アーク21とデカップリング

今日はこの話題です。
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1.日米豪仏共同訓練・アーク21


5月11日、陸上自衛隊とフランス陸軍、米海兵隊による離島防衛を想定した共同訓練が九州で始まりました。

訓練期間は11日から17日まで(17日は予備日)で、島嶼防衛に係る海上自衛隊の戦術技量の向上及び米豪仏海軍との連携の強化を目的としたものです。

参加部隊は、海自からは護衛艦「いせ」、護衛艦「あしがら」、護衛艦「あさひ」、護衛艦「こんごう」、輸送艦「おおすみ」、ミサイル艇「おおたか」、ミサイル艇「しらたか」、哨戒機、潜水艦が参加。米軍はドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」、P-8A、MV-22が参加。オーストラリア軍は、フリゲート艦「パラマッタ」が参加。フランス軍は強襲揚陸艦「トネール」、フリゲート艦「シュルクーフ」を派遣してきました。

主要訓練項目は防空訓練、対潜訓練、着上陸訓練とのことですけれども、参加艦艇をみれば尖閣その他の離島防衛にあることは明らかです。

これについて11日、岸防衛相は記者会見で「東シナ海において、フランス海軍及び米海軍、豪州海軍も加えた4ヶ国の艦艇・航空機による対潜戦訓練のほか、航空自衛隊のF-2戦闘機の支援を得て防空訓練を実施をいたします。また、陸軍種と海軍種の協同による着上陸訓練として、地上部隊がヘリコプターで洋上の艦艇から霧島演習場に展開するという一連の訓練も行います。日米豪仏の4ヶ国は、今般の陸上・海上での共同訓練を『ARC21』(アーク21)と称することとしております。防衛省・自衛隊としては、この「ARC21」を通じて、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを共有する日米豪仏4カ国の協力関係を一層深化させるとともに、島嶼防衛に係る自衛隊の戦術技量や4カ国との連携を更に強化してまいりたいと考えております」と述べています。

今回の共同訓練では、フランス陸軍が国内の訓練に参加するのは初めてのことなのですけれども、その意義について記者から問われた岸防衛相は次のように答えています。

この度、フランス軍との共同訓練ということを先ほど申し上げたところでございます。このフランスについては、インド太平洋地域に常続的な軍事プレゼンスを有する欧州唯一の国でございます。わが国と「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを共有する同志国でもあるということでもあります。今回の機会を捉えて、この「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを共有する国々、フランスに加えて米国、豪州、こういった国との協力関係を一層進化させるということは、大変意義があることだというふうに考えているところであります。引き続き、それ以外の欧州各国もですね、艦艇を派遣してくれる国もあります。そういった国ともこのFOIPのビジョンを共有し、そして協力関係を深めていくということを進めていきたいと考えております。

また、同盟を結んでいない欧州各国が、有事に助けてくれる保証はなく、東シナ海に各国の軍が集まるのは中国を刺激し、偶発的な衝突も起こるのではないかという質問には、特定の国を念頭に置いたものではなく、各国がインド太平洋地域に関心をもってプレゼンスをそれぞれ示し、ビジョンを共有できる国々と包摂的な体制を広げることが、地域の平和と安定に繋がると答えています。

要するに、FOIPによるプレゼンスによってインド太平洋地域の平和維持を図るということです。

特定の国を念頭に置いたものではないといいつつも、思いっきり中国を牽制するものだと分かります。

この共同訓練について、フランス国防省のグランジャン報道官は時事通信のインタビューに対し、「インド太平洋地域への我々の関心の強さと日本との協力関係を確認する機会だ……絶対的に重要なパートナーであり、両国は同じ価値観を共有している」と述べ、日仏の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を「数週間以内に開催したいと考えており、日程を最終調整中だ」と明らかにしています。

グランジャン報道官は、中国が台湾海峡で軍事活動を活発化させていることをめぐり「国際社会の反応を試そうとしている」と指摘していますけれども、フランスはインド洋や南太平洋に海外領土を持ち、実に90%以上の排他的経済水域(EEZ)をインド太平洋地域に持っていますから、近年の中国の海洋進出を警戒するのも当然です。この地域への関与を強めたいと動くのも必然です。


2.ガソリンの無駄遣い


一方、ターゲットになっている中国はというと、焦りを見せています。

5月13日、中国外務省の華春瑩報道局長は会見で、4ヶ国の共同訓練について「これらの国がいつも中国を関連付けて問題を起こすことに反対する……軍事演習を行っても構わないが、中国には何の影響もない……ガソリンの無駄遣いだ……4ヶ国の軍事訓練で中国を脅かすことができると思っているのか……自国民の利益のために時間や資源をもっと使うよう希望する」と牽制しました。

岸防衛相がFOIPは特定の国を念頭にしたものではない、といっているにも関わらず、自分から「中国を脅かすことができると思っているのか」というとは、答え合わせにしてもストレートすぎます。まぁ、それだけ脅威に感じているということです。

尖閣諸島の現状を発信している石垣市の仲間均市議は、5月10日、自身が所有する船で尖閣諸島に向かったところ、いつもは中国海警局の船が漁を妨害するかのように接近、追尾したまま領海に侵入していたのが、この日はまったく近づいてこなかったというのですね。

中国海警局の船が近づいたこなかったことについて、仲間市議は、「映像を撮らせたくないんじゃないかな、日本がこれだけ騒いでいるから……熱しやすく冷めやすいのが尖閣問題だから、国民が関心持たない限りはダメですよ」と指摘していますけれども、あるいはほとぼりが冷めるまで、少し静かにしておこうか、くらいのことかもしれません。

この対応の変化について、笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「一般的に海警局の船は、エスカレートする方向へは自動的に動きがちですが、抑制する側には自動的には動かないのが普通です。習近平氏の意向が働いている、と考えるのが適切だと思います……日本に対してあまり強く出ると、アメリカにより近づけてしまう恐れがある。なんとか日本の世論に働きかけて、あるいは日本の経済界に働きかけて、日本の政府の政策を少しアメリカから離したいと」と述べています。

日米が同盟強化されるだけでも厄介なのに、そこに英仏豪印と絡んでくると、完全に包囲されてしまいますからね。なんとか結束を弱めたいと色々画策してくることが考えられます。


3.封じ込めしながらのデカップリング


5月14日、環球時報は「英仏はインド太平洋を視野に入れているが、Quadは考慮されていない」という社説を掲載しました。

社説は、4ヶ国共同訓練が行われる中、イギリスが「クイーン・エリザベス」を派遣したことについて触れ、これは、イギリスやフランスといったヨーロッパの主要国をクワッドに引き込み、対中バランスを強化しようとするアメリカの意向を反映したものだとしています。

けれども、アメリカのインド太平洋戦略は中国を封じ込めるためのものである一方、イギリス、フランスのそれはアジア太平洋問題により深く関与し、影響力を拡大するものであるというのですね。

従って、イギリス、フランスは自分たちのプレゼンスを強調したい反面、中国を刺激することには消極的であり、アメリカに追随することは、短期的な戦略に過ぎず、中国が中米関係や対欧州政策で良い結果を出せば、イギリス、フランスのインド太平洋地域への関与は限定的なものになるだろう、と述べています。

あれだけ世界中に居丈高な「戦狼外交」をしておいて、どうやって"良い結果"を出すのか想像できませんけれども、札束で頬を叩いていうことを聞かせるやり口も、いつまで通用するかは分かりませんか。

アメリカが狙う、中国デカップリング戦略がどこまで進むかにもよると思いますけれども、封じ込めしながらのデカップリングをいつまで続けられるのかは一つのポイントになるような気がしますね。


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