西村経済再生相の金融機関にお願いする発言と撤回について

今日はこの話題です。
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1.金融機関にお願いしない


7月9日、加藤官房長官は記者会見で、飲食店に対する酒類の提供停止などの要請をめぐり、金融機関に事業者への働きかけを求めるとした政府方針を撤回することを明らかにしました。

これは前日の8日、西村経済再生相が記者会見で、休業要請などに応じない飲食店に関し、「協力していただけない店には特別措置法の命令、罰則を何度でもやる……こうした情報を金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく……関係省庁ともすりあわせている。文書で要請をしてもらうことを考えている……」と発言したことが発端になります。

この発言には猛烈な批判の声が上がりました。

ある銀行関係者は「期間を定めて契約を結んでいる。取引先が休業要請に応じないからといって、融資を引き揚げることはありえない」と憤り、顧客の中心が中小事業者の信用金庫幹部も「金融機関は警察ではない」と反発しました。

もとより政府は武漢ウイルス禍で、各金融機関に対して取引先企業に積極的な貸し出しをするよう何度も求めていたのです。それが一転、金融機関経由で要請しようというのですから、無茶苦茶です。"経済再生相"の名が泣きます。

西村経済再生相の発言は、貸し手の金融機関の強い立場を利用し、融資の制限を示唆したと取られかねないと猛批判を浴び、わずか1日で撤回に追い込まれましたけれども、当たり前です。

金融庁は9日に、各金融機関に取引先の飲食店に感染対策を順守するよう働きかけることを要請する文書を送付する予定だったのですけれども、急遽取りやめ、金融庁幹部は「今回の発言はまずかった……政府が金融機関の融資判断に口を挟む法的根拠はない」と語っています。

そもそも、政府がその権力をチラつかせて民業を圧迫するなんて全体主義と変わりません。

まぁ、救いがあるとすれば、自民党内から「金融機関に働きかけをさせるなんてあり得ない。西村氏は、飲食店の経営の厳しさを理解していない」と批判の声があがったことと、金融機関自身はそんな要請には従えないと反発したことでしょうか。自民党の一部と民間はまだ全体主義に染まってなかったとも言えます。




2.都議選負けたから説と財務省入れ知恵説


なぜ、西村経済再生相は、こんな発言をしてしまったのか。

経済評論家の上念司氏は、都議選で敗北したのが遠因ではないかと指摘しています。つまり、東京五輪に対して厳しく望み、自由を奪うことをいっていた都民ファーストが票を集めた為に、同じようにすればよいと安直に考えてそういったのではないか、というのですね。

上念氏は、ワクチン接種が進んだイギリスの例を出し、感染者は増えるかもしれないが、重症者は減っているから大丈夫だという風にビジョンを出すべきだと述べています。確かにこういう方針がきちっと決まっていれば、西村経済再生相の今回の問題発言もなかったのではないかと思います。

一方、財務省の影があるのではないかという見方もあります。

ITジャーナリストの宮脇睦氏は自身のチャンネルで、西村経済再生相の発言の中に「金融機関」という単語があることに着目し、憶測と断った上で、この裏には財務省が入れ知恵があったのではないかと述べています。

確かに言われてみれば、わざわざ「金融機関」との単語が入っているのは怪しい。筆者は飲食業を悪者にする今のやり方はそもそもナンセンスだと思っていますけれども、酒類提供を止めさせたいのであれば、他にも方法がある筈ですから。




3.悪者探しの世論


武漢ウイルス感染対策で迷走を続ける政府ですけれども、正直言って、打てる手はないのだと思います。

唯一の頼みの綱がワクチンくらいで、あとはもうお手上げ。

それでもお手上げなんて言えないので、何かをやらないといけない。だから「緊急事態宣言」を乱発する。

7月8日、タレントのデーブ・スペクター氏は、「あまりに緊急事態宣言を乱発したたため、宣言への集団免疫が先にできてしまった見込み」と投稿し、緊急事態宣言への慣れという「集団免疫」がついてしまったのではと皮肉りました。

でもこれは実際そうだと思います。

9日、小池都知事が定例会見で、都内の人出について言及し「昨日夜、繁華街などを見てまわったところ、雨が降っていたにも関わらず、かなり多くの方が出歩いていた。路上でバーを開いてるような方もいた。今何のために様々な対策を行なっているのか考えてほしい。コロナ対策をしっかり行うことによって、より早く平穏な日常が戻ってくると考えている。ぜひ皆さまのご協力をお願いしたい。なんとしてでも今回で最後の緊急事態宣言にしたい」と述べていますけれども、国民の間に都や政府への不満や不信が募っていることが窺えます。

半年前の話ですけれども、1月12日、東京都医師会の定例記者会見で、尾崎治夫東京都医師会会長が武漢ウイルス感染対策について「医師会は開業医の団体だとか、何もやってこなかったと言われているが、大病院や診療所も含めてやれることを精一杯やってきたつもり。民間、大学、国公立も協力してこの難局に立ち向かっていかないといけない……飲食店が悪い、医師会が悪いと分断する流れを作る方もいるが、今こそ一丸となって感染を止めるべき。感染を抑えることなくして経済の再生もない」と訴えました。

質疑応答で記者から「GoTo中断や五輪開催に関して小池都知事と菅首相の間で足の引っ張り合いが起きているが……」と質問されると「私どもはあくまで医師会。評論家的に批評する立場でもなく、そんな状況でもない。誰が悪いと言ってるときではなく、知事にしても首相にしても一生懸命やっているんです! 全員で気持ちを1つにしないと乗り切れない状況にきている……第1波よりもはるかに危険な状況にきている。マスコミの方も『緊急事態宣言なのに街から人は減りません』だとか『今日は1000人を切りました』だとか、なぜ皮肉めいた報道ばかりするのか。もう私たちは逃れられないところまできているんです!」と報道姿勢を批判しました。

「気持ちを一つに」とか、「誰が悪いと言ってるときではない」といいながら、マスコミ報道を批判する。確かに武漢ウイルスに対するマスコミ報道は不安を煽るばかりだと思いますけれども、尾崎・都医師会会長の発言は既に矛盾しています。

先に取り上げた経済評論家の上念司氏は、西村経済再生相の問題発言について、都議選で勝利した都民ファーストの論調を、いざ菅内閣がパクッてみたらこのザマだと述べていますけれども、なぜ「このザマ」になったのかついては語りませんでした。

これについて筆者は、小池都知事が国を悪者にしたからではないかという感じを受けています。つまり、武漢ウイルス禍でも東京五輪を"強硬"しようとする国に対して「抵抗」する都知事という構図を作り、国を悪者にすることに成功した結果、都議選では都民ファーストが"勝利"し、都民ファーストの主張をパクった西村経済再生相が叩かれたのではないかということです。

いずれにせよ、ここのところの世論はどこか「悪者探し」に流れているような気がしないでもありません。

もし、西村再生担当相が、協力しない店には金融機関云々ではなく、マスコミに不安を煽る報道の自粛を要請し、協力していただけない社には金融機関を通じて云々と発言していたら、世間はどういう反応を示したのだろうかと、ふと考えてしまいます。


4.自助から自衛へ


先に取り上げた上念司氏は菅総理に対し、ビジョンを出すべきだと述べていますけれども、菅総理は総理就任時「自助、共助、公助」という理念を掲げました。

まず、自分で自分を助ける「自助」、そして、自分で助ける力が不足している場合はみんなで助け合う「共助」、そしてそれでも足りないときは公的な機関が税を使って助ける「公助」。これ自身は社会の自然なあり方を示す、至極当たり前の理念だと思います。

ただ、これを今の武漢ウイルス対策、とりわけ飲食店に当てはめるとどう見えるのか。

まず「自助」についてですけれども、飲食店は、その多くが「テイクアウト」のメニューを開発して売るとか、大規模チェーン店では、採算の悪い店を閉店して統廃合を進めるなど、とっくに「自助」を行っています。

また、「公助」については、「休業補償」という形で設けていますけれども、支払いが滞ったり、そもそも、額が少なすぎて、助けるには足りていないのが現状です。

では、「共助」はどうなのか。今回の問題はここが大きくかかわっているようにも思えます。

苦境に喘ぐ飲食店に対する「共助」は何かというと、お客さんが沢山お店に行ってあげることでしょう。勿論、テイクアウトでも売り上げに貢献はするでしょうけれども、「お店」という場所を提供して、楽しんでいただくという面も考えると全てが全てテイクアウトとするにも限界があります。

6月15日のエントリー「どうやったらできるかを考える」で、筆者は、店舗の換気状況や空気の流れのシミュレーションを行って、クラスターにならないレイアウトやや換気設備の提案・設置などが出来るように、国がバックアップすべきだと述べたことがありましたけれども、菅政権が「共助」を本当に考えているのであれば、こうしたことこそ考えるべきだと思います。

ところが、緊急事態宣言を出して人流を抑制するだの、酒類の提供を止めるようお願いするだの政府はこの「共助」を潰す方向のメッセージを発信しています。

「公助」が不十分であるのに「共助」まで潰されたら、あとは「自助」しかありません。

店の席を40から30席に減らし、アクリル板を設けるなど感染対策を実施。基準を満たしていることを示すゴールドステッカーも取得している大阪のある鉄板料理店の男性店長は、「現在の協力金の額では苦しく、過料の20万をいつでも支払う覚悟で開けている。そもそも、なぜ店の規模に応じて協力金を支払うシステムがまだ作れていないのか。家賃負担の少ない店の中ではお金がたまった人もいて、根本的な不平等がある」とし酒類業者に情報提供されたとしても、店を開け続けると述べています。

また、大阪市内のビジネス街でバーを営む男性は、4月まで要請に従い休業していたが、協力金がなかなか入らず、店を開け、資金繰りの厳しさから午後5時から翌朝まで酒を出し、「銀行に情報提供されてもいい。どうせもう融資してもらえません。限界額まで借りたばかりだから」とまで語っています。

もうここまでくると「自助」を超え「自衛」になっているのではないかとさえ。

このままだと増々、国民は政府のいうことを聞かなくなっていくのではないかと思いますし、次の選挙にも影響が出てくると思います。菅政権は自ら掲げた「自助、共助、公助」という理念が口先だけのものなのか、本当にそれを進めようとしているのか、今まさにそこが問われているのではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 詠み人知らず

    飲み屋が悪いわけではない。飲んだ勢いで約束を守らない連中を制御出来るのかということ。コロナ前の話ですが酔って暴走気味の客に対してお店はほとんど無力でした。家庭感染の原因になり得るので規制は当然だと思います。経路不明も本当はわかっていて言わないだけではないかと思えてなりません。菅政権を批判するのは簡単ですが自民党議員も野党も批判するだけでハウトゥが一切ありません。検査拡大の意味のなさはハッキリしています。水際での対策強化とワクチン接種しかありません。累計6000万人を越えています。英国は今毎日3万人前後感染者が出ている。死者は少なくなったが人口比では日本以上です。規制を解除しましたがこれも政権維持の為のものですが愚作だと思います。また過去のようになると思います。それだけ日々進化しているコロナには今のワクチンだけでは無力なのかもしれません。日本人にはワクチンが効くことを祈るだけです。
    2021年07月12日 18:11