覇権を狙う独裁政治と腐敗した民主政治

今日はこの話題です。
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1.2019年版世界の信教の自由に関する報告書


昨年6月10日、アメリカの国務省は、世界の信教の自由に関する2019年版報告書を発表しました。

報告書には中国政府によるウイグル人への弾圧についても触れられています。該当部分を一部引用すると次の通りです。
政府は引き続き、「民族分離主義、宗教的過激主義、暴力的テロリズム」の「3つの悪」と呼ばれるものを、新疆のイスラム教徒の宗教活動に対する制限を制定・施行するための正当な理由として挙げています。

米国政府の推計によると、2017年4月以降、中国政府は、100万人以上のウィグル人、カザフ族、回族、その他のイスラム教徒グループのメンバー、およびウィグル人キリスト教徒を新疆の特設または改造された収容所に恣意的に拘束し、宗教や民族を理由に、強制失踪、政治的教化、拷問、強制不妊手術や性的虐待を含む身体的・心理的虐待、強制労働、裁判なしの長期拘留などを行っています。尋問の際に受けた傷が原因で死亡するケースも報告されています。

11月には、ニューヨーク・タイムズ紙と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、新疆ウイグル自治区での集団収容に関する記述や、脱走防止や収容所の存在を完全に秘密にする方法、強制的な教化の方法などが記載された収容所運営マニュアルを含む政府の内部文書が流出したと報じました。

11月に流出し、その後公開された3つ目の文書「カラカクス・リスト」は、政府が宗教上の理由で、ホータン県カラカクス県にある4つの再教育センターに個人を当初抑留したり、抑留期間を延長したりした証拠を示したものです。

新疆ウイグル自治区の当局は、モスクへの立ち入りを制限し、若者がラマダン中の断食を含む宗教活動に参加することを禁止しました。

人権団体や国際メディアによると、当局は、個人の宗教的な信仰や実践に関する情報を得るために、広範囲で侵略的なセキュリティと監視を維持していました。この監視には、ウイグル人をはじめとする少数民族や宗教団体に対して、携帯電話にスパイウェアをインストールさせたり、政府関係者や中国共産党員を自宅に受け入れたりすることも含まれていました。

また、衛星写真などから、政府がモスクや墓地などの宗教施設を破壊したことがわかりました。また、小中学生の約40%、約50万人の子どもたちが全寮制の学校に通い、漢民族の文化や北京語、中国共産党の思想を学んでいます。政府は、外国にいるウイグル人などのイスラム教徒の強制送還を求め、帰国した人の一部を拘束しました。
政府の公式文書でこの内容が報告されたということは、少なくともアメリカはこの内容を公的に認めたと宣言したことを意味します。

当時の国務長官であるポンペオ氏は、記者会見で、中国新疆ウイグル自治区で暮らすイスラム教徒の少数民族ウイグル族などへの対応を挙げて「中国では全ての宗教に対する政府主導の弾圧が激しくなっている」と強く批判しました。


2.Bitter Winter


中国の信教の自由と人権について報道する「Bitter Winter」というオンライン雑誌があります。これは、2018年5月に創刊された雑誌で、イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(Center for Studies on New Religions、略称CESNUR)が、世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えています。

「Bitter Winter」の特徴は、中国全土にいる数百人の記者ネットワークにより生の声を届けているのですけれども、2019年10月20日の記事「習近平の思想が宗教施設に浸入」には、中国政府がどのように宗教に介入しているか生々しく伝えています。

例えば、仏教寺院に大型スクリーンが設置して、習近平主席の演説を流させ、それを当局が頻繁に視察を行い、要求に従わない寺院は処分を受けるのだそうです。地元の宗教局は、信者達に演説を聞いて学んだ内容について2000文字以上の小論文を書かせるのみならず、僧や尼僧に毎月一回、仏教ではなく、中国の憲法と宗教政策についての試験を行い、合格しないと寺院にいられないようにしているそうです。

また、中国各地にある政府公認の 三自教会 では、十戒が検閲を受けて改変され、習近平主席の言葉をはじめとするプロパガンダの教科書や共産主義指導者の肖像に置き換えられたりしているそうです。

更に河南省洛陽市政府に至っては、460人以上の説教師を対象に「習思想」と社会主義核心価値観を学ぶ5日間のセミナーを行っています。参加したある説教師は「政府が教育セッションを行った目的は私たちを教化し、聖書について延べ伝えるのを妨げ、無神論やその関連事項だけを話すようにすることでした……国は聖書を俗物に差し替え、教会の基盤を破壊しています」とコメントしています。

これが事実であれば、中国政府がいう「宗教の中国化」とは何のことはない、宗教を"共産思想化"する洗脳することだということです。そこには仏神への信仰など微塵もありません。


3.覇権を狙う中国


昨日のエントリーで筆者は、中国は西欧社会と中華帝国とで世界を二分しようとしているのではないかと述べましたけれども、万々が一、そうなったとすると世界は民主主義陣営と独裁国家で覇権を争うことになります。

中国は2020年、武漢ウイルス感染症対策を「中国モデル」の宣伝に利用しています。徹底した都市封鎖によって感染拡大は終息したと宣言する一方、欧米の武漢ウイルスへの対応の甘さを「欧米は日常生活を維持したいという国民の希望を退けることができず、国家総動員の体制を築くことができなかった、甘い対応によって、手遅れになってしまったことを反省すべきだ」などと批判しています。

要するに、中国共産党は自身の独裁政治を正当化しているわけです。

翻って、では自由民主主義がどうなのかというと、それも"完璧"ではなかったことが明らかになってきました。

それは中国が批判するような武漢ウイルスを抑え込めなかったからということではありません。民主主義の根幹たる言論が封鎖される事例が起こったことです。

先のアメリカ大統領選では、ビックテックたるツイッターやフェイスブックが不正を訴えるトランプ前大統領のアカウントを凍結する事件が起きました。

昨日のエントリーでは、有名なSF小説「ファウンデーション」を取り上げましたけれども、民主主義と独裁政治との対立を扱った人気SF小説に「銀河英雄伝説」があります。

これは、遥かな未来、銀河に進出した人類が、皇帝と貴族が支配する銀河帝国と、帝国から脱出した共和主義の人々が建国した自由惑星同盟とで戦争を繰り広げる中、帝国軍のラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟軍のヤン・ウェンリーという二人の若き英雄が活躍する物語で、長年人気を博している小説です。

名セリフも数多くあるのですけれども、政治体制に対するものも多くあります。

例えば、次のようなものです。
「国家が社会的不公平を放置して、悪戯に軍備を増強し、その力を内に対しては「国民の弾圧」、外に対しては「侵略」というかたちで乱用する時、その国は滅亡の途上にある。これは歴史上、証明可能な事実である」
ヤン・ウェンリー 銀河英雄伝説第31話

「政治の腐敗とは政治家が賄賂を取ることじゃない、それは政治家個人の腐敗であるに過ぎない。政治家が賄賂を取っても、それを批判できない状態を政治の腐敗というんだ」
ヤン・ウェンリー 銀河英雄伝説第24話
前者は中国そのものですし、後者は大統領選で露わになったアメリカの姿かもしれません。




4.腐敗した民主政治か理想的な独裁政治か


これは、仮定の話にしか過ぎませんけれども、もし習近平主席が人民への思想弾圧、人権弾圧など一切行わず、利権を貪る共産党の政治家や高官を次々と粛清、追放して善政を敷いたとしたら、人民は大喜びでそれを迎え、受け入れるかもしれません。なんとなれば、武漢ウイルスに苦しむ他の国々でさえも、独裁制がよいのではないかとグラッとくるかもしれません。

まぁ、現実には習近平主席が"ラインハルト"になることは、全くあり得ないと思いますけれども、将来、習近平主席を追い落とし、粛清する人物が現れたらどうなるのか。理屈上はどの可能性はゼロではありません。まぁ、限りなくゼロに近いでしょうけれども。

仮にそんな世界が現出したとき、まさに今の我々の民主政治の是非というか真価が問われることになるのではないかと思います。

つまり、腐敗した民主政治が理想的な独裁政治より良いのかどうかということです。

もし、それでも腐敗した民主政治に光明があるとすれば、それは民主政治は権力者の交代をシステムに内包しているということです。主権が民にある民主政治では、権力者は民が選びます。それは何も大統領といったものだけではなく、州や市、はては村の寄り合いレベルでも適用されています。言葉を選ぶ必要はあるかもしれませんけれども、あらゆるレベルで"革命"が行えるようになっている訳です。

方や独裁制では権力者以外の下々が権力者を交代させたいと思っても、その手段は武力に訴える「武力革命」しかありません。ゆえに独裁者は軍権を握りますし、またそのような「武力革命」はそう簡単には起こりえません。

つまり、新陳代謝の速度という面では民主主義に利があるように思います。

ただ、その民主が民主として機能するためには、自由な議論が保証されていることが絶対条件になります。今回のアメリカの大統領選では、その自由な議論を支えるインフラ部分、つまりマスコミやSNSに弱点があることが明らかになりました。

3月12日、アメリカ下院の司法委員会は、報道業界におけるビッグテックの支配力に懸念を抱く報道機関から意見聴取を行いました

公聴会の場では、マイクロソフト社長のブラッド・スミス氏は報道関係者がビッグテックの振舞いは公正ではないと語り、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏は「ツイッター社は、その報道への言及を全て削除することに同意しない限り、一切の議論を禁止し、その新聞のアカウントを凍結した。フェイスブック社がアルゴリズムによって、記事の拡散を抑えたことはビッグテックが選挙に干渉する能力を示す憂慮すべき事例だ」と警告しています。

これが中国であれば、公聴会を開くことすらできないでしょう。少なくともアメリカではまだ批判の声がどこかしらで上げる余地が残されています。

早晩、ビックテックは検閲という自身の行為に対する責任を取らされるのではないかと思いますけれども、それがキチンと行われるのかどうか。"小さき革命"が行われ、ビックテックが正常化され、選挙システムが是正されるか。今後の注目ポイントかもしれませんね。




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