台湾新ガイドラインと太平洋抑止イニシアティブ

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。



2021-04-12 1611103.jpg

1.バイデンの台湾新ガイドライン


4月9日、アメリカ国務省は、アメリカ政府と台湾の当局者間の非公式接触の制限を緩和する新たな指針を策定したと発表しました。

国務省は指針について、台湾をめぐる歴代政権の「一つの中国」政策を維持しつつ、「米台の非公式関係が深化していることを背景に、台湾との関与を奨励するものだ」としています。

新たな指針についての詳細は公表されていませんけれども、国務省によると、アメリカ連邦政府庁舎内やワシントンの駐米台北経済文化代表処での米台の実務当局者間の会合が解禁されるとしています。

また、1979年の米台断交前まで台湾の大使公邸として使用されていた「ツイン・オークス」での、駐米台北経済文化代表処が主催する行事にもアメリカ政府当局者が出席することもできるようになるようです。

国務省は「米国が台湾を支援する立場は盤石だ。アメリカにとって死活的に重要な経済と安全保障のパートナーである台湾との結びつきを深化させていく」などと強調しています。

この「ツイン・オークス」にアメリカ政府当局者が顔を出せるというのは象徴的な意味を持っています。なぜなら、「ツイン・オークス」は事実上の台湾大使館であり、畢竟、アメリカが台湾を国家扱いすることを意味するからです。


2.ツイン・オークス


「ツイン・オークス」は元々は中華民国駐米大使館で、米台国交断絶後、台湾の駐米台北経済文化代表処が購入したものです。

2015年1月1日、台湾の駐米代表の沈呂巡氏と駐米事務所のメンバーが「ツイン・オークス」で、米台国交断絶後に初めてとなる台湾(中華民国)の国旗掲揚式を行いました。

台湾にしてみれば、自国の駐米大使館である「ツイン・オークス」で台湾国旗の掲揚を行うのは当然の行為になるのですけれども、これに当時のアメリカ国務省は激怒しました。

国務省は事前に国旗掲揚式の連絡がなく「米台には外交関係がない」ことを強調して、「アメリカが長時期に米台の非公式関係の理解を違反した」と述べ、この行為に「失望」したと主張したのですね。

それだけではありません。

その後、国務省は自国の「米台関係ガイドライン(Guidelines on the Relationship with Taiwan)」を修正しました。その内容は次のとおりです。
1)台湾駐米代表所のメンバーのアメリカ・国務省ビルの進入を禁止する。
2)台湾駐米代表所のツイン・オークスでの国旗掲揚式を禁止し、米国政府機構で中華民国の国旗の展示を禁止する。
3)アメリカ国防省はアメリカ軍事学校で交流や訓練を行う際、台湾の軍隊関係者の軍服の着服や中華民国の国旗の露出を禁止する。
修正ガイドラインで、中華民国の国旗掲揚を許さず、そのメンバーも国務省に出入り禁止すると規定していることから明らかなとおり、当時のアメリカは中国の主張する「一つの中国」を支持し、台湾を国家として認めない姿勢でいました。

それが今回の「新たな指針」では、「ツイン・オークス」にアメリカ政府当局者が顔を出すことを解禁した。おそらく、「新たな指針」では、中華民国の国旗掲揚も許すようにしているのではないかと思いますけれども、これは、これまでの「一つの中国」を支持しない姿勢を鮮明にしたことを意味します。
2021-04-12 1611101.jpg


3.北京政府が緊張を高めている


アメリカのブリンケン国務長官はNBCニュースの「ミート・ザ・プレス」ショーで、台湾海峡において、「北京政府が台湾に向けてますます攻撃的な行動をとり、緊張を高めている」ことをアメリカは懸念しているとの認識を示しています。

ブリンケン国務長官は、中国の「一つの中国」政策を維持する一方で、「台湾に対するコミットメント…何年も何年も前から存在する超党派のコミットメントで、台湾が自衛能力を持つようにし、西太平洋の平和と安全を維持するようにしている……我々はこれらのコミットメントを支持する……私が言えるのは、誰もが力ずくで現状を変えようとするのは重大な過ちであるということだ」とコメントしています。

ただ、中国が台湾を支配した場合、アメリカが台湾を軍事的に防衛するかどうかについては言及を避けました。

中国は中国で、ここ数日、台湾が中国の侵攻を想定したシミュレーションを行っていることに反発し、北京が侵略を選択した場合、台湾の軍隊には「チャンスがない」と威嚇しています。


4.2022年以降が台湾にとって最も危険な時期


中国軍は連日台湾の防空識別圏に軍用機を侵入させていますけれども、中国空軍は昨年380回も台湾の防空識別圏に侵入しています。これは、1996年以来最多です。

4月1日、台湾は、北京が南シナ海の北部に位置する台湾東沙島の近くで無人ドローンを飛ばしていると発表しました 。当局は、偵察の為であることは否定できないとしています。

これについて、国防長官室でサイバーセキュリティ政策・戦略・国際問題を担当していたジョン・ミルズ氏は、「Epoch Times」の取材に「北京の侵攻は、台湾侵攻に向けた一連の予行演習の一環である」と述べています。

ミルズ氏によると、水陸両用の上陸作戦の複雑さや、中国軍が敵国への強行上陸を行ったことがないことを考慮すると、このような予行演習が必要だとし、台湾への水陸両用の攻撃には、中国の民間商船や漁船の大群が巻き込まれる可能性があると指摘しています。

ミルズ氏は、習近平主席が経済危機などの内部問題から目をそらすために、台湾を攻撃する可能性があり、10年、あるいは6年経っても台湾攻撃しなかったら、それは習近平主席が解任されたことを意味するとまで述べています。

これについて、H.R.マクマスター前国家安全保障顧問は、2022年以降が台湾にとって「最も危険な時期」であるとし、それが2022年の北京冬季オリンピック終了後と一致すると指摘しています。

ミルズ氏は、北京の台湾への野心は、台湾の半導体製造能力を手に入れたいということに起因すると述べていますけれども、これは評論家の石平氏が指摘しているのと同じです。

ミルズ氏は、バイデン政権は中国共産党に対して明確な抑止政策をとり、台湾周辺、東シナ海、南シナ海に海軍と空軍のプレゼンスを明確にすべきだとし、更に、台湾関係法に基づいて、台湾が求める武器を販売すべきだと述べています。


5.太平洋抑止イニシアティブ


今年1月1日、アメリカ上院で2021会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法が成立していますけれども、この中に「太平洋抑止イニシアティブ(Pacific Deterrence Initiative: PDI)」という新たな基金が基本予算のなかに盛り込まれました。

これはインド太平洋地域における米軍の能力向上を目的とし、21年度は国防予算総額約7405億ドルのうち約22億ドルが割り当てられています。

この「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」は、2014年のウクライナ危機を受けてオバマ政権下で始まった「欧州抑止イニシアティブ(European Deterrence Initiative: EDI)」から着想を得ています。

「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」は対ロ抑止を目的とした基金で、「欧州でのプレゼンス増強」、「演習・訓練の強化」、「装備の事前配備」、「インフラ整備」、「NATO同盟国やパートナー国の能力強化」に対して基本予算とは別立ての海外作戦経費から資金が投じられてきました。これらは有事下での米軍の即応能力や展開能力を高めるうえで必要不可欠なものであり、これにあわせて欧州の同盟国も国防費を増額するなどこれまで以上の防衛努力を行っています。

「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」の予算規模は、初年度である2015年度が約10億ドルだったのが、2019年度には約65億ドルまで増額されています。

これまでインド太平洋方面にはそのような予算措置は取られてはいませんでした。

それが今回初めて、「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」として、予算化されたのですね。

そして、今年2月末、インド太平洋軍はこの「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」の22年度予算として約47億ドル、今後6年間(22~27年度)の予算として約274億ドルという要求額を議会に提示しました。この額は21年度のそれを大きく上回り、同年度の「欧州抑止イニシアティブ(EDI)」予算要求額である約45億ドルとほぼ同じです。

この予算は、グアムにおける統合防空ミサイル防衛の構築、第一列島線に沿ったミサイル網の形成、兵力拠点の分散に加えて、広大な戦域においてアメリカ軍の能力を最大限発揮させるために必要な燃料・弾薬庫や飛行場といった兵站やインフラの整備・強化、また同盟国・パートナー国の能力強化、演習・訓練の強化などに当てるとしています。

アメリカはインド太平洋方面に欧州と同額規模の資金を投入して、安全抑止に踏み出そうとしています。当然日本にもそれに応じた行動を求められるでしょう。

中国の脅威から目を離すことはできないと、腹を括るときが来たように思いますね。


  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 17

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント