バイデンは中国の人権問題に本気で取り組むか

今日はこの話題です。
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1.カナダ下院がジェノサイド動議可決


2月22日、カナダ下院は中国当局によるウイグル族に対し「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を行っていると批判する動議を採択しました。

動議は最大野党の保守党が提起したもので、定数338の下院のうち266議員が賛成し反対はなし。与党の自由党議員も大半が賛成しました。ただし、動議に法的拘束力はありません。

動議は政府に対し、2022年の北京冬季五輪の開催地を他の国に変更するよう国際オリンピック委員会(IOC)に働きかけることも求めていて、トルドー政権にも公式見解とするよう要求しています。

けれども、動議についてトルドー政権は慎重で、採択に出席したガルノー外相は「カナダ政府を代表する」と述べた上で棄権しました。

更にガルノー外相は採択後、声明を発表し、ウイグル自治区での恣意的な拘束など「人権侵害の恐るべき報告」に「深く困惑している」とする一方で、ジェノサイドとの主張に関しては「国際的な独立機関による調査」が必要との立場を示しています。

要するに、議員は反対多数だが、カナダ政府としてはジェノサイド認定はしない、と中国に忖度した訳です。


2.人権という概念を否定できない中国


けれども、このカナダ下院の決議に中国は猛反発。

23日、在オタワ中国大使館はの声明で「中国の内政への重大な干渉で、14億人の中国人に対する悪意のある挑発だ……偽善的で恥知らずなカナダの議員が人権を口実に新疆に関する政治的操作に関与している」と糾弾しました。

依然として戦狼外交を続けています。

けれども中国は人権という概念そのものを否定できないでいます。

22日、中国の王毅外相は北京で開かれた米中関係をめぐるオンライン・フォーラムで演説したのですけれども、王毅外相は、生存権や発展の権利を「最重要の基本的人権」に据えており、主要な立法もその過程で民主的な検討を経ていると述べました。

そして、「新疆やチベットのような少数民族が居住する場所は、中国の人権問題における進歩を示す輝かしい例として傑出している」と語り、中国は人権擁護に「常に尽力」しているとして、新疆ウイグル・チベット両自治区で1人当たりの実質国内総生産(GDP)が増加し平均余命が延びていることは、人権が守られている証拠だと主張しています。

これは、中国という国が、「人権」という概念、いわゆる世界観の傘下に組していると自白していることに他なりません。

要するに戦略の階層でいうところの最上位階層である世界観に置かれている「人権」を超える世界観を提示することが出来ず、人権という世界観の枠内で"尽力している"だの"輝かしい例"だの言っている訳です。

したがって、中国は、人権において、戦略の階層的な劣勢にあり、その嘘が暴かれれば、その時点で概念的に敗北することになります。

逆にいえば、中国が人権という世界観の枠内に留まっているうちに、嘘を暴き決着をつけなければならないことを意味します。というのも、中国は一旦世界覇権を獲ってしまったら、中国的考えが最高なのだとそれを世界観の最上位において、全てのものを弾圧してくるであろうからです。

つまり、中国国内でやっていることを全世界レベルでやるということです。


3.北京冬季五輪ボイコット論


カナダ下院の決議では、2022年の北京冬季五輪の開催地変更を要求していますけれども、アメリカでも北京冬季五輪に対する抗議の動きが出てきています。

2月16日、アントニー・ブリンケン国務長官はアメリカ公共放送(NPR)のメアリー・L・ケリー記者とのインタビューで「中国からアメリカに入ってくる製品やテクノロジーを厳しく監視している……新疆ウイグル自治区で中国当局から強制労働を強いられているウイグル人が作った生産品があるかどうかを徹底的に調べている。それらの輸入は全面禁止する……香港からの輸入品やテクノロジーも同じだ。全面禁止だ」と述べました。

ケリー記者は、これを受けて「2022年の北京冬季五輪ボイコットをすべきだ、との声もアメリカ国内から出ているが、どうか」と質すと、ブリンケン長官は「その他の事案が表面化すれば一つひとつチェックする。我々はなすべき多様なことをやらねばならない」と答えました。

この発言について、アメリカの五輪関係者は、「人権問題で進展がなければ、アメリカは2022年2月4日から17日間、北京で開かれる冬季五輪をボイコットする可能性を仄めかしたものだ。北京冬季五輪ボイコットはアメリカ国内だけでなく、カナダでも表面化している」とコメントしています。


4.中国の人権侵害は文化


けれども、肝心のバイデン大統領自身の態度は今一つ煮え切っていません。

2月16日、バイデン氏はウィスコンシン州ミルウォーキー市で市民との対話集会に出席し、2月10日に中国の習近平国家主席と電話で会談した内容などについて語ったのですけれども、その発言内容が物議を醸しています。

バイデン氏は「アメリカとしては、中国当局の香港での抑圧、台湾への威迫、ウイグルでの虐殺的な工作などの人権弾圧に抗議をしていくことを習近平主席にも伝えた……しかし習近平主席としては、中国は団結して堅固に管理される国家でなければならない。それを正当化するためにその種の行動をとるのだろう……それぞれの国には文化的に異なる規範があり、それぞれの国の指導者はその文化的な規範に従うことを期待される」と述べ、これに、各方面から批判の声が沸き起こったのですね。

なぜなら、これらの発言は、中国政府の国内での人権弾圧は「それぞれの国の文化」であり「それぞれの国の異なる規範」に従っている結果であるから仕方がない、という意味にも解釈できるからです。

筆者には、バイデン氏の発言は傍観者的な立ち位置からの他人事コメントのように聞こえたのですけれども、確かに中国の人権弾圧容認とも取れる発言です。

バイデン氏は2月4日、国務省で行った就任後初の外交演説で中国について「中国は我々にとって最も手ごわい競争相手だ」と述べているのですけれども、筆者には、バイデン氏が中国を軽く見ているような気がして仕方ありません。

というのも、中国のことを「競争相手」だと定義しているからです。

トランプ前政権のポンペオ前国務長官は、中国について「パンデミックを隠蔽して悪化させ、自由、民主主義、多様性を脅かしている」と非難していました。つまりトランプ前政権は中国を「脅威」と見ていたのですね。

競争とは、ある一定のゴールに向かって互いに競い合うことです。互いのベクトルは同じ方向を向いていて、互いに衝突することはありません。これは、相手が自分にぶつかってくることがないという前提があります。

これに対し、「脅威」とは相手が自分に向かってくるということです。互いのベクトルは正反対を向いていて、衝突することを意味します。

トランプ前政権は中国をアメリカの敵と見ていたのに対し、バイデン政権は中国を敵とはせず、単なる競争相手としている。これが一番大きな違いではないかと思います。




5.バイデン政権の本気度を測る指標


一方、ウイグル人をはじめ、中国の少数民族はバイデン政権に大きな期待を寄せているという声もあります。

アメリカに本拠を置く支援組織「ウイグル人権プロジェクト(UHRP)」のピーター・アーウィン氏は、ウイグル人の間には「多少の警戒感がある」とする一方で、アメリカ・ファーストを掲げていたトランプ前大統領と違って、バイデン氏なら同盟国と広範な共同戦線を張って、中国を牽制できるのではないかと述べ、バイデン氏なら一貫性ある明確な姿勢を取れると期待感を見せています。

アーウィン氏は「外交には駆け引きは付き物だが、人権問題は他の課題と切り離して原則を貫いてほしい」と、気候変動対策など中国の協力を得るためにバーター取引して人権問題を蔑ろにしないよう釘を刺しています。

これは、ウイグル人活動家達も同じで「自治区で起きていることを忘れないでほしい」としながらも「多くのウイグル人が彼を非常に信頼し希望を抱いている」と訴えています。

ウイグル人活動家のジョウハー・イリハム氏はバイデン政権の本気度を測る指標として、2点を挙げています。

一つは、「ウイグル人権政策法」が義務付けているように自治区の人権状況を調査して議会に報告するかどうかで、もう一つは、既に下院で可決され、上院での成立を待つ「ウイグル強制労働防止法案」を支持するかどうかです。

前者の、自治区への人権状況調査は中国政府は何がなんでもやらせないだろうと思います。これはWHOによる武漢ウイルスの現地調査の顛末を見れば容易に推測できますし、実際に、ウイグル自治区アクトの「再教育施設」付近の村を取材していたAFPのカメラマンを追い出したり、警察が施設に向か道路を封鎖したり、あらゆる手段で妨害しています。

また、後者の「ウイグル強制労働防止法案」はウイグル自治区の経済に強制労働は切り離しがたく組み込まれているとして、ウイグル自治区からの輸入を包括的に禁止する内容ですけれども、アメリカ商工会議所は、この法案は強制労働による商品の根絶にはつながらず、むしろ正当な商取引を阻害すると批判し、ナイキやコカ・コーラなどの大企業がこの法案に反対しロビー活動を繰り広げているようです。

この二つの指標は確かにバイデン政権の本気度を測るのによい指標かもしれません。注目して見ていきたいと思います。


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