
1.トランプ大統領のビデオメッセージ
1月7日、トランプ大統領がツイッターにビデオメッセージを投稿しました。
もうすでに和訳文が広く拡散していますけれども、内容は次のとおり。
まず初めに昨日の議事堂乱入という犯罪について言及しておきたい。全ての米国人同様、わたしも起きた暴力と狼藉に怒りを覚えている。即座に州兵と連邦警察を派遣し、侵入者達を追い出し建物の安全を確認した。メッセージには「敗北」の二文字はどこにも見当たらないのですけれども、マスコミは事実上の「敗北宣言」だと報じています。
アメリカは何よりも法と秩序の国である。乱入したデモ隊は合衆国の民主主義に反したものである。乱暴の限りを尽くした彼らは我々の国を代表するものではない。罪を償うことになるだろう。
我々は非常に緊迫した選挙を終えたところだ。そして感情が昂っている。しかし今は落ち着かなければならない。国のためにまだやるべきことがある。
我々のチームは選挙結果についてあらゆる法的手段を試みた。わたしの目的は1票1票の正当性を守り、そしてアメリカの民主政治を守ることだった。
今でも選挙法の改正は、票が公正であるために、有権者の信用を取り戻すために必要だと強く信じている。
そして今議会は選挙結果を認証した。1月20日には新政権が入閣する。従ってわたしはこれからスムーズで平和的な権力の移行作業に力を注ぎたい。
今必要なのは治癒と調和だ。2020年は厳しい年だった。パンデミックが人々を病気にし、家に閉じ込め、経済を破壊し、多くの命を奪った。この状況を打破し経済を回復するには、我々が一致団結しなければならない。
愛国心、家族、社会、信仰、慈悲が必要なときだ。家族のように愛と忠誠の心で国を一つに纏め発展させるときだ。
合衆国の民へ、あなた方に尽くせたことは、わたしの人生の誇りです。
そして悲しんでいるであろうわたしの素晴らしい支持者へ、我々の旅はまだ始まったばかりなんだよ。
ありがとう。君たちに神の御加護を。そしてアメリカに神の御加護を!
また、これまで大統領選を追って動画配信していたネットでの識者の多くがトランプ大統領の「敗北宣言」だとする動画を配信しています。
筆者も件の動画を見ましたけれども、6対4か7対3で「敗北宣言」のようには聞こえました。
2.トランジション
もっとも、人によっては「敗北宣言」には聞こえないという意見もあります。
例えば、トランプ大統領が「敗北」なんて言葉は使っていないとか「誰に政権を移行」するのか言ってないという類の意見です。
中には、もっと詳細に、新しい政権に移行する手続きを円滑に進める努力をするの部分の単語が"Transition(遷移)"になっているという指摘もあります。
なんでも、飛行機ではフライトNo.が変わる場合には、Transfer(乗り換え)、同じ場合にはTransit(乗り継ぎ)となり、政権移行を行う場合は"Transfer"を使うのではないかというのですね。それを敢えて"Transition"を使っている。
何か含みを持たせたような言い回しです。
もしも、トランプ大統領が言った「スムーズで平和的な権力の移行作業に力を注ぎたい」というのがバイデン政権への交代を意味するのであれば、トランプ政権スタッフへのホワイトハウスからの引っ越し手続きをスタートさせなければなりません。一度出して撤回した引っ越し指示を再スタートさせるのか。これが一番分かりやすい指標になるのではないかと思います。
3.国のためにまだやるべきことがある
ただ、トランプ大統領のビデオメッセージで筆者は2つの言葉が気になりました。一つは「国のためにまだやるべきことがある」で、もう一つは「我々の旅はまだ始まったばかり」です。
トランプ大統領は、アメリカの民主政治を守るために、選挙結果についてあらゆる法的手段を試みたと述べていました。けれども、議会は選挙結果を認証した。数々の不正の証拠が挙がったにも関わらず、です。
これは、選挙についてのあらゆる法的手段は終わったということです。つまり、トランプ大統領にしてみれば、アメリカの民主政治を守ることが出来なかったという意味になります。
それでも、まだ「国のためにまだやるべきことがある」としている。それは何か。
おそらく、それは、アメリカへの民主政治にとっての脅威を取り除くこと。平たくいえば、不正を裁くことになるのではないかと思います。
不正選挙について、法的手段で解決できなかった以上、アメリカの民主政治は今なお脅威に晒されていることになります。その脅威を取り除くことは、確かに「国のためにまだやるべきことがある」になるでしょう。
選挙という扉が閉まった今、その脅威を取り除くには別の扉を開けて行うしかありません。平たく言えば、国家反逆罪を処断することだと思われます。
4.ラトクリフ報告書
議会が選挙結果を承認した1月6日を過ぎたタイミングで、大統領選挙に中国による干渉があったとする例のラトクリフ報告書が議会に提出されたことが明らかになりました。
分析オンブズマンで長年の諜報員であるバリー・ズラウフ氏は、14ページの報告書を木曜日に上院情報委員会に発行したと明かしたうえで「二極化した雰囲気が私たちの共和国の基盤を弱体化させる恐れがあり、諜報コミュニティにさえ浸透している……アナリストは、中国に関する分析を前倒しすることに消極的であるように見えた。なぜなら、彼らは政府の政策に反対する傾向があり、事実上、私たちの情報がそれらの政策をサポートするために使用されることを望まないからだ」と内部の反対で対中分析が進まなかったと述べていますけれども、それ自身がすでに中国に侵略されているのではないかと思ってしまいますね。
一部では、ラトクリフ報告書の提出によって議会はパニックとなっており、一刻も早くトランプ大統領を弾劾罷免させようと躍起になっているという噂さえ流れているようです。
更には、トランプ陣営のリンウッド弁護士が、バイデン氏の息子であるハンター・バイデン氏の疑惑の証拠?を暴露し始めたそうで、こちらも話題になっています。
5.南北戦争はしない
結果的に、トランプ大統領は大統領選を通じて、アメリカの三権が機能していないという現実を我々に示しました。
バイデン不正疑惑に対し、数々の声が上がったにも関わらず、行政は動かず、司法は逃げ、立法は目を瞑りました。
これを正すことができるのは、三権以外の権力、すなわち、反乱法、あるいは戒厳令による軍の投入しかありません。
既に反乱法の発動要件である、反乱者への解散通知は終わり、外国からの選挙介入を示したラトクリフ報告書も提出されました。
あとは戒厳令なり反乱法の発動するかどうかなのですけれども、現時点ではまだ発動はされていません。
なんでも、選挙データ不正についてバチカンも絡んでいたことが先のジョージア州の上院決選投票で明らかになったため、戦略の見直しを余儀なくされたなどという噂もあるようで事態は混沌としています。
ここまで来たらもう、ここから先は、トランプ大統領がハンドルを握っているのかどうかさえ分かりませんけれども、筆者個人的には、トランプ大統領自身は戒厳令を出すつもりはないのではないかという気がしています。
なぜなら、戒厳令を出した後はアメリカの内戦が予想されるからです。
仮に、トランプ大統領が戒厳令を出し、国家反逆罪を犯した者たちを大量逮捕して、結果再選を果たしたとしても、それで全て解決にはならないと思います。逮捕を逃れた者たちや、反トランプ勢力がトランプ大統領への憎しみを募らせ徹底抗戦するであろうからです。
しかも彼らはアメリカ国内のみならず、世界各国に散らばっている可能性すらある。
そんな彼らが蜂起したら、一気に内戦突入となってしまいます。まぁ、今回の大統領選をみたら既に内戦状態だとする見方もあるかと思いますけれども、それが誰の目にも明らかになるということです。
トランプ大統領は、アメリカ国民同士が争い、血を流させたくない。現代の南北戦争はしない。
であるが故に戒厳令は出さず身を引く選択をするのではないか。冒頭のビデオメッセージの発言を見るとそんな気がしてなりません。
6.共産主義からの独立戦争
ただそれで、トランプ大統領が終わるかといえば、そうでない可能性も残っていると思います。
1月8日、VISION TIMESはトランプ大統領が新党を結成したと報じています。
なんでも元米国家安全保障顧問のマイケル・フリン将軍が先の演説の中で、大統領選挙について「結果を決めるのは我々であり、米国の将来を決めるのは我々であり、共和党ではなく、民主党ではなく、それは国民の党である」と発言したことを取り上げつつ、MAGA党を立ち上げたとしています。
もっとも、この情報の信憑性については怪しいところもあるので、話半分でいいかと思いますけれども、トランプ大統領が本当に新党を立ち上げたとするのなら、それは共和党を見限ったということを意味します。
もはや民主党はもちろん、共和党には民主主義はない。それではアメリカは救えない。
ゆえに本当の民主主義の精神を体現した新党を立ち上げ、それによって新しいアメリカを建国する。そんな構想を描いているのではないかとさえ。
つまり、今のアメリカ合衆国という枠組みで考えれば、大統領に再選できるかどうかといった話で収まるところが、その枠組みを超えたところに視点を置いているのではないか。
もしそうだとしたら、トランプ大統領の志の高さというか、構想力が違いすぎて他とは比較にならない。それと比べれば、今の地位や立場を守ろうとして汲々としている反トランプの人達のなんと小さいことか。
もちろんこれは筆者の妄想にしか過ぎません。そもそも、トランプ新党が共和党、民主党を超える大政党になるなんて、夢物語にしか見えません。
けれども、もしトランプ大統領がそこまで腹を固めているのなら、そしてそれを実行に移すのなら、そこに現れるのは、トランプ、反トランプで相争う「南北戦争」ではなく、民主主義を侵すもの、共産主義からの「独立戦争」になると思います。
もしそうなれば、世界は民主主義の成り立ちをリアルタイムで見ることになる。これは確かに「長い旅の始まり」といっていいように思います。
果たして今のアメリカの枠組みで大統領となるのか、新アメリカ共和国の大統領になるのかどちらが世界にとってよいのか分かりません。
けれども、今、民主主義が大きな転換点を迎えているのもまた事実です。もしかしたら、これから世界はもっと大きな枠組みの中で動いていくのかもしれません。
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