台湾の長距離ミサイル量産

今日はこの話題です。
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1.中華民国110年四年期国防総検討


3月25日、台湾の国防部は4年に1度となる国防計画の見直しを行い、立法院に報告しました。

国防部が今回作成したのは「中華民国110年四年期国防総検討(QDR)」です。これは、今後4年間の台湾の国防計画の指導指針となるもので、計画では、「中国軍が台湾に対し敵意をむき出しにして威嚇を繰り返しており、台湾海峡での衝突リスクが高まっている」との認識を示し、「中国軍が台湾への上陸作戦のための軍事演習を続け、強化している」と指摘しています。

更に、台湾は今後の対抗策として軍事力の近代化を進め、中国への抑止力を高めると強調。具体的には「射程を大幅に伸ばした空中発射型のミサイルシステムの配備を増強し、精度の高い攻撃を実施する」などの内容が盛り込まれています。

この日、台湾は兵力の増強を狙った組織体制を整備することを決定。行政院は国防部の傘下に予備役などの兵員の動員強化を目的とした組織「防衛後備動員署」を新設する法案を閣議決定しています。

台湾は1951年から続いてきた軍の徴兵制を2018年にようやく志願制に全面切り替えしたばかりだったのですけれども、近年、台湾有事が囁かれる状況を鑑み、再び兵員数の増強に動き出した形です。

計画では、退役してから8年以内の軍人を、来年から毎年26万人召集して再訓練するとのことです。

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2.ミサイル量産開始


台湾国防部がミサイル配備を増強するとの発表に合わせ、同じく25日、台湾当局は1種類の長距離ミサイルの大量生産を開始したことを明らかにしています。

この日、台湾の邱国正(きゅうこくしょう)・国防部長は、立法院で「長距離で、正確な、移動式が望ましい」とし、公的研究機関である国家中山科学研究院がそうした兵器の研究を「中止したことは一度もない」と発言しました。

また、国家中山研究院の幹部も立法院で、1種類の陸上発射型長距離ミサイルがすでに生産段階に入ったと発言。これとは別に3種類の長距離ミサイルを開発中だと述べています。

この研究所は台湾の兵器開発で中心的な役割を担っていて、ここ数ヶ月、南東部の海岸で一連のミサイル実験を実施しているそうなのですけれども、台湾が異例の兵器開発を公表したのは、無論、軍事圧力を強める中国を牽制してのことでしょう。

国家中山研究院の幹部はこの日の発言でミサイルの飛行距離は明らかにしなかったとのことですけれども、以前の報道からそのおおよその性能は予想できます。

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3.高高度高速巡航ミサイル「雲峰」


2020年5月26日、台湾のオンラインメディア「上報」は、国家中山研究院(中科院)が開発した中距離ミサイル「雲峰(ユンフェン)」が2020年4月末に試験され、良好な結果が得られたと報じています。

「上報」によると、「雲峰」は、射程1500キロメートルのミサイル(高高度高速巡航ミサイル)の1基であり、将来的には10セットの移動システムと20基の戦闘準備弾が台湾全土に大量生産され配備される予定としています。

アナリストによっては「雲峰」の飛行距離は2000キロあるという指摘もあり、米誌「ナショナル・インタレスト」の軍事編集員デビッド・アックス氏は、この台湾の中距離ミサイルは、中国内陸部まで達する能力を備え、台湾攻撃を実行する中国の多くの基地施設にとって脅威となるとコメントしています。

更に、ワシントン拠点のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)による、2018年6月に更新されたミサイル防衛に関する報告では、「雲峰」は地対地、マッハ4の超音速巡航ミサイルで、「中国の北部から中部の目標を対象に設計された、戦略的資産の1つ」と説明しています。

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4.90年代から行われてきた台湾のミサイル開発


台湾のミサイル開発は1990年代から行われてきました。

1997年12月に開かれた安全保障・外交政策に関する総統の諮問機関「国家安全会議」幹部会議の席上で、当時の蒋仲苓(しょう・ちゅうれい)国防部長が「国防政策」における「威嚇阻止力(抑止力)」の重要性を強調し、「中距離弾道ミサイルの研究開発が将来、成功すれば、中共(中国)に対し有効な抑止力を持つことができる」と述べたとの議事録が残っています。

そして、李登輝政権後の陳水扁政権(2000~2008年)で最後の国防部長を務めた蔡明憲氏は回顧録で2008年2月から5月の間に陳水扁氏出席の下でミサイル実験を行い、「中距離ミサイルの射程を越えた」時点で、エンジンを停止させたと記しています。

この実験に参加した関係者は「射程は1000キロを超え、実験成功を受け量産に入った」と述べています。

その後、ミサイル自体は、更にその後の馬英九政権時代(2008~2016年)には完成していたのですけれども、当時のアメリカ・オバマ政権時代の部品輸出規制や両岸関係の緩和の影響で、台湾政府が大量生産を承認しませんでした。

ところが、昨今、米台関係が深まったことと、長年にわたりアメリカが台湾に控えてきた主要武器のコンポーネントの輸出が緩和されことから、これら中距離ミサイルを含む兵器の部品や技術が入手可能となったことも量産の後押しになったようです。

ちなみに先に紹介した邱国正・国防部長は3月16日の立法院での答弁で、潜水艦の国産化計画のネックとなっていた「艦載武器システム」、「デジタルソナーシステム」、「潜望鏡」の装備3項目について、「間違いない。現在までにすべての同意が得られ、我々はすべての輸出許可を取得した」と述べ、全てアメリカから輸出許可が下りたことを明らかにしています。

台湾では潜水艦の国産化に当たり、国産可能な装備を「緑区」、国産がやや難しい装備を「黄区」、国産の能力を持たず、輸入に頼るしかない装備を「紅区」と区分しているのですけれども、この「紅区」の装備入手がクリアになったことで国産化の道が開けてきたということです。

このように、米台関係の強化はそのまま台湾の国防力強化に結び付いています。

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5.台湾プラス法


台湾が西側にがっつり入れることは、言うまでもなく、中国に対する大きな牽制となります。

3月19日、アメリカのスコット・ペリー下院議員は、議会に「台湾プラス法(Taiwan PLUS Act)」を提出しました。

この法案は、台湾に「NATO Plus」に分類された国と同等の待遇を与えること求めるもので、ペリー下院議員はこの日行われた、アジア太平洋小委員会の公聴会で「台湾プラス法は中国を軍事的に抑制することに繋がる、アメリカは中国に対してもっと厳しく対処すべきで台湾に外交上の承認を与えるべきだ」とこの法案の提出理由について説明しています。

「NATO Plus」とはNATO加盟国に与えられているアメリカ製武器の購入に関連した優遇措置と同等の待遇を与えられている非NATO加盟国の集団のことで、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、日本、韓国の5ヶ国が該当しています。

この法案はこの「NATO Plus」に台湾を加えるというもので、対外有償軍事援助に関する法的審査が簡素化・省略され、また、議会への通知免除額が拡大されるというものです。

まぁ、実務上の優遇としてみれば、それほど大したものではないですけれども、「NATO Plus」と同等の扱いを受けるということは、ある意味、台湾を国扱いしていると見ることもできます。したがって政治的アピール効果は絶大です。

これについて、台湾外交部の欧江安(おうこうあん)報道官は23日、具体的な行動で台湾への関心を示すものだと感謝し、引き続き今後の発展を注視していくと述べていますけれども、まだ法案提出しただけの段階であり、成立の見込みも分かっていません。

昨年、WHOに台湾をオブザーバーとして参加させようという動きもありましたけれども、他にもこうした動きがどんどん出てくるようになると、台湾独立と言わないまでも、事実上の独立として世界に認知されるようになってくるのではないかと思いますね。

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