対等な外交関係では無くなった米中

今日はこの話題です。
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1.六年以内に台湾侵攻


3月9日、アメリカ・インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、上院軍事委員会の公聴会で、デービッドソン司令官は「彼らはアメリカ、つまりルールに則った国際秩序におけるわが国のリーダーとしての役割に取って代わろうという野心を強めていると私は憂慮している…2050年までにだ……その前に、台湾がその野心の目標の一つであることは間違いない。その脅威は向こう10年、実際には今後6年で明らかになると思う」と中国が台湾を侵攻する可能性があると証言しました。

デービットソン司令官は「中国が域内の軍事力を拡大させ、米国にとって不利な状況になるようにしている……そのため抑止力が弱まっている……我々が40年間 戦略的曖昧性を維持し、台湾と現状態を維持するようにしてきたという点は認めるが、このようなことは常に再検討されるべきだ」と述べ、中国が、資源が豊富な南シナ海の大半の領有権を主張している上、米領グアムを奪う構えさえ見せていると警告しています。

そして、デービットソン司令官は中国のミサイルを飛行中に撃墜できる「イージス・アショア」システムのグアム配備を求め、中国にやろうとしていることの代償は高くつくと知らしめるために、オーストラリアと日本に配備予定のイージス・システムに加え、攻撃兵器に予算をつけるよう議会に求めました。


2.戦略的鮮明性


アメリカは、1979年、ジミー・カーター政権時に中国と修交しながら「一つの中国」の原則を認め、台湾と断交しました。その一方で、「台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持する」ことを宣言する、いわゆる「台湾関係法」を制定することで台湾に対するコミットメントを維持しました。これらは「戦略的曖昧性(Strategic Ambiguity)」と呼ばれています。

昨年9月、「外交問題評議会Council on Foreign Relations」のリチャード・ハース会長らが学術誌「フォーリン・アフェアーズ」に「アメリカの台湾支持は曖昧でないものにすべきだ(Amercan Support for Taiwan Must Be Unambiguous)」という論文を発表しました。

題名でもう分かりますけれども、この論文では、アメリカが従来採ってきた台湾に対する「曖昧戦略」を180度転換し、アメリカの台湾有事直接軍事介入意図を明確にすべしと主張しています。例えば次の通りです。

アメリカ政府は民主、共和を問わず過去40年にわたり、中国による台湾侵攻にいかに対応するかについての確答を拒んできた。アメリカが傍観するかどうか定かでないこの意図的曖昧性は、中国による台湾統一の企てを回避させ、他方で台湾による独立宣言を思いとどまらせるのに役立ってきた。しかし、もはやその時期は終わった。今日、曖昧性によって中国の強大化する軍事力を背景とした進出拡大を抑止できる可能性は少なくなっている。

今や『戦略的鮮明性(strategic clarity)』政策を採用すべき時が到来した。すなわち、台湾に対するいかなる軍事力行使にもわが国が即応することを明確にすることだ……

この政策転換は、従来からの『一つの中国』原則に沿って達成でき、かつそれによって、米中関係全体へのリスクを最小限にとどめることが可能となる。それどころかむしろ、政策転換は抑止力を向上させ、米中衝突のホットスポットになり得る台湾海峡での戦争リスクを軽減させる結果、長期的に見て米中関係強化にも利することになる……

かつては台湾の軍事支出と軍備が中国を上回った時代があったが、すでに遠い過去の話であり、今日、中国の軍事予算は台湾の15倍、台湾攻撃のための兵器類も、台湾防衛に備える米軍装備とほぼ対等になった。中国はすでにアメリカの利益と台湾の将来を脅かすだけの十分な能力を備えているだけに、果たして台湾海峡での戦いへと発展した場合、アメリカ側が優位に立てるかどうか不確かなものとなり、むしろ状況は中国により有利になりつつある。従って、アメリカとしては台湾海峡での紛争に備えるために思い切った資源を振り向けない限り、新たな『既成事実a fait accompli』を防ぐ可能性はほとんどなくなってしまう……

とくに近年、習近平体制は台湾海峡での軍事演習を活発化させると同時に、諸外国に対し台湾の国際的孤立のための外交攻勢をかけ始めている。早ければ2021年中にも台湾のか"再統一"という『中国の夢』実現のため、あらゆる可能な手段を講じるとの憶測もある。台湾が"次なる香港"となるシナリオを決して無視すべきではない。このような時にもし、アメリカが中国による軍事力行使に対応しないならば、日本、韓国などの同盟諸国が『アメリカは信頼に値せず、アジア太平洋地域から手を引き始めた』と判断し、その結果として対中国融和へと方向転換することにもなる
ハース氏は、このように中国の軍事拡大と同盟国への影響を強く懸念し、警告を発しているのですね。デービットソン司令官の聴聞会での発言もこれを裏打ちしているものと言えます。


3.台湾との関係を強めるアメリカ


このハース氏が提言した戦略的鮮明性論に、当然ながら素早い反応を見せたのが台湾です。

ワシントンに事務所を置く駐米経済文化代表部の簫美琴(シャウ・ビィキム)代表は、2020年10月15日付のワシントンポスト国際マガジン「Today's WorldView」とのインタビューで現状のままでは、偶発的事件や誤算を引き起こすリスクがあるとして、「中国による軍事力行使は容認できず、台湾海峡地域には安定と平和を共に求める複数のステークホルダー諸国が存在するとの明確な立場が求められる」とハース氏の論に同調する立場を示しました。

今年の1月9日、ポンペオ前国務長官はアメリカが台湾と外交官や軍事関係者の接触を自主的に制限してきた内規を撤廃すると発表し、台湾との関係を強める方向へと舵を切りました。

今のところ、バイデン政権もその流れを変更してはおらず、2月5日、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が「航行の自由」作戦で、西沙諸島付近を航行したと発表し、2月9日には、アメリカ海軍のセオドア・ルーズベルト空母打撃群とニミッツ空母打撃群が、南シナ海で演習を行っています。

こうした動きに、いつもように中国は反発しました。

3月7日、中国の王毅外相はオンライン記者会見で、アメリカの台湾政策について、3つを強調したいとして次のように述べました。
まず 世界には一つの中国だけがあり、台湾は中国の領土において分けることのできない一部分だ
2つ目として 海峡両岸は必ず統一されなければならない……これが大勢における流れだ……中国政府は、国家主権と完全な国土を守護するという決心が確固不動である……我々はどんなかたちの“台湾独立”の分裂行為でも、挫折させる能力がある……
3つ目として "一つの中国"という原則は、中米関係の政治的基礎だ……中国は台湾問題において妥協する余地はなく、譲歩する隙間もない
そして、「アメリカの新たな政権が、台湾問題の高度な敏感さを十分認識することを求める……前政権の『線を越えた』、『火遊びのような』危険な方法を徹底して変え、慎重で適切に台湾への干渉問題を解決すべきだ」と非難しています。


4.対等的な外交関係ではない


ところが、そんな強気な中国も、裏では別の動きも見せています。

3月10日、アメリカ国務省はブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官が、中国の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員、王毅外相と、アラスカ州のアンカレジで18日に会談すると発表しました。

国務省は「中国側との会談は、ブリンケン国務長官が地域の最も重要な二つの同盟国と協議した後に開かれる」と強調していますけれども、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は米中会談に先立ち、15日から18日まで日本と韓国を訪問し、外務・防衛担当閣僚会合を開くことになっています。

中国はあくまでも同盟国の次との位置づけということです。

これについて路徳社は、「ブリンケン国務長官は日本と韓国を訪問したあと、米国へ帰国する途中、アラスカで給油を受ける間で、中共国の楊潔篪と王毅と会見することになっている。これはどう見ても、中共は米国と交渉するため、わざわざブリンケンを追いかけている。また、ブリンケンの訪問団が中共国の入り口まで来たのに、訪問することを拒んでいることから、米国と中共国はすでに対等的な外交関係ではないことが分かる」と指摘しています。

あるいは、バイデン政権がトランプ前政権の流れをそのまま引き継いでいることに中国は焦りを覚えているのかもしれません。

ブリンケン国務長官は中国との会談について「我々と同盟国・友好国の安全や繁栄に挑戦する中国の行動に対して、懸念を提起する重要な機会になる……協力できる分野があるかどうかも探るし、アメリカの企業や労働者が恩恵を受けられる公平さが確保できるよう、中国との競争について話し合う」と述べる一方で、今回の会談で何らかの具体的な合意は想定していないと明らかにしています。

つまりは中国の出方を見るだけということなのでしょう。

果たして会談後に、米中がどのような動きを見せるのか。要注目です。


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