南北緊張はどこまでエスカレートするか

今日はこの話題です。
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1.忍耐しながら方法を模索するしかない


6月17日、文在寅大統領は文正仁・統一外交安保特別補佐官、林東源・前国情院長などと会合を行い、先般の北朝鮮の振舞いについて「とても失望している……私は、南北関係の改善のために、これまで最善を尽くした……時にはアメリカも説得して、金正恩委員長も説得した」と述べた上で、「南北関係は、過去から現在まで、このような困難の中で乗り越えてきた……アメリカも説得して、北朝鮮も引き続き説得しなければならない……しかし、今では方法がよく見えない……今は忍耐しながら方法を模索するしかない」と出席者がその模様を伝えています。

文大統領はまだ対話を続けたいと述べていますけれども、北朝鮮が望んでいるのは"対話"ではなく、経済援助なり制裁緩和なりの成果でしょう。北朝鮮に何らかの土産を持って行かない限り、対話など出来ないのではないかと思います。

昼食会に参加した元老たちは、「大統領が現実を正しく認識しているようで幸い……大統領が原則に基づいて対応すると思われる」と助言し、参加者達は、「当分の間、北朝鮮が追加の挑発をしないように、状況を管理しながら突破口を見つけなければならない」と述べたと伝えられています。

けれども、「正しく認識しているようで幸い」と言われるということは、文大統領が長老からは現実が見えない"お花畑"だと心配されていたことを意味します。
他国のことながら、一国の指導者として危ういことこの上ないと思います。


2.韓国はアメリカに事大するな


北朝鮮は連日、韓国を罵っていますけれども、17日、金与正氏は、次のような談話を発表しています。一部引用します。
北南関係が取り返しのつかない最悪の破局へ突っ走っている中、南朝鮮当局者がついに沈黙を破った。

去る15日、青瓦台の首席秘書官および補佐官会議と「6・15宣言20周年記念行事」に送った映像メッセージなるものを通じて、連続2回にわたって長たらしい演説を行った。

【中略】

本末を転倒した美辞麗句の羅列

重大な現事態がくずの連中の反朝鮮ビラ散布妄動とそれを黙認した南朝鮮当局のために招かれたということは、周知の事実である。

それなら、南朝鮮当局者の今回の演説は当然、それに対する謝罪と反省、再発防止に対する確固たる誓いがあって当然であろう。

しかし、本末は跡形もなく責任回避のための弁解と術策をごちゃまぜにした華麗な美辞麗句で一貫している。

平和は一朝にして来ない、曲がりくねって流れてもしまいには海へ向かう川水のように楽観的信念を持たなければならない、のろくても一歩ずつ進まなければならない、と言いながら、特有の語法と話法で「気取り屋」のまねをしようと読む文の表現を整えるのにかなり手間をかけたようだが、現事態の本質をいったい知っているのかを問わざるを得ない。

くずの連中が働いた反朝鮮ビラ散布行為とそれを黙認した南朝鮮当局の行為は、抽象的な美化粉飾でうやむやにできる問題ではない。

【中略】

南北関係を止めてはならないと言いながらもその出発点となる自分らの過ちを率直に認定するのはあくまでも避け、願わない荒波に入りかねないと騒ぎ立てながらもその解決策であるくずの連中の妄動を阻止させる対策を一つも出さない底意は明白である。

邪悪な言葉遣いで罪悪を覆い隠し、目前に迫った危機でも免れるということだが、実に浅はかで愚かな考えである。

信頼が根元まで崩れ、嫌悪の念は極に達したのに、一言、二言の甘言で北南関係を反転させられるだろうか。

【中略】

ところが、今回の演説をよく見ると北南関係が進展を遂げていないのが全ていわゆる外的要因にあるように押し付けている。

「政権」が交代するにつれて対北政策が一貫性を失ったりした、国際情勢が揺れたため北南関係が一直線に発展することができなかったと愚痴をこぼしたが、共同宣言履行のために自分らがやる事は最初からなかったと直に打ち明けた方がもっとよかったであろう。

演説通りなら、北南関係が一歩も進まなかったのが南朝鮮内部の事情のためであり、米国と国際社会の支持が伴わなかったからだということだが、過去それほど口にしばしば乗せていた「運転手論」が決まり悪くなる弁解だと言わざるを得ない。

「期待ほど南北関係の進展が遂げられないことに対して私も惜しさが大きい」と言ったが、漠然たる期待と惜しさを吐露するのがいわゆる「国家元首」が取る姿勢と立場なのか。

看過できないのは、現事態に関連してわれわれがくずの連中の対北ビラ散布と自分らを非難し、疎通を断絶して過去の対決時代に戻るかもしれないので気掛りだの、疎通と協力で問題を解決していくことを願うと力説したことである。

節節に鉄面皮さとずうずうしさがかび臭く付いている詭弁だと言うべきであろう。

【中略】

板門店宣言2条1項には、軍事境界線一帯で拡声器放送とビラ散布をはじめとする全ての敵対行為を中止することについて明記されている。

2年という長い時間、一度や二度でもなく、自分の内部で繰り広げられる反朝鮮ビラ散布を見なかった振りをして放置しておいたのは、誰が見ても南朝鮮当局の責任であることが明明白白である。

鉄面皮さの極みは、自分らがあたかも北南合意を履行するために多くの努力をしたようにくどくど言ったことである。

いったい、板門店宣言と9月平壌共同宣言で南朝鮮当局が履行すべき内容をまともに実行したのが一条項でもあると言うのか。

【中略】

南朝鮮当局者は今回、「北南宣言は揺れてはならない確固たる原則」であることをうんぬんし、「与件醸成」がだめでも北南関係において何かをするかのようにつまらないことを並べ立てた。

しかし、北と南の意志だけで思う存分駆けていける状況ではない、のろくても国際社会の同意を得る努力もねばり強く傾けるというくどい事大主義うんぬんをひとくさり並べ立てる瞬間、変われない事大依存の本態が余地もなくさらけ出された。

いくら宗主の機嫌を見ながらそわそわして生きていく哀れな境遇であっても、北南関係がこんにちのような破局に至った時になってまで、南朝鮮をめった切りした強盗に物乞いの手を差しださなければならないのか。

自他が公認するように、立派であった北南合意が一歩も履行できなかったのは、南側が自ら自分の首に掛けた親米事大のわなのためである。

【中略】

こんにち、北南関係が米国の翻弄物に転落したのは全的に、南朝鮮当局の執拗(しつよう)で根深い親米事大と屈従主義が生んだ悲劇である。

問題は、ドブにはまってもがくこの瞬間までも、南朝鮮当局者が外部勢力のズボンの裾を放せないとして汚らわしい姿を見せていることである。

獣も一度はまった陥穽には、再びはまらないと言われた。

ところが、自分の手で自分の目を突く間抜けな呪文を一度や二度でもなく、演説するたびに間違いなく我を忘れて唱えているのを見れば、見かけではまともに見える人が気がおかしくなったのではないかという心配がする。

事大と屈従は、自滅を招く前奏曲である。

根深い事大主義根性に虐げられ、汚辱と自滅へ突っ走っているこのように卑屈で屈従的な相手とこれ以上、北南関係を論じられないということが、固まるほど固まったわれわれの判断である。

政治家なら理想も重要だが、自分がやるべきことを決断力を持って探してする気質があるべきではなかろうか。

そう言えば、行動より言葉が達者な人がたまに居るのは居る。

いつも、フォーラムや撮影機、マイクの前に出れば、まるで子供のように純真で希望に膨れた夢のようなことだけをしゃべり、偉そうなふり、正義に富むような振り、原則的であるようなふりをして、平和の使徒のように振る舞いを鼻持ちならないようにしているのだから、そのぶざまを一人で見るのが惜しくてわが人民にも幾分知らせようとわたしが今日また、言葉爆弾を爆発させるようになったのである。

とにかく、今や南朝鮮当局者らがわれわれとは何もすることができず、引っ込むようになった。

今後、南朝鮮当局者らができることとは後悔と嘆きだけであろう。

信義を裏切ったのがどんなに大きな代償を払うことになるのかを南朝鮮当局者らは流れる時間の中で骨身に染みるほど感じることになるであろう。
このようにボロクソです。文大統領の6月15日の演説を詭弁だと断じ、南北関係が今の状態に陥ったのは、韓国のアメリカに対する事大主義のせいであると断罪しています。

まぁ、北朝鮮の本音は、文大統領に対し、口先でなく、アメリカを説得して経済制裁を解除させろということなのでしょう。


3.対北朝鮮制裁1年延長


では、アメリカは北朝鮮の挑発にホイホイと制裁緩和するかというとそんな訳はありません。

6月17日、トランプ大統領は、北朝鮮に対する経済制裁を指示した大統領令をさらに1年間、延長することが明らかになりました。

トランプ大統領がナンシー・ペロシ下院議員に書簡を送り、その中で、北朝鮮に対する経済制裁を規定した行政命令13466号など6件の行政命令の効力を26日以降の1年間、引き続き延長することを伝えました。

書簡でトランプ大統領は「朝鮮半島で武器として使用され得る核分裂物質の存在と拡散の脅威、そして朝鮮半島を不安定にする米軍同盟を危険にする北朝鮮当局の行動は、引き続きアメリカの国家安保と外交政策、経済において非凡で例外的な脅威を加えている……このような理由により、私は北朝鮮に対して13466号の行政命令で宣言した国家非常事態を延長する必要があると決定した」と述べています。

アメリカ政府は、対敵通商法(TWEA)と外国資産管理規則によって2000年6月16日以来、北朝鮮および北朝鮮国籍保有者が所有する資産とその利益を凍結してきました。

2008年6月26日に発表された大統領令13466号および大統領布告8271号で北朝鮮は対敵通商法(TWEA)の対象国から除外されたものの、TWEAが規定した北朝鮮との取引に関するいくつかの制限措置は継続することが決定され、その後、大統領令13551号と13570号によって制裁対象が拡充されています。

なんだかんだでアメリカは10年以上制裁を続けている訳です。

第一、挑発や脅しでアメリカが膝を屈する筈もありません。

南北連絡事務所の爆破やケソン工業団地への軍の展開が、アメリカの対北朝鮮制裁延長を呼び込んだのだとしたら、金与正氏の強硬策は裏目に出ていることになります。


4.金与正は引き際を見極められるか?


北朝鮮分析の専門サイト「38ノース」のアナリスト、クリス・シュタイナイツ氏らは、今回の金与正氏の動きについて次のようにコメントしています。
「金総書記の妹、金与正の政治力は大きくなった。彼女は国外で最高指導者の代理を務め、北朝鮮の最高権力機関である政治局で、政治力のある地位についている。ここ数カ月、彼女は軍を指導し、経済と安全保障政策に関して公的な発言をすることを通じて、影響力が増したことを示した……金与正は段階を踏んで頭角を現し、より高い地位を獲得している。詳細は不明だが、これは統治の継承をめざす計画が進んでいることを示している。それは最高指導者になるために金与正を育てるか、あるいはおそらく摂政として、優れたリーダー役になることを確実にするだめだろう」
また、朝鮮半島を専門とするタフツ大学の李晟允(イ・スンヨン)教授は、「北朝鮮が今、妹を担ぎ出すのは筋が通っている。金正恩の子供たちは幼すぎて、少なくともあと20年は後継者の役目を担うことはできない。おそらく、金正恩は健康上の問題を抱えており、不測の事態に備えて対応策をたてる必要があると考えている……金与正が勢いに乗っているのは、自分の名前で特定の『成果』を示す必要があるからだ。臆病な韓国と、北朝鮮にビラを散布する『人間のくず』の脱北者を罰することも、成果の一部だ」と指摘しています。

このように、金与正氏の対韓国強硬策が、金正恩の後継者としての実績作りだったとしたら、やはり何某かの「成果」を出さないかぎり退くことはないのではないかと思われます。

その成果を何とするかは分かりませんけれども、少なくともアメリカの経済制裁緩和は近々には望み薄でしょう。つまり、振り上げた拳の落としどころが決まるまでは、今の挑発行動はエスカレートしていくということです。

或いは、李晟允教授が指摘する「北朝鮮にビラを散布する『人間のくず』の脱北者を罰する」tことを持って、成果として退く可能性もない訳ではありませんけれども、その場合は、文在寅大統領が、対北朝鮮ビラを散布した脱北者団体を検挙して北朝鮮に引き渡すくらいしなければならなくなります。

果たして、文在寅政権が、北朝鮮と交渉して落としどころを探り、其の為の手を打てるのか。特使派遣を打診してケンモホロロに断られている状況では、そうそう簡単にいくとも思えません。

南北の緊張状態はしばらく続くものとみて警戒する必要はあると思いますね。


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