准榮)庁長が初めてで、当時は外交通商部から「議論が巻き起こる可能性がある」との懸念が出ていた中での上陸でした。

今回の上陸について、日本政府は強く反発。林芳正外相は「到底受け入れられず、極めて遺憾」と述べ、韓国政府に強く抗議したことを明らかにしています。


3.姑息な国


今回の竹島上陸についてキム庁長は、「外交的な意味はなく、僻地に勤務する職員を激励するため」と説明したそうですけれども、日本の領土を侵犯しておいて外交的意味がないわけがありません。

だいたい上陸した16日は、日米間外務事務次官協議の前日です。明らかな挑発です。

もし、ここで日本が何もしなければ、竹島は韓国のものだと日本が認めたと、韓国はドヤ顔で既成事実化することは目に見えています。

18日、韓国の大統領府高官は、日米韓外務次官協議後の共同記者会見を日本が欠席したことについて「独島は歴史的、地理的、国際法的にわれわれの領土であることを改めて強調する……そのような理由で欠席したことが事実なら極めて異例」と記者団に述べています。何のことはない、目一杯外交メッセージを発して宣伝しています。

おそらく、韓国も日本が欠席することも計算した上で、米韓二ヶ国による共同記者会見に持ち込むことを狙っていたのではないかと思います。

つまり、米韓同盟をアピールすると同時に、日本を悪者にすることで、世界、とりわけアメリカから圧力を掛けさせ、日本が譲歩する形で日韓関係を打開しようと目論んでいたのではないかということです。

姑息な手段ですね。


4.シャーマンの声届かず


けれども、シャーマン米国務副長官はその手には乗りませんでした。

共同記者会見そのものをキャンセルし、アメリカ単独での会見に切り替えたのですね。

そもそもシャーマン氏は2015年のオバマ政権時、カーネギー財団で戦後70年をテーマに講演した際、「愛国的な感情が政治的に利用されている。政治家たちにとって、かつての敵をあしざまに言うことで、国民の歓心を買うことは簡単だが、そうした挑発は機能停止を招くだけだ」と発言しているのですね。

この発言に当時の韓国は、朝鮮日報が「看過できない米国務次官の韓中日共同責任論」と題する社説を掲載。「アメリカの同盟国の指導者に対する無礼であり、中国に対する挑発だ」と怒り、中央日報は「発言のあちこちから『日本はそれなりに努力しているのに韓国・中国が国内の政治的理由でこれを受け入れない』という形の日本側論理が見られる……日本はワシントンに韓米関係に溝を開けることを専門担当とする外交官がいるほどだという」などと批判していました。

そのシャーマン氏本人を前にしての今回の挑発行為。あれから6年経っても韓国の認識はまるで変っておらず、シャーマン氏の苦言も全く伝わっていなかったことが分かります。


5.自由で開かれたインド太平洋へ


今回の日米韓次官級協議で、認識を共有できたのは対北朝鮮対応だけで、「自由で開かれたインド太平洋」戦略には、なにもコミットできなかったことをみれば、アメリカの東アジア戦略にとって、もはや韓国は対北朝鮮についてのみその価値があることになっているのではないかとさえ思ってしまいます。

News U.S.」サイトは、先日の北朝鮮のSLBM発射について日本政府が2発だと発表したのに対し、韓国軍は1発の発射だとしてズレがあるのをそのまま放置されていることに着目し、既にGSOMIAは破棄されているのではないかと論評していますけれども、あるいは本当にそうなのかもしれません。
★のち、防衛省は一発に訂正

もしそうであれば、日韓は既に軍事協力できる体制ではなくなっていることになり、日米韓次官級協議内容とは裏腹に、対北朝鮮対応で一致して行動することにも疑問が出てくることになります。

日本の国家戦略も「東アジア」重視から「自由で開かれたインド太平洋」重視へと大きく舵を切り始めたとみてよいかもしれませんね。


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posted by 日比野寿舟 at 08:07Comment(0)

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