中国の電力不足

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1.中国の電力不足


中国の電力不足が深刻化しています。

中国メディアによると、電力不足や供給制限が明らかになっているのは、黒竜江、遼寧、吉林、江蘇、浙江、安徽、山東、河南、広東、貴州、雲南、陝西、青海の各省や新疆ウイグル、内モンゴル、寧夏回族、広西チワン族の各自治区、重慶市など22省・5自治区・4直轄市のうち20に上っています。

9月22日、広東省や安徽省の当局が製造業など多くの企業に10月から計画停電で電力供給を制限すると通知。鉄鋼業など一部の企業は既に電気を止められ、10月上旬の国慶節の大型連休を前倒しして休業を余儀なくされた企業も出ているそうです。

9月26日東北の吉林省吉林市では、電力不足のため水道施設のポンプなどの稼働が不安定になり、来春まで断水が頻発するとして、住民に節水を呼び掛けました。

中国の電力供給は石炭火力発電が主力で、石炭価格は1年前に比べ3割以上も上昇しています。

中国国内では、発電コストが電力価格を上回り、各地の石炭火力発電所が稼働率を落としていることが電力不足の原因だと報じているのけれども、エコノミストは、中央政府が掲げるCO2削減目標を達成するため、地方当局は大幅な節電を迫られているのが本当の理由だと指摘しています。

習指導部はCO2排出量を2030年までに減少に転じさせる目標を掲げています。そんな中、9月中旬に、国家発展改革委員会は上半期の省エネ目標が達成できていない省を名指ししました。その多くが電力供給制限を打ち出している省です。

実際、北京の電力関係者は「中国政府から割り当てられた省エネ目標の達成が危ぶまれる省が、直接的な電力使用制限に乗り出しているようだ」とコメントしていて、経済的というより政治的理由での電力制限だと見られているようです。

更に、10月12、13日に雲南省昆明で、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)がオンライン形式で開催されることになっており、ホストを務める習近平国家主席にとって、自国が排出削減と省エネの目標を達成していなければ、面子が立たないが故に、地方政府に厳しく達成を求めているのだという指摘もあるようです。


2.広大集団より電力不足が深刻


中国の電力不足は、各地で工場の一時停止を引き起こしているのですけれども、当然ながら市場も反応しています。

9月28日、ゴールドマン・サックスは中国の産業活動の最大44%が電力問題の影響を受けていると試算。中国の今年の経済成長率予測を8.2%から7.8%に引き下げ、エネルギー不足と生産活動の大幅低下が「著しい下振れ圧力」になっているとコメントしました。

また、野村ホールディングスも、不動産規制や電力不足が景気の重しとして、中国の7—9月の国内総生産は前期比で0.2%減になるとの見通しを示しています。

株式市場では化学品や自動車、海運などが大きく下落する一方、再生可能エネルギー関連株は急上昇。

ウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントのヘッジファンドマネジャー、Yuan Yuwei氏は「恒大問題はしばらく前から明らかになっており、リスクは的を絞った形で軽減されるだろう」と述べる一方、電力不足は需給均衡を崩し、消費や実体経済に直接打撃を及ぼすとし、「制御不能な影響になる公算がより大きい」との見方を示しています。

また、モルガン・スタンレーのアナリストは、停電や電力供給制限で鉄鋼、アルミ、セメントの生産やインフラ建設に直ちに影響が出ると指摘。その影響は下流に波及し、海運や自動車など、より多くの分野に及ぶ可能性があるとしています。


3.政策に変更がなければ経済は更に鈍化する



こうした電力不足が長引く中、中国の中小企業の間ではディーゼル発電機を使用したり、店舗を閉めるなどの動きが出ています。ただ電力不足のためにディーゼル発電機を導入したものの、コストがかかり過ぎて赤字に転落するなど、民間の自家発電も思うようにはいかないようです。

9月30日、中国国家統計局は9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表しました。製造業購買担当者景気指数(PMI)とは、購買担当者に、生産や新規受注、受注残、雇用、価格、購買数量などをアンケート調査し、その結果に一定のウエートを掛けて指数化したもので、企業の景況感を示す景気指標の一つです。

一般的に鉱工業生産や雇用統計などの統計よりも景気先行性があるとされ、株式等の運用担当者の注目度が高い指標であり、このPMIの数値が50を上回ると改善、50を下回ると悪化と判断されます。

今回発表された9月のPMIは、予想に反して先月の50.1から49.6に低下。金属や石油製品を手掛ける工場など、エネルギー消費の大きい産業が押し下げました。

国家統計局の幹部は「9月はエネルギー消費の多い産業で生産量が低迷したことなどを受けて、製造業PMIが重要な水準を割り込んだ……エネルギー消費量の多い産業の2つの指数はともに45.0を割り込んでおり、需給が大幅に減少したことを示唆している」と述べています。

更に、上海保銀投資管理の深セン駐在チーフエコノミスト、張智威氏は「政府の政策に変更がなければ第4四半期の経済成長はさらに鈍化する公算が大きい。鈍化ペースも加速する可能性がある……政府の金融・財政政策が今にも一段と支援的なものになるのかどうか、もしくは政府が政策の変更を年末まで待つのかどうか、が大きな問題だ」と指摘しています。

政府は、冬季の家庭用電力と暖房供給を優先するとし、国有の石油・ガス大手、中国石油化工は液化天然ガスの輸入量を増やすと表明していますけれども、シティのアナリストは、冬の暖房ピークシーズンには電力不足が続くと予想し、暖房用電力の大半が石炭火力だと指摘しています。

しかも、来年2月には北京五輪が予定されています。

習政権としては、五輪開催中、会場上空に広がるクリーンな青空を世界にアピールするのでしょうけれども、その威信をかけた五輪が電力不足でライトアップも暖房もままならず、観客はおろか、海外から受け入れた選手団まで凍えさせようものなら、面子は丸潰れです。

おそらくは、北京以外の他の地域の電力供給を削ってでも北京五輪会場とその付近だけは、何が何でも電力を維持するのではないかと思います。

中国の電力不足問題は意外と長引くかもしれませんね。


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posted by 日比野寿舟 at 07:29Comment(0)

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