リベラルがサヨクにサヨナラする日

今日はこの話題です。
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1.ヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会の会見


4月8日、人権NGOヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会は、取引先が中国の新疆ウイグル自治区での強制労働に関わっていると指摘された日本企業への調査結果を公表しました。

そして、日本企業に対し「強制労働の事実が明確に否定できない限り、即時に取引関係を断ち切るべきだ」との声明を出しました。

調査結果によると、14社のうち回答しなかった1社をのぞいて関与を否定しているのですけれども、この調査については、2月23日のエントリー「名指しされたウイグル人弾圧疑い企業」で取り上げたことがあります。

この時点で回答があったのは11社で残りの3社は、良品計画(MUJI)、しまむら、京セラの3社です。

今回の発表ではこれらの3社についても公開されています。
※ただし、京セラについてはリンクミスなのか回答書が質問書になっていたため確認できていない

ただ、今回の調査でもパナソニックは無回答のままでした。


2.政治的な質問にはノーコメントだ


4月8日、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は決算記者会見で、ウイグル自治区から調達した綿花を使用しているかどうかと問われ、「我々は全ての工場、全ての綿花を監視している。問題があれば取引は停止している。これは人権問題というよりも政治問題であり、政治的に中立な立場でやっていきたいので、政治的な質問にはノーコメントだ」と直接の回答を避けました。

この発言にネットでは「日本は一院制にしろとか政治の話ばっかしてんじゃねーか」とか、「劣化した日本人とかなんとか」とか「日本に文句言うのは政治問題じゃないんですか?」とか散々突っ込まれていますけれども、先の人権NGOヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会の調査に、ユニクロは回答してます。少し長いですけれども、その回答を引用すると次のとおり。
質問1:上記の報道を受けて、貴社の製品に関するサプライチェーン全体とウイグル人の強制労働に関係性の有無について、更なる実態調査を実施しましたか。
 → 実施した場合、具体的な方法・内容及びその結果についてご回答ください。
 → 実施していない場合、今後の実施予定の有無についてご回答ください。

回答1:弊社では、すべての取引先縫製工場および主要素材工場に対し、「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」に基づき、人権侵害や労働環境を確認する監査を定期的に実施しており、これまで、ウイグル人に対するものを含むいかなる強制労働も発生していないことを確認しております。

なお、昨年5月18日付で貴信に回答しました通り、同 3 月、「オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute:ASPI)」が発表した報告書内で、ユニクロと関連付けられている Youngor Textile Holdings Co. Ltd、および Qingdao Jifa Huajin Garment Co. Ltd は、ユニクロとの間に取引はないことを確認済です。

さらに、昨年、ユニクロ、ジーユーの取引先工場の上流工程にある主要な素材工場や紡績工場についても調査を実施し、新疆ウイグル自治区に所在する生産施設がないことを確認致しました。また、新疆ウイグル自治区以外に所在する工場においても強制労働は発生していないことを確認致しました。

原材料について、素材サプライヤーに対しては、調達する綿花の生産においても強制労働がないよう求めています。現在ユニクロでは、国際基準に則って、農家における強制労働や児童労働がなく、人権や労働環境が適正に守られていることが確認された、サステナブルコットンのみを使用しています。今後も、生産過程において人権や労働環境が適正に守られたサステナブルコットンの調達を推進していきます。


質問2:上記の報道を受けて、サプライヤーの選定方法や人権デューデリジェンスの実施方法について、対応した点がありますか。

回答2:弊社では、すべての取引先工場に「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の順守を求め、新規に取引を開始する工場に対しては、取引開始前の監査を行い、基準を満たすことが確認された場合のみ取引を開始します。また、取引先工場に対し、上流工程のサプライヤーに弊社の「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」の順守を徹底するよう要請しています。

また、上記の通り、昨年、取引先工場、主要素材工場に加え、その上流工程のサプライヤーの人権デューディリジェンスも開始し、強制労働や人身取引といった人権侵害がないことを確認するとともに、そのリスクの把握を行っています。


質問3:貴社の製品がウイグル人の強制労働によって(一部であれ)製造されていたことが発覚した場合、その製品を中国において、製造・調達することを、国際法・国内法の順守、企業倫理、人道的見地から停止する方針ですか。

弊社は、サプライチェーンで働くすべての人の基本的人権を尊重し、いかなる人権侵害も容認しないという方針を取引先工場と共有しております。生産パートナー向けのコードオブコンダクトにおいても、児童労働・強制労働・人身取引・抑圧とハラスメントを明確に禁じております。

今後、万一、弊社の製品が報道されたような強制労働によって生産されていたことが確認された場合には、法令順守や企業倫理の観点、並びに国際基準や弊社基準に則り、強制労働が発覚した工場やサプライヤーにおける当該製品の生産や調達を停止します。
ユニクロは「ウイグル人の強制労働はない」、「ウイグル自治区に所在する生産施設がない」、「調達する綿花の生産においても強制労働がないよう求めている」とは強制労働については否定しているのですけれども、ウイグル自治区から調達した綿花を使っていないとは答えていないのですね。

まぁ、質問が強制労働の有無を聞いているものなので、強制労働についてのみ答えても問題ないといえば問題ないのですけれども、ウイグル自治区から調達した綿花を使っているのかどうかには、頑なに答えを避けているのは少し引っかかります。

これが例えば、今回、調査に回答した無印良品になると、「当社が使用するすべての綿や糸は、第三者機関であるGOTSが認定する国際有機認証を取得しています。この認証は、国際労働機関が定めた労働条件を遵守していることを保証するものです」と答えているのですね。

ユニクロも無印良品と同じように第三者機関に調査を依頼し問題なかった、とか国際認証を受けているという答えであれば、そもそも決算記者会見で、ウイグル自治区から調達した綿花を使用しているかなんて質問自体されなかったように思います。

あるいは、ユニクロは自身の綿花がどこから調達しているか把握できていないのかもしれません。ただそのまま放置して、万が一、ウイグル自治区から調達した綿花を使っているなんてことが分かった、なんて事にもなれば、一気に問題視されないとも限りません。


3.外務省側は非常に答えに窮していた


自民党の中谷元・元防衛大臣は、1月26日の自民党外交部会で、アメリカのポンペオ前国務長官が中国政府のウイグル族など少数民族に対する政策を「ジェノサイド」と認定したことについて、外務省の担当者に質問したのですけれども、外務省は「認めていない」と回答したとハフポストのインタビューに答えています。

中谷氏によると「外務省側は非常に答えに窮していた。全く思考がなかった。眠っていたわけです」と述べ、「戦後75年近くになりますが、日本は戦争に対する反省の意味も込めて中国に技術支援などをしてきました。天安門事件後も国際社会が制裁した時、真っ先に手を差し伸べたのは日本です。当時は中国も経済発展しておらず、日本にとっても市場が広がるという意味がありました……30年経ってどうなったか。中国は日本のGDP(国内総生産)をはるかに凌ぐ大国となり、ゆくゆくはアメリカの国防費を抜くといわれている。甘い対応では取り返しのつかない事態になります。日本政府がしっかり対応すべき状況ではないでしょうか」と述べています。

そして、中谷氏は「取り返しのつかない事態」とはどういうことを指すのかとの質問に「力による現状変更です。尖閣諸島、台湾、南シナ海などで力によって跳ね除けるということになりかねない。南シナ海でも『公海で航行の自由がある』と言っても『自国の海だ』と主張するなど、国際的な大国という使命感や責任感がないような認識です。国際秩序を維持するように日本が言っていく。言うだけで聞いてくれないのであれば、ちゃんと行動できることが必要です」とはっきり答えています。

更に、中国が報復にでる可能性についても「全く常識が通じないような反応や報復はあり得ます。これは国際ルールに反しているので、いずれ国際社会から制裁を受ける結果になるでしょう。オーストラリアの件でも、IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)で月に数回、ネットを通じて議論していますが、他国からも支援するという声が出ています。連携して対処すれば、制裁されることを恐れることはないと思います」と述べています。


4.対中政策に関する国会議員連盟とマグニツキー法


中谷氏はIPAC(対中政策に関する列国議会連盟)で議論していると述べていますけれども、日本にも同じく、国会議員で構成するJPAC(対中政策に関する国会議員連盟)というのがあります。

JPACは香港の人権弾圧問題を契機に、2020年7月に設立されました。国会議員が所属を問わず参加できる超党派の連盟で、中国に対する政策を研究・立案します。

このJPACが現在目指しているのが日本版「マグニツキー法」の制定です。

マグニツキー法とは、ロシア人弁護士のセルゲイ・マグニツキー氏が税務当局の横領を告発した後、拘留され獄中死したことを由来とし、人権侵害を行った個人や団体を対象に資産凍結やビザの制限などの制裁を実施できるというものです。2012年のアメリカを皮切りに、イギリスやカナダなどで制定が進んでいて、昨年12月7日にはEUでも「EU版」の導入が承認されています。

JPACは自民党の中谷元・元防衛相と国民民主党の山尾志桜里議員が共同会長を務めているのですけれども、山尾議員は、「日本に直接関係あるかどうかは別として、やはり見過ごせない人権侵害があった時に制裁が可能だという仕組みを持っておく、埋めておくことは重要」と日本版「マグニツキー法」の必要性を強調しています。

その一方で山尾議員は、「代表質問や外務委員会の答弁を見ていても、政府の対中配慮はかなり強いと思います。対話の部分は政府が窓を開けている。立法府はあくまでも正義や人権にこだわって主張し、政府に求めていく。政府と国会の役割分担ではないでしょうか」と使い分けを主張しています。


5.リベラルがサヨクにサヨナラする日


山尾議員はJPACの活動を通じて、興味深い指摘をしています。それは、保守やリベラルが「クロス」して、中国に毅然とした態度を取る時代が近づいているということです。

2018年10月、アメリカのペンス前副大統領が保守系シンクタンクで行った演説で「政治や信教の自由、人権などが尊重されることを期待していたが、達成されることはなかった」とこれまでの対中政策は失敗だったと述べ衝撃を与えました。

これ以降、アメリカ議会で対中認識が急速に変化し、共和民主問わず議会は対中強硬へと傾いています。

山尾議員は、日本の議員の中でも同じような認識の変化が生じていると指摘しているのですね。

これについて、山尾議員は次のように述べています。
日本の議員と話していても同じ認識の変化が生じているような気がします。40代くらいの世代の議員だと、経済発展すれば民主主義も自由の概念も浸透するという、このロジックが元々あまりなかったり、合理性を感じなかったりするところから出発しています。

"それってフィクションですよね?"という感覚です。その証拠がJPACであり、私の予想よりも早くマグニツキー法の制定に向けた動きが進んでいることだと思います。そのフィクションに元々与していない世代の議員がサポーターになってくれて、これからも広がるといいなと思います。

人権思考なのか、それとも対中包囲網なのか。確かに温度差はあります。ただどこかで、日本外交はもっと自立しないといけない、外交ツールを整備しないといけないという共通項があるという気がしています。

それに、嫌中の文脈で参加しているかもしれない人も、建前として"人権"というものと向き合うわけです。日本ではない隣の国でああいう現状を見たときに、なぜ"これはいけない、支えなくては"と心が動くのか。そこを考えたときに、保守の人も、自分の中の人権の普遍性に触ってしまうというか、気づいてしまう。そういう出来事だと思います。

リベラルもこれをきっかけに対中政策を考えるようになったわけです。"中国といえば対話だよね"あるいは"経済が伸びれば民主的になっていく"と思っていたけれど、それはフィクションだったし、逆行しているよね、と。

むしろ現実に向き合うことで、リベラルの側も安全保障意識に向き合わざるを得なくなっていく。クロスしていい効果を生んでいるのではと思います。
山尾議員は今の中国という存在が、保守派に対して人権と向き合わせ、リベラルに対しては現実に向き合わせさせる、というのですね。

筆者はこの指摘について、親中派に対し、利権と人権のどちらを取るのかと迫り、リベラルに対しては、いわゆる「お花畑」から目覚めさせる踏み絵になる動きだと受け止めています。

そして、これを更に進めることで、これまで、保守とリベラルという具合に大雑把に分けられていたものが、保守に対しては、国益重視派と親中派。リベラルに対しては、正統リベラルとサヨクに分離させるのではないかと思っています。

親中派もサヨクも、そこに共通項があるとすれば、それは"中国を利する"という一点だと思います。それが保守やリベラルといった、それぞれの括りの中で隠れていたのが、炙り出されてくる。そうしたことが見えてくるのではないかと思うのですね。

もしそれが明らかになり、多くの国民に知られるようになれば、当然選挙にも影響してくるようになります。保守とリベラルをそれぞれ中国共産党というナイフで切り分け、中国を利する輩はもう受け入れない。今後、こうした動きが重要になってくるのではないかと思いますね。


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