
1.われわれの主張を展開できる
今日は日本時間1月7日01時です。あと数時間で大統領選の選挙人投票の認定を行う連邦議会上下両院合同会議が始まります。
両院合同会議では重要な権限を与えられているペンス副大統領の行動に注目が集まっています。
いわゆるペンスカードを切るのかどうかという点です。
ジョージア州上院決選投票前日の1月4日、ジョージア州での集会でペンス副大統領は、大統領選について「盗みをやめろ」と叫ぶ聴衆に向かい「先の選挙についてわれわれは皆、疑問を抱いている。安心してほしい、私も数百万人の米国民とともに、選挙不正を巡る懸念を共有している。6日には議会でわれわれの主張を展開できると約束する」と応じました。
ペンスカードを切るとは明言していませんけれども、少なくとも「われわれ」、つまり選挙結果に異議申し立て出来ることを保証すると宣言したわけです。
先日、共和党のマコーネル院内総務が1月6日の開票時に、共和党が出す異議申し立てに賛同しないよう党内に圧力をかけていると報じられていたように、反トランプ陣営は異議申し立てを非常に嫌がっています。
4日のナショナルファイルによると、マイク・ペンス副大統領、ナンシー・ペロシ下院議長、ケビン・マッカーシー下院議長、ミッチ・マコーネル上院議長が密談して、6日の両院合同会議で異議申し立てがあったとしても2時間の討議で終わらせ、そのあと単純な多数決で決着させることで合意したと報じています。
単純に議員数でみれば民主党が優勢なうえ、共和党のマコーネル上院議員が、異議申し立てに賛同しないように党内に圧力を掛けていることを考えると、この密談通りに進むのであれば、異議は却下され、州選出の選挙人投票通りにバイデン氏が次期大統領として認定されることになります。
果たしてペンス副大統領の「われわれの主張を展開できる」という約束がどの範囲のことを指しているのか分かりませんけれども、あれほどの不正の数々を「展開」するのなら、2時間の討議だけで終わるとは到底思えません。
2.法律に従い憲法を順守するだろう
1月2日、ペンス副大統領の首席補佐官であるマーク・ショート氏は、選挙結果に関する異議申し立てについて、ペンス副大統領が「法の下で認められている権限を使って異議を唱え、証拠を提示する」議員らの取り組みを歓迎するとの声明を発表。トランプ大統領もこの声明を好意的に受け止めたそうです。
トランプ大統領は、1月4日のジョージア州での集会で「我らの偉大な副大統領が我々の為にしっかりやり遂げてくれることを望む。そうでなかったら、それほど好きではなくなるだろう」と釘を刺すかのような演説をしています。
重大な立場に立たされることになったペンス副大統領は、これまで、法律を精査するとともに、専門家に意見を求めてきました。ある政権高官によると、ペンス副大統領は「法律に従い、憲法を順守するだろう」との見方を示したそうです。
3.ひれ伏して私を拝むならこれをすべてあなたにあげよう
今回の大統領選挙に関して、鋭い考察で人気のYoutuberの「カナダ人ニュース」氏が両院合同会議で起こりうるシナリオをいくつかシミュレーションされていますけれども、問題州について、憲法規定に従い、1月20日に間に合うように州議会に突き返すシナリオと、連邦法に従って、1月11日までに決めきるシナリオの2つを挙げ、望ましいのは前者のシナリオだとしています。
ネットでは、前者の州議会への突き返しを「新ペンスカード」と呼ぶ向きもあるようですけれども、果たしてこれを切ってくるのか、それともトランプ大統領を裏切って何もしないのか。
更にネットでは、ペンス副大統領に対する一部の大物支援者が、2024年に大統領にさせるとの餌をぶら下げてトランプ大統領を裏切るように唆し、見事裏切った暁には、「ペンス氏はトランプを裏切ったが、ペンス氏は暴君トランプによく仕えた聖人」だというストーリーを仕立てようとしているとか、ペンス副大統領が政界引退を示唆したとか、これ以上キャリアを求めないと発言したとか、いろんな噂が飛んでいます。
けれども、最初の噂の「トランプを裏切ったが、ペンス氏は暴君トランプによく仕えた聖人」というストーリーはそのストーリーそのものに無理があるように思います。
なぜなら、裏切り者だけど聖人だという図式は直感的に理解しにくいですし、仮にこの図式が成り立つとしても、そこにはトランプ大統領が暴君ないしは"神から遠い人"であるという前提がなければならないからです。
そもそも聖人であれば、そんな暴君や"神から遠い人"に仕えること自体がおかしな話です。聖人であれば、自分がどんな境遇になろうと最初から暴君には仕えないはずですからね。
それに2024年に大統領にさせてやるから、トランプを裏切れ、なんてロジックは、まるでイエス・キリストを高い山に連れていった悪魔が、この世の全ての王国と栄華を見せて、「もしひれ伏して私を拝むなら、これをすべてあなたにあげよう」と誘惑したのと同じものです。
敬虔なクリスチャンであるとされるペンス副大統領はこれを聞いてどう思ったのか。あるいはイエスと同じ試練にあっているのかもしれないと思ったのかもしれません。けれども、もしもペンス副大統領の「これ以上キャリアを求めない」発言がその答えだったのだとしたら、ペンス副大統領はイエス・キリストと同じように、悪魔の誘惑を跳ね除けたといえるかもしれません。
4.新ペンスカード
ペンス副大統領は、選挙人票を拒否するいわゆる"旧"ペンスカードを切るように求められたとき、「安易に票の拒否権を使えば今後、大統領を決めるのが副大統領になってしまう。そうせずに勝つ」と述べています。
例えば、州知事と州議会で民主・共和で捻じれた州が、わざと州選管と州議会で選挙人の二重投票を行い、副大統領が恣意的にどちらかの選挙人を受け取ったとしたら、その州の投票のどちらが有効なのかを副大統領が決めていることになります。こうなってしまったら、その州の一般投票など事実上意味なくなってしまいます。
確かに安易な拒否権の行使は、大統領を決めるのが副大統領になってしまうことに繋がります。
その意味では、二重投票については、州議会に差し戻す、いわゆる新ペンスカードならば、そのような懸念は減ることになると思います。
今回の不正選挙を調査報告したナバロレポートは、「もしこれらの不正選挙が大統領就任式前に十分に調査されず、それによって事実上放置されるならば、この国は再び公正な大統領選挙を行うことができなくなるという非常に現実的な危険を冒すことになります」と締めくくっていますけれども、公正さは"神の御心"に適うものであり、合衆国憲法に神の意志が宿っていると考えるのであれば、ペンス副大統領はそのように行動するのではないかと期待したいですね。
5.中国共産党との裏取引
新ペンスカード発動とは別に、マコーネル共和党院内総務とペロシ下院議長が裏切ってトランプ側につくという説もあります。
これも、アメリカ大統領選に関する人気Youtuberの「闇の熊さん」氏は最近の動画で主張している説です。
「闇の熊さん」氏は、昨年12月31日に、ニューヨーク証券取引所で中国の通信大手である中国移動通信(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)の3社がトランプ大統領が昨年11月に出した大統領令によって上場廃止手続きを開始すると発表したのが、1月5日に突然撤回されたことを挙げ、撤回はトランプ大統領自身による指示だろうとしたことと、路徳社の1月4日の記事でマコーネル院内総務がトランプ大統領を支持する三条件(①中共にあと二年間の猶予を与えること。②デカップリングを遅らせること。③二年間の中で、中共に内部再編を行わせること)がリンクしているとして、中国共産党とトランプ大統領と取引が成立したのではないかというのですね。
「闇の熊さん」氏は、中国共産党で、この取引を持ち掛けたのは習近平主席が入院したタイミングを狙って、江沢民派が動いたのではないかと述べています。
これについてジャーナリストの中野博氏は、中国共産党は「金の成る木」である通信大手3社の上場廃止は困るとして、習近平を下して、アメリカに行ってきた工作から手を引く、世界覇権も諦める、だから上場廃止はやめてくれという大きな取引が成立したという情報を得たと述べています。
マコーネル共和党院内総務とペロシ下院議長がトランプ大統領につくのかどうかは別として、十分あり得る話だと思います。
ただ、その路徳社は1月6日の記事で、中国通信大手3社に対する上場廃止措置が撤回された最大の原因は、バイデン氏が正式に大統領に当選した場合、3週間以内にトランプ大統領が発令した禁止令を取り消すと発言したからだと述べています。
更に、同じく6日、ニューヨーク証券取引所が中国通信大手3社の上場廃止手続き中止を決めたことに対し、ムニューシン財務長官がニューヨーク証券取引所のステーシー・カニンガム社長に電話で反対の立場を伝えと報じられ、ブルームバーグの記者によると、ニューヨーク証券取引所は手続き中止の決定を見直しているそうです。
これらはトランプ大統領と中国共産党との取引説とは逆の動きになりますから、真相はどうなのかもう少し時間をおかないと分からないと思います。
連邦議会上下両院合同会議まであと僅か。どのような結論が出るのでしょうか。
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