イギリスD10構想の弱点と中国の策謀

今日はこの話題です。
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1.拡大G7先送り


2月8日、オーストラリアン紙は、G7にオーストラリアとインド、韓国の3ヶ国を加えて、事実上拡大させる構想が先送りされることになったと報じました。

これは昨年5月末、トランプ前大統領が、現行のG7の枠組みは「世界の状況を適切に反映しておらず、極めて時代遅れだ」として、ロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待し、「G10またはG11」にしたい意向を打ち出したことが発端です。

このG7拡大構想は当時から不支持が相次ぎました。

日本政府は韓国・文政権の対北朝鮮・対中政策がG7の立場と異なることを理由に反対を明言。ドイツはマース外相が「G7とG20は合理的に組織された体制。われわれはG11やG12を必要としない……ウクライナ東部だけでなくクリミア半島の紛争を解決するのに意味ある進展がない限りロシアがG7に復帰する余地はない」との考えを明らかにし、EUも対外政策を総括するボレル外交・安全保障政策上級代表がロシアの復帰について「参加国と形式を恒久的に変えることはG7議長の特権ではない」と指摘。

更にイギリスとカナダもロシアのG7復帰を支持しないという立場を明らかにしました。

トランプ前大統領がG7拡大構想を発表したのは、中国の覇権行為に対抗するため、G7を有効活用しようとしたからだと見られていますけれども、欧州はロシア、日本は韓国のG7入りを反対して、事実上ストップした訳です。


2.D10構想


このように対中包囲網の一環として打ち出され、頓挫したG7拡大構想ですけれども、この考え方の大枠を推進している国があります。イギリスです。

昨年、イギリスのジョンソン首相が「D10構想」というものを打ち出しました。

これはG7に韓国、インド、オーストラリアを加えた「民主主義国10ヶ国連合」という枠組みで、その目的は、5G通信システムをどう築くか、そして中国に頼りすぎているサプライチェーンをどう再構築するかについて話し合うというものです。

このイギリスが提唱するD10のメンバーはいわゆる「西側諸国」に限定されます。しかもメンバーには中国と対立する国と抑制的な国の両方が入っていることに加え、5Gとサプライチェーンの問題に限定していることから、表向きには「反中国同盟」にはなっていないものの明らかに「脱中国」を目指した動きです。

D10構想はトランプ前大統領が打ち出した中国包囲網としての拡大G7構想と比べれば、大分緩やかになっており、見方によれば、ある種の代替案あるいは妥協案になっているようにも見えます。

また、D10は国際協調重視路線を打ち出しているアメリカのバイデン政権にとっても比較的乗っかりやすい枠組みでもあるとは思います。


3.ツートラックで侵略しワントラックで強奪する


ただ、D10の枠組みに注意すべき点があるとすれば、それは経済と軍事を分離したツートラック戦略であるということです。

トランプ前大統領の対中政策は軍事的圧力をちらつかせつつ、経済でも制裁を加えるという、ワントラックでの対中圧力であるのに対し、D10が目指す5G通信網とサプライチェーン解決は、経済の一部を分離して軍事圧力は別枠でという、ツートラックの戦略だという違いがあります。

中国に対してツートラックで対応するのは非常に危険な面があります。

なぜなら中国はこのツートラックとワントラックを互いの国力を推し量りながら巧みに使い分け、侵略、あるいは覇権を獲ろうとしているからです。

昨今、「サイレント・インベージョン(目に見えぬ侵略)」という言葉が巷でも聞かれるようになりましたけれども、中国は自分より相対的に国力が上の国に対しては「政冷経熱」だとかいって、政治的には仲が悪くても、経済は別でやろうという具合に、経済協力や文化交流をどんどん進めてきます。この段階では政治と経済を分けるツートラック戦略です。

そして、次第に相手国の経済を握り、教育機関やマスコミを乗っ取り、国力が相手国よりはっきり上になると、今度は政治的不満があると経済で報復するという具合に政治も経済も区別をつけず、脅しに掛かる。「戦狼外交」をする。いわゆるワントラック戦略に切り替える訳です。

そんな相手にD10がツートラックで中国に対しても、いいように利用されるのがオチです。


4.見返りを要求して急所を突け


昨年末、EUのフォンデアライエン欧州委員長は、中国と長らく交渉していた投資協定で合意しました。。向こう数ヶ月で詳細を詰めた後、欧州議会の承認を得る必要があるのですけれども、欧州議会では、中国の人権侵害を理由に反対の声が一部で挙がっているそうです。

フォンデアライエン欧州委員長は「EUはビジネスに対して開かれているが、互恵主義と公平な競争環境、および価値観への拘りは捨てない」と言い訳していますけれども、ツートラックでやろうと考えている時点でもう危ない。

いくらEUが人権や民主主義の価値観に拘っても、相手がいうことを聞かない限り無意味です。

今回結んだ投資協定によって、EUは自動車から電気通信に至る中国産業への投資アクセスが拡大するそうですけれども、なんとなれば投資の見返りに中国本土にジャーナリストを駐在させ自由に取材させることを交換条件にするくらいでないと駄目ではないかと思いますね。


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