欧州は中華放送を排除できるか

今日はこの話題です。
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1.中国でBBCが放送禁止


2月12日、中国政府でメディアを監督する「国家テレビラジオ総局」は、BBCがテレビで行っている国際放送「BBCワールドニュース」の中国での放送を禁止すると発表しました。

「国家テレビラジオ総局」は、BBCの中国に関する報道の内容が、中国の放送や国外衛星放送の規則に「重大な違反」をしており、「ニュースは真実で公平でなければならないという要件に違反し、中国の国益と民族的団結を損なったため、国外の放送を中国で放送する要件を満たしていないと判断された」とし、BBCに対して「中国国内の放送継続を認めず、今後1年間は申請を受け付けない」としました。

ただ、具体的にどの報道が違反していたのか明示されていないのですけれども、BBCが2月2日に新疆ウイグル自治区の「再教育」施設で組織的レイプや性的虐待、拷問が行われてきたとする証言を、被害者の顔と名前つきで放送したことが逆鱗に触れたのではないかとも言われています。

また、2月7日のエントリー「中国批判を始めた左翼メディア」で、イギリスの放送通信庁(Ofcom)が、中国の国営テレビ「中国環球電視台(CGTN)」のイギリス国内での放送免許を取り消したことを取り上げましたけれども、BBCの中国国内での放送禁止もこれに対する報復ではないかという見方もあります。

この中国政府の対応に対し、BBCは「中国当局がこのような措置を決めたことに失望している。BBCは世界で最も信頼されている国際放送局で、世界中のニュースを公正・公平に伝えている」との談話を発表しています。


2.ボーダフォン独法人も中国国営テレビを放送停止


ただ、イギリスの放送通信庁(Ofcom)が、中国の国営テレビ「中国環球電視台(CGTN)」の放送免許を取り消したことは、イギリス一国の問題で収まらない可能性もあります。

2月12日、イギリス・携帯電話事業者のボーダフォン・グループ傘下子会社であるボーダフォン・ドイツは、合法な放送免許がないため、ドイツ国内の一部地域のケーブルテレビで、「中国国際テレビ(CGTN)」のドイツ国内での放送を停止したと発表しました。

現在、ボーダフォン・ドイツとドイツ政府、および「中国国際テレビ(CGTN)」の担当者が放送再開に向けて、協議しています。


3.欧州越境テレビ条約


なぜ、ドイツでも「中国国際テレビ(CGTN)」の放送が停止されたかというと、単にボーダフォン・ドイツがイギリスのボーダフォン・グループの傘下にあるからだけではありません。

欧州でのテレビ放送に関する条約である「欧州越境テレビ条約(European Convention on Transfrontier Television:ECTT)」も絡んでいます。

これは、放送局が条約加盟国の中の一つの国で放送免許を取得すれば、他の加盟国でも放送できるという条約で、1989年に承認され、1998年に発効しています。

こちらに条約加盟国のリストがありますけれども、2021年現在で40ヶ国近くが加盟しています。

この条約の第4条に「受信と再送信の自由」が定められています。次に引用します。
第4条

受信と再送信の自由

人権と基本的自由の保護に関する条約の第10条に従い、締約国は、表現と情報の自由、テレビの受信の自由を確保し、この条約の規定に準拠するプログラムの領域での再送信を制限しないものとします。
これまで、イギリスの放送通信庁(Ofcom)が「中国国際テレビ(CGTN)」に対し放送免許を付与していたので、他の加盟国でも放送出来、ボーダフォン・ドイツはドイツ国内での「中国国際テレビ(CGTN)」の放送権を持っていました。

ところが、先日、イギリスの放送通信庁(Ofcom)が「中国国際テレビ(CGTN)」への放送免許を取り消した為、他の加盟国での放送権も自動的に失われた訳です。

このため、今後、ほぼ欧州全域といっていい加盟国での「中国国際テレビ(CGTN)」の放送が中止される可能性もあります。

その一方で、現在、「中国国際テレビ(CGTN)」がドイツ政府とボーダフォン・ドイツが放送再開の協議をしているように、もしもドイツで放送免許を得ることが出来れば、また加盟国で放送することが出来るようになる訳です。


4.政治的、教育的、文化的願望


イギリスの放送通信庁(Ofcom)が「中国国際テレビ(CGTN)」の放送免許を取り消ししたのは、イギリスの放送法で、報道機関は政治団体の管理を受けてはならないと定められていたからです。

けれどもこれが他の国でも同じ理由が適用される保証はありません。

欧州越境テレビ条約では、第7条の「放送局の責任」で放送できないものとして、次のように規定しています。
第7条

放送局の責任

1.プログラムサービスのすべての部分は、その形式と内容において、人間の尊厳と他者の基本的権利を尊重しなければなりません。

これらのタイプのプログラムサービスは、次のことを行わない場合があります。

(a)猥褻、特にポルノを含む。

(b)不必要に暴力を称賛したり、人種的憎悪を扇動したりする。

2.子供および青年の身体的、精神的または道徳的発達に有害である可能性のあるプログラムサービスのすべてのコンポーネントは、そのようなプログラムを視聴する可能性が最も高い時間に放送してはなりません。

3.放送局は、ニュース番組の事実と出来事が客観的に提示され、これらの番組が自由な意見交換を促進することを保証しなければなりません。
これを見る限り、欧州越境テレビ条約には、イギリスの放送法が定めている「報道機関は政治団体の管理を受けてはならない」にダイレクトに該当する部分は見当たらないように見えます。

敢えて言えば、前文に「ヨーロッパの遺産を豊かにし、ヨーロッパの視聴覚分野を発展させるために、視聴者にプログラミングサービスの選択肢を増やしたいと考え、政治的、教育的、文化的願望を満たすために高品質の番組の制作と配信を増やすことを目指して、これらの文化的目的に取り組んでいます」と宣言している箇所があるのですけれども、これと「中国国際テレビ(CGTN)」の内容が合致しているかどうかということくらいではないかと思います。

つまり、ヨーロッパの「政治的、教育的、文化的願望」が、中国政府の息が掛かっている中国国際テレビ(CGTN)」の内容を許容できるかどうかがポイントになるということです。


5.嘘と捏造とプロパガンダ


アメリカ政府系放送局の自由アジア放送(RFA)がこの度、イタリアメディアの報道として、イタリア産豚肉を積んだコンテナ2個が今年1月3日に中国の港に到着し、中国税関が検査した結果、これら豚肉に対し「新型コロナのリスクがある」と認定。その後、中国側はイタリア産豚肉の輸入を停止したと報じました。

この問題は現地のテレビ番組でも取り上げられ、「イタリアの食肉製品は非常に厳しく包装・滅菌処理を施している」、「新型コロナは貨物輸送中に伝播しようがない」、「中国のやり方はイタリアの農業全体に損失をもたらす」などとする業者らの声を紹介する一方で、番組では、地元政治家が「中国側の主張に科学的根拠がない」と批判すると、中国系住民は「中国人の多くは"イタリアからウイルスが来ている"と言っている」など激しい非難の応酬になったことも伝えています。

昨年秋あたりから中国は国営メディアを使って、輸入された冷凍食品からコロナが来たのだ説を流すなど「コロナの起源は中国」との見方を否定するのに躍起になっています。

昨年11月25日、人民日報は、フェイスブックに「#新型コロナ感染症の始まりは武漢ではなかった。輸入された冷凍食品とその包装部分に由来しているのではないか」とする専門家の見解を投稿していますし、環球時報も、新型コロナ感染症は中国外が起源だとする見方を積極的に広めています。

御丁寧にもそれに歩調を合わせるかのように、中国政府は、南京でアルゼンチン産牛肉、武漢でブラジル産牛肉、山東省で、マレーシア産タチウオといった輸入冷凍食品の主に包装からコロナウイルスを検出したとの発表を立て続けに行っています。

嘘と捏造とプロパガンダはあの国のお得意技です。

当然ながら中国政府にコントロールされているであろう中国国際テレビ(CGTN)がそのプロパガンダを垂れ流すことは容易に予想できます。

まぁ、欧州各国がそれをどう判断するのか分かりませんけれども、中国と付き合えば儲かるからと安易に国益と天秤にかける判断をするのであれば、気が付いたときには中国の軍門に下っているなんてことも十分警戒すべきではないかと思いますね。


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