米韓首脳会談で文在寅が得たもの

今日はこの話題です。
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1.米韓首脳会談


5月21日、アメリカのバイデン大統領は、ホワイトハウスで韓国の文在寅大統領と初めてとなる直接会談を行いました。バイデン氏は北朝鮮情勢に関し、米韓首脳が「朝鮮半島の完全非核化」の実現に向け、「北朝鮮と外交を通じて緊張緩和のための現実的な措置を取る考えで一致した」と述べ、両首脳は、台湾海峡の平和と安定の維持に向けて緊密に連携していくことも確認しました。

韓国国内では、今回の米韓首脳会談を通じ、武漢ウイルスのワクチン供給加速に期待が高まっていたのですけれども、共同声明は、両国の協力強化が強調されるにとどまり、具体的な供給提案などの記載はありませんでした。韓国企業側が「手土産」として事前に44兆ウォン(約4兆2千億円)に上る大規模投資を発表していたのですけれども、スルーされてしまいました。

韓国メディアは、バイデン大統領と文在寅大統領の1対1の会談が当初の予定を超え37分間行われ、マスクを着用せずに昼食を共にしたなどと、4月に菅総理が臨んだ日米首脳会談との違いを強調しているようですけれども、外見えはともかく、現実の成果として何を得たのかとなると、今後色々明らかになるかとは思いますけれども、現時点では、心許ないというのが正直なところです。


2.共同声明冒頭


文大統領は、今回の訪米では、その外見えでもきついメッセージを受けています。

21日、バイデン大統領はアメリカ軍最高位の勲章「名誉勲章」の授与式に、外国首脳として初めて文大統領を招きました。

勲章を授与されたのは、朝鮮戦争を韓国軍とともに戦った元アメリカ軍兵士のラルフ・パケット・ジュニア予備役大佐です。

授与式の後には、家族に囲まれたラルフ氏の脇で、両首脳が膝をついて記念撮影し、「強固な米韓同盟」を演出した形ですけれども、その裏には米韓同盟を忘れるな、というメッセージが含まれていることは明らかです。

実際、首脳会談後の共同声明で、冒頭で次の様に述べられています。
70年以上前、米国と韓国の同盟関係は、戦場で肩を並べて戦ったことで築かれました。共通の犠牲のもとに結ばれた私たちのパートナーシップは、その後数十年にわたって平和を維持し、両国と両国民の繁栄を支えてきました。安定と繁栄の要である米韓同盟は、私たちを取り巻く世界の変化に合わせて進化し続けています。今、インド太平洋地域の安全保障環境がより複雑になり、COVID-19パンデミックから気候変動の脅威まで、実存的な問題が地球を再構築する中で、我々は鉄壁の同盟関係を再構築します。

米国と韓国は、国内外で民主主義の規範、人権、法の支配によって統治される地域のビジョンを共有している。私たちは、両国民に平和と繁栄を提供し続けるとともに、地域と世界の秩序の要となるようなパートナーシップを求めている。そして何よりも、私たちは、新しい時代に向けて米韓関係を再活性化し、近代化するという決意で一致しています」。 ジョセフ・R・バイデン・ジュニア大統領は、韓国の文在寅大統領をワシントンにお迎えし、我々のパートナーシップの新たな章を始めることを光栄に思います。
もう、冒頭から朝鮮戦争に触れています。これを頭に持ってきたということは、アメリカは、韓国との同盟関係が揺らいでいると認識しているということです。



3.南シナ海と台湾


共同声明では、注目された中国を直接名指しする批判はありませんでしたけれども、南シナ海と台湾について触れています。そのくだりは次の通りです。
アメリカと韓国は、ルールに基づく国際秩序を損ない、不安定にし、脅かすすべての活動に反対し、包括的で自由で開かれたインド太平洋を維持することを約束する。我々は、南シナ海およびそれ以遠における、平和と安定、合法的で妨げられない通商、および航行と上空飛行の自由を含む国際法の尊重を維持することを誓う。バイデン大統領と文大統領は、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調しています。多元主義と個人の自由を重んじる民主主義国として、我々は国内外で人権と法の支配の問題を推進する意図を共有している。
The United States and the Republic of Korea oppose all activities that undermine, destabilize, or threaten the rules-based international order and commit to maintaining an inclusive, free, and open Indo-Pacific. We pledge to maintain peace and stability, lawful unimpeded commerce, and respect for international law, including freedom of navigation and overflight in the South China Sea and beyond. President Biden and President Moon emphasize the importance of preserving peace and stability in the Taiwan Strait. As democracies that value pluralism and individual liberty, we share our intent to promote human rights and rule of law issues, both at home and abroad.
文章を読むだけで、明らかに中国を念頭に置いていることが分かります。しかもアメリカは「自由で開かれたインド太平洋」を維持することを韓国と共に約束すると宣言しています。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」は日本が提唱し、アメリカが乗っかった戦略です。4ヶ国クワッドに参加できない韓国が「自由で開かれたインド太平洋戦略」に入ることを約束させられた。あるいは韓国は、水面下で色々な要求を飲ませられたのかもしれませんけれども、今後どのような展開になってくるのか。ちょっと気になります。


4.幸いにもそのような圧力はなかった


そして、更に、注目したいのは、共同声明記者会見での両首脳の発言です。

記者から、中国の台湾に対する姿勢について、より厳しい態度をとるように、バイデン大統領から迫られたのかと問われた文大統領は次のように答えました。
文大統領:幸いにも、そのような圧力はなかった。 しかし、台湾海峡の平和と安定については、特に中国と台湾の間の特殊性を考慮すると、この地域がいかに重要であるかという点で合意した。 私達は、今後、この問題についてより緊密に協力していくことを決めた。
「幸いにも、そのような圧力はなかった。(Well, fortunately, there wasn’t such pressure.)」です。本音が出たのか、口が滑ったのか分かりませんけれども、なぜ「幸いにも(fortunately)」などという言葉を使ったのか。しかも、その直後に「台湾海峡の平和と安定」により緊密に協力することを決めたと続けているのですね。

これだと、アメリカに対中強硬を強要されなかったが、台湾問題については、自主的にアメリカに協力すると意思表明したことになります。

この文脈だと「幸いにも(fortunately)」は、「触れられたくないと思っていた対中強硬を強要されなくて幸いだった」という意味ではなく、「元々対中強硬を考えていたが、アメリカに促される形での表明ではなく、自ら表明して面目を保つことが出来て幸いだった」と反対の意味に捉えられてもおかしくありません。

先日、文大統領がペロシ下院議長らと会談した後、日韓関係や米中関係に関して発言したとする内容の報道資料を発表されたのが、後になって取り消されるという騒ぎがありましたけれども、今回の共同声明記者会見はオープンでの発言で記録にも残っています。しかも共同声明ですから、韓国一国の都合で取り消しなど出来ません。

おそらく中国は今回の米韓共同声明について批判をすると思いますけれども、それ以上に、韓国に対して如何なる"報復"をするのかは注目すべきポイントではないかと思います。


5.口先で判断しない


一方、バイデン大統領は、記者から、北朝鮮の金正恩氏と会う一定の前提条件とは何かと問われ次のように答えました。
バイデン大統領:私は、相手が何を言ったかによって、その人が何をするかしないかを判断することはない。そのうちわかることだ。 もし彼が何かを約束したならば、私は彼と会うだろう。 もし彼が何かを約束していたら、私は彼と会うだろう。その約束とは、彼の核兵器について話し合うことであり、彼らのやっていることをどう緩和するかということだ。

その場合は、国務長官をはじめとする関係者が交渉して、今後の進め方について何らかのアウトラインが作られない限り、私は会わないだろう。
バイデン氏は、口先では判断しない。約束をして、具体的なアウトラインを作れて、初めて会うと明言した訳です。少なくとも無条件で会うことはないと宣言しました。共同声明の席でのこの発言は、文大統領もこれに同意していることを意味します。

これに対して、北朝鮮はどういう反応を示すのか。またぞろミサイルを飛ばして、拒否して見せるのか。こちらの動向にも目が離せません。

ただ、今回の米韓首脳会談の全体では、やはりアメリカの対中戦略の影が濃厚にちらついているように思います。

色んな踏み絵を踏まされた感のある文大統領ですけれども、残り一年の任期で何をするのか。あるいは何もできないのか。今回の米韓首脳会談で文大統領が得たものは、大枠では中国の怒りだったという結論になってしまうのかもしれませんね。



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