米韓共同声明にも静かな中国

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2021-05-24 230701.jpg


1.米韓共同声明での台湾言及は内政干渉


5月21日の米韓首脳会談後に発表された共同声明について、中国紙が報じました。

22日、中国国営環球網は「共同声明で台湾と南シナ海がやはり議論された」とし、これは中国の内政を干渉したものと指摘。その上で米韓両国首脳が包容的で自由で開放的なインド太平洋地域を維持することを約束し、台湾海峡で平和と安定維持の重要性を強調したと共同声明の内容をそのまま伝えました。

環球網は「米韓は共同声明で両国が新しい分野でパートナーシップを深め、5G、6G、半導体を含む新技術分野、気候などで新たな連係を構築すると明らかにした」とも報じています。

そして、中国政府は、24日、外交部の趙立堅副報道局長が記者会見で、米韓共同声明について、「台湾問題は中国の内政で、主権や領土の一体性に関係し、外部勢力の干渉を許さない。関係国は台湾問題において言行を慎み、火遊びしないよう促す」と台湾に言及したことについて批判しました。

ただ、筆者には、この批判とて、予想された程激しい反発には見えません。

例えば、昨年7月、カナダ政府が中国の「香港国家安全維持法」に対する制裁を発表した際には、中国政府には報復の用意があり、カナダは「その責を負うことになる」だろうとし、カナダ政府に対して「両国関係へのさらなるダメージを回避するため、直ちに間違いを正すよう」求める発言をしています。

まぁ、現時点では韓国が中国に対して具体的に何か制裁をした訳ではありませんから、まだ、これほどの反発を見せなかっただけかもしれませんけれども、米韓首脳会談前の中国メディアの報道の方は、これよりも激しいものでした。


2.韓国は自国のために耐えるべき


5月21日、環球時報は社評で「米国が韓国を助米抗中に引き込むため強・穏両面策を使うが、韓国は自らのために耐え抜かなければいけない」と主張しました。

記事では、「アメリカが韓国を反中国統一戦線に引き込もうと急いでいるのが分かる」としながらも「文在寅政権はアメリカの脅威を防ぐことができると信じる」とし、台湾への言及について「韓国の国益に合わず、韓国がアメリカの脅迫で毒杯を飲むのと変わらない」と批判していました。

そして、今回の首脳会談について「韓国外交の独立自主性に対する新たな試験……両国の共同声明がどのように出るかが、韓国がアメリカの圧力下で原則のマジノ線を守れるかどうかの試金石になるだろう」と伝えました。

環球時報は「アメリカはすでに自国の利益に合わせて朝鮮半島政策を作り、韓国の利益に対する考慮は周辺化されている……アメリカが韓国に強・穏両面策を使って韓国のための戦略的な罠を特別制作した……韓国が比較的速く発展できたのは、米中関係を穏健に処理したのと一定の関係がある……韓国の利益は創造的に超強大国のアメリカと相互作用し、どのように韓米関係で発言権を拡大できるかにある。アメリカのために利用されることにあるのではない」と述べていました。

首脳会談前には、台湾に言及することは毒杯を飲むのと同じとまで脅していたのです。

けれども、韓国がその毒杯を飲んでみせた後で「火遊びするな」とは、中国にしては大人しい態度のように見えます。


3.米韓共同声明はワシントンとソウルが到達できる最大のコンセンサス


共同声明が出されたあと、22日、環球時報はオブザーバー談として「共同声明の文言は、台湾関連問題でワシントンとソウルが到達できる最大のコンセンサスである」という社説を掲載しました。

社説では、遼寧省社会科学院のリュウ・チャオ研究員が「共同声明の中でこのような発言がなされることは予想されていたし、中国問題に関して米韓が到達できる最大のコンセンサスであった」と述べ、会談後の記者会見で、文大統領が台湾について「台湾海峡の平和と安定が極めて重要であるという見解を共有し、中台関係の特殊性を考慮しつつ、その問題について協力していくことで合意した」と答えた中の「中国と台湾の関係における特別な特性を考慮する」という前提条件を取り上げ、これが、韓国はアメリカとの同盟関係を強調する一方で、アメリカに追随して中国に敵対的な措置を取ることはなく、中国とアメリカに関連する問題に対処する上での原則と姿勢に変わりはないことを示していると指摘しています。

また、中国外交大学の周永生教授は「韓国は、アメリカが東アジアでいわゆる反中同盟を構築しようとしている中で、比較的弱い存在だ……中国とアメリカの間の相対的な中立性を放棄した日本とは異なり、韓国には中国に対抗するために四極安全保障対話に参加する意志がないのかもしれない。中国はいまだに韓国のNo.1貿易パートナーであり、朝鮮半島問題においても重要な役割を果たしている」と語っています。

つまり社説では、共同声明はギリギリの妥協の産物であり、韓国は中国を裏切ってアメリカに付いた訳ではないと評価しているようなのですね。

であれば、中国政府が韓国に対し比較的大人しく見えるのも道理です。

ただ、アメリカは韓国を諦めた訳ではなく、今後も、中国を封じ込めるために、朝鮮半島問題を含む別のアプローチを模索し続けるだとうと注を付けています。

むしろ、社説では「日本はアメリカと共謀して中国に対抗する道を歩んでいる」と日本への警戒感を露わにしているくらいです。

先の日米首脳会談での共同声明と今回の米韓共同声明において、台湾に関する部分についていえば、どちらも「台湾海峡」と台湾そのものに言及しないなど、大きな差はないように見えるのですけれども、日本は敵対したとみて、韓国についてはそう見ない。興味深い態度です。


4.対中感情が悪化する韓国


ただ、当の韓国世論をみると、対中感情が悪化しているという話もあります。

5月19日、中央日報は論説委員名の「日本より中国が嫌い、中国と関連すれば企業イメージに打撃」というコラムを掲載しました。

コラムは、東アジア研究院(EAI)が毎年実施している周辺国に対する好感度調査を取り上げ、中国に対する韓国人の敵対感は過去5年間に16.1%から40.1%に上昇。周辺4強(日米中露)のうち断トツの一方、友好感は50.0%から20.4%に急落したと述べています。

さらに、アメリカのシンクタンク「シカゴ・カウンシル」の最近の調査でも、韓国人の中国選好度は10点満点で3.1点と、日本の3.2点より低いことを紹介しています。

これらの理由として、李熙玉・成均館大教授の「2017年のTHAAD報復、中国が発源地だった昨年のコロナ事態に続き、最近のキムチ起源論争もあり、中国に対する感情が急激に悪化した……中国の力は強まったが、筋肉ばかりが強くなり、ソフトパワーは依然として脆弱(ぜいじゃく)な状態だ。そのような状態で中国の力が韓国に投射され、世論が悪化した」との分析を取り上げています。

実際、嫌中世論の圧力に、江原道春川・洪川で進められていた中国人観光客向けのK-POミュージアムとドラマセット場、公演会場、中国風の伝統文化通りなど大規模な観光団地を造成するという「韓中複合文化タウン」構想の造成計画が白紙に追い込まれたそうです。

江原道の崔文洵(チェ・ムンスン)知事は「地域観光振興のために民間資本の主導で進められる事業であり、中国の文化侵略とは関係がないとファクトを前に出して反論したが、世論は変わらなかった……数年前まで中国の投資を受けてチメク(チキン+ビール)パーティーなど中国人観光客誘致活動をすれば称賛を受けたが、雰囲気が正反対に変わった」とコメントしています。

現在のところ、この他にも江原道正東津と京畿道抱川で推進中の「チャイナタウン」建設計画を取り消してほしいという請願も大統領府に向けて出されているそうです。

果たして中国政府が韓国世論まで気にしたのかどうか分かりませんけれども、韓国は感情で大きく意見が触れるところがありますから、下手に刺激して韓国をアメリカ側につかせるよりは、程良く圧力を掛けててなづけようとしたのかもしれません。

外交では米中の板挟みになり、内政では支持率激減でにっちもさっちもいかなくなっている文在寅大統領ですけれども、今後どういう手をうってくるのか。日本は非韓三原則をして丁寧に無視でよいと思いますね。



  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 26

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント