寝そべり革命

今日はこの話題です。
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1.中国の人口が50年ぶりに減少


5月11日、中国国家統計局は2020年に実施した国勢調査の結果を発表しました。

香港、マカオ、台湾を除く総人口は14億1177万8724人で、高齢者が10年で6割増える一方、出生数は約1200万人と前年比で2割近く減少しました。

中国の国勢調査は人口動態を把握するため、10年に1度実施していて、今回が7回目。国勢調査を行わない年は抽出調査をもとに総人口などを推計しています。

前回調査した10年からの年平均の人口増加率は0.53%と、2000年以降の10年間の0.57%と比べ鈍化し、全体の7割を占める15~64歳の生産年齢人口は2020年に9億6776万人と、ピークの13年から3.8%減っています。

一方、65歳以上の人口は1億9063万人で増加。総人口に占める割合も前回国勢調査を行った10年から4.63ポイント上がって、13.50%に達しています。

また、0~14歳の人口は2億5338万人と、10年前から13.8%増えたものの、国家統計局の寧吉喆局長は11日の記者会見で20年の出生数が「1200万人だった」と明かしています。これは2019年に比べ2割弱の減少で、1949年の中国建国以来、最大の落ち込み幅なのだそうです。

新華社通信は、三人っ子政策に関するオンライン投票を開始したのですけれども 回答者の9割以上が「全く考慮しない」と答えるという結果となっています。

中国共産党系メディアの環球時報は4月末、人口統計学者の見方として「22年にも総人口は減少に転じる」と伝え、政府系シンクタンクの中国社会科学院は2019年1月に「早くて27年」と試算していたのですが、それよりも早くなるという声も上がっています。


2.バイリンガル幼稚園


中国政府はこのままでは人口減少が止まらない。子どもは2人産んでほしい」と、それまで続けていた「一人っ子政策」を2013年に一部緩和し、2016年にはすべての夫婦に2人の子供を認める「二人っ子政策」にシフトしました。

けれども、2016年こそ前年から増えたものの、2017年は63万人減、2018年は200万人減と減る一方で、当局の2018年に2000万人以上に回復するとの予測は見事に外れました。

新生児の減少の原因として、挙げられているのは、おおよそ次の通りです。
・物価・生活費(不動産・教育費など)の高騰
・ライフスタイル、人生観の変化
・結婚率の低下、晩婚化
中でもとくに教育費は相当に負担になっているようで、2017年に北京大学中国教育財政科学研究所が実施した調査によると、家計に占める教育負担率は、小学生の場合は10.4%、中学生は15.2%、高校生は26.7%にも及びます。

とりわけ中国の都市部でかかる教育費は、東京と同等か、それ以上といっても差し支えないくらいで、更に中国では、ここ20年ほど、結婚と同時に不動産を購入する人が多いという特徴があり、「結婚するだけでもお金がかかる。その先の子どものことなんて考えられない」という人が多いのだそうです。

更に加えて中国の場合、日本以上にお金をかけているのが幼稚園の費用です。

今の中国では「よりよい教育」を受けさせようと私立幼稚園を選ぶケースが多く、最近は中国語と英語を使うバイリンガル幼稚園が流行っていると伝えられています。

当然、その費用は日本の比ではなく、深圳のあるバイリンガル幼稚園の費用は、日本円に換算すると年間で300万円ほどにもなり、更に値上がりしているのだそうです。


3.寝そべりは正義だ


今、中国の若者に「寝そべり族」というのが広がっています。

だらっと寝そべって、何も求めない。マンションも車も買わず、結婚もせず、消費もしない。最低限の生存レベルを維持し、他人の金儲けの道具や搾取される奴隷になることを拒絶する。それが「寝そべり」族です。

2021年4月、あるネットユーザーが、「寝そべりは正義だ」という文章を発表し、寝そべりブームを起こしました。

その文章では「2年も仕事をしていないが何も間違っているとは思わない。1日2食にすることで食料問題は解決した。消費は毎月200元以内に抑え、お金がなくなれば1年のうち1~2ヵ月仕事をする。ふだんは家で寝そべり、外で寝そべる。猫や犬のように寝そべっている……ずっと遊んでいることが間違っているとは思わない。ストレスは周囲の人と自分を比較することと昔からの伝統的観念からくるもので、それらはいつでもあらわれる。毎日のニュースは芸能人の恋愛や妊娠といった類のもので、まるで誰かがある考え方を皆に強制しているかのようだ……これまでは人の主体性を重視する考え方が存在しなかった。ならば私は自分で自分の考え方を作り出す。寝そべることは私の賢者の行動で、寝そべっているときだけが、人間が万物の尺度たりえるのだ」と綴られ、今や、作者は「寝そべり学の先生」とされているそうです。

また、「寝そべり」についてネットで最も人気のある投稿の1つは「A Guide to Lying Down」で、自分の欠点を受け入れたり、お金を自分の幸せとして扱わないなど、7つのステップが挙げられています。

無為自然というか老荘思想というか。ある意味、"古代中国的な匂い"を感じなくもありません。


4.無抵抗主義的庶民革命


この若者に広がる「寝そべり」運動に、危惧を覚えたのか中国メディアは火消しに走っています。

中国紙「南方日報」は、「寝そべりは恥、どこからきた正義感なのか?」という記事を掲載し、「若い人たちは未来に自信を持つべきだ。……闘争そのものが一種の幸福であり、闘争の人生のみが幸福な人生と呼べるのだ」と主張しています。

また、清華大学の李鋒亮副教授は「寝そべりは両親や納税者に申し訳ない」と論じ、共産党青年団のウェイボーは「使命を貫き、国家を貫く。"寝そべり"はいらない」と呼びかけいます。

更には、中国当局が「寝そべり」に関するネットの声を封殺に掛かっているようです。

中国の若者の中で「寝そべり」が受け入れられている理由として、フランスメディア「rfi」は、不平等感の深まりと生活コストの上昇で伝統的な成功目標が遥か遠く手の届かないものになってしまったため、一部の若者たちは最低限の仕事をするだけで、両親の世代のようなアグレッシブさをもたなくなってしまったのだと伝えています。

また、先ほど取り上げた「南方日報」は「欲求の低さの本質的な原因は、開発のモチベーションの低さ」にあるとし、中国の豊富な労働資源とメガマーケットの優位性を下敷きに、中国の経済発展は幅広い展望を持っていると訴えています。

若者を中心に、労働生産と消費を担う層が「寝そべる」と生産も消費も落ち込むことは論を待ちません。畢竟、中国市場の魅力も低下することになります。

つまり「寝そべり」とその広がりはそうしたリスクを秘めた運動だという訳です。

中国当局はどうにかこうにか、寝そべりを食い止めようと躍起になっていますけれども、筆者には、これはガンジーの無抵抗主義を彷彿とさせる庶民による一種の"革命"に近いものを感じます。

はたして、この「寝そべり」がどこまで、いつまで続くのか分かりませんけれども、「闘争の人生のみが幸福な人生なのだ」などという単一の価値観を強要するだけでは、「寝そべり」を抑えることは無理なのではないかと思いますね。


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