新しい生活様式と迅速診断と迅速治療

今日はこの話題です。
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1.新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言


5月4日、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」は、都道府県別の感染状況の分析等を行った上で、5月7日以降に求められる具体的な対応等について、とりまとめた提言を行いました。
提言では、現時点での感染状況の総括が行われており、それは次の通りです。
(3)総括
○ 以上を踏まえれば、新規感染者数等は着実に減少に転じつつあると判断されるが、①収束のスピードが期待されたほどではないこと、②地域や全国で再度感染が拡大すれば、医療提供体制への更なる負荷が生じる恐れがあることから、当面、現在の緊急事態宣言下での枠組みを維持することが望ましいと考える。

○ また、緊急事態宣言には、新規感染者数を減少させ、医療崩壊を防止する等の狙いがあったことを踏まえ、各知事は医療提供体制の構築に早急に努めるととともに、政府はそれを支援することが必要と考える。

〇 一方で、現在の枠組みの維持の長期化によって、必要以上の市民生活への犠牲を強いることのないようにする必要があり、感染症対策の進捗状況とともにしっかりとモニターをしていく必要がある。このため、本専門家会議では、1~2週間程度経過した時期に、最新の感染の状況等を踏まえた分析を行うとともに、その結果に基づいて、必要な提言を政府に対して行っていく必要があるものと考える。
このように、新規感染者数等は減少に転じつつあるが思った程でなく、依然として緊急事態宣言を維持することが望ましいとしています。その一方で、緊急事態宣言の長期化で市民生活に犠牲を強いてはならないので、1、2週間後に再度分析して、政府に提言する、とも述べています。

その分析と総括そのものは妥当だと思いますし、報告書も20ページと良くまとまっていますから、目を通されてよいのではないかと思います。


2.PCR検査が少ない理由


マスコミが何かと検査数が少ないと叩くPCR検査についても、検査数が少ない理由と検査の有効性についても述べています。

提言では、PCR等検査件数がなかなか増加しなかった原因としては、

①帰国者・接触者相談センター機能を担っていた保健所の業務過多、
②入院先を確保するための仕組みが十分機能していない地域もあったこと、
③PCR 等検査を行う地方衛生研究所は、限られたリソースのなかで通常の検査業務も並行して実施する必要があること、
④検体採取者及び検査実施者のマスクや防護服などの感染防護具等の圧倒的な不足、
⑤保険適用後、一般の医療機関は都道府県との契約がなければ PCR 等検査を行うことができなかったこと、
⑥民間検査会社等に検体を運ぶための特殊な輸送器材が必要だったこと、またそれに代わることのできる輸送事業者の確保が困
難だったこと、

の6つを挙げています。

そして、他国と比較してPCR等検査件数が少ないことを認めつつも、検査陽性率がイタリア、シンガポール、アメリカ、スペイン、フランス、イギリスよりも十分に低くなっていることから、潜在的な感染者を見逃している訳でもなく、武漢肺炎判定には、PCRだけでなく、CTスキャンも活用してきたと述べています。

マスコミは、日本のPCR検査が少ないとやいのやいの批判していますけれども、現場の臨床医からはPCR検査を増やさなかったことを肯定する意見が出ています。

デイリー新潮は、ある総合病院で新型コロナウイルスを実際に診察し、また現場の統括もしているベテラン医師に匿名を条件でのインタビュー記事を掲載しています。PCR検査に関する部分を抜粋すると次の通り。
――テレビに出ている「専門家」の強い主張の一つが、「とにかくPCR検査を増やすべき」というものでした。これはどうなのでしょう? 

 これは絶対に間違いです。少しでも専門知識がある人は、全くこれを望んでいません。

 他国と日本が違うのはこの点で,本当に医師が疑った例にのみ検査をやっている点で感染の広がりをコントロールできていることは確実です。

 とはいえ確かに検査のスピードは遅かったから、そこは今改善を進めています。

 ただし、誰彼構わず検査をオーダーできるような状況を作らなかったことは100%正しかったと考えています。

 日本のように国民皆保険の国で、なおかつ感染症に詳しくない町のクリニックのようなところまでもが、自由にPCR検査をできるような環境を作っていたら、間違いなく院内感染が多発していたでしょう。おそらくニューヨークやイタリアの比でない状況になったと思います。

「かかりつけ医」に相談することは否定しません。しかし、そこに多くの人が押し寄せたら結局クラスターを発生させかねません。そういう状況を作らなかった点では、当初、検査を絞ったことは決して批判されるようなことではないのです。

 現在報告されている院内感染にしても、慣れてない人が普段使わないような感染防御具を適切でない使用をしたがために他の人や患者に感染させる例があとを絶ちません。

 ドライブスルーでのPCR検査を増やせ、という意見についても、乱暴に思います。病院外での検査体制は進めたほうがいいでしょうが、やり方を間違えるとかえって感染者を増やすことにもなりかねません。
このように、きちんとした検査体制を整えないままPCR検査を無闇に増やしてしまうと、却って感染者を増やしてしまいかねないというのですね。

更に此の医師は、数多くの新型コロナウイルス感染者を診てきた者として、病歴を聞き、問診をして、CTを撮り……といった診察の過程で「この人は陽性だな」と思う人は検査に回さなくても、ほぼわかる、と述べているのですね。

筆者は、3月19日のエントリー「日本国内の武漢ウイルス感染率は高くない」で、検査数を絞るためのスクリーニングは非常に上手く機能しているのではないかと述べたことがありますけれども、この医師の言う通りだとすると、実態としてもその通りだということです。

このスクリーニングについては、専門家会議の副座長を務める尾身茂・地域医療機能推進機構理事長が会見で「日本の医療制度というのはもともと肺炎サーベイランスみたいなものをやって、肺炎が起きたら引っ掛けよう……大多数の重症者、肺炎を起こすような人は日本の医療制度はPCRはそれほどやってないけど、探知できるようなシステム」を持っていると述べています。

つまり、日本はCTも使った診察で武漢ウイルスに感染しているかは、おおよそ見当がついていて、最後のトドメというか確定診断の為にPCRを使っているという理解でよいのではないかと思います。


3.新しい生活様式


更に、専門家会議は、武漢ウイルスを想定した今後の行動変容に関する「新しい生活様式」を提言しています。

その詳細の実施例は提言に纏められていますので、詳しくは触れませんけれども、日常生活や働き方の新しいスタイルを例示しています。

これはこれで悪くはないと思いますけれども、気になるのは経済への影響です。

新しい生活様式に移行するということは、経済活動もそれに従ったものになる訳で、ある意味、元の世界には戻れないということでもある訳です。

専門家会議が提示した「新しい生活様式」は筆者が見る限り、武漢ウイルスに感染しない、あるいは移さないといった予防に重点を置いたもののように見えます。

「3密の回避」などは確かに感染予防や感染拡大を防ぐには重要な対策だと思いますけれども、それだと、提言でもクラスターだと指摘された、屋内運動施設(フィットネスジム等)やライブハウス、カラオケ・合唱関係の場や通夜・葬儀の場といったものは商業活動自粛ないしは廃業を余儀なくされ兼ねません。

これについて、尾身副座長は、5月4日の会見で次のように述べています。
実はこれは、私ども専門家委員会としては何度も政府にお願いをしたんですけども、われわれ専門家は、ここにいる人ほとんど、医療、公衆衛生、ウイルス学等々の専門家です。

われわれは、そういう者としてずっと提言をしてるわけですよね。で、われわれが政府に、再三、再度、最近お願いしてるのは、われわれはそういう者として提言している。

われわれは経済的なインパクト等々については、もちろん市民としての感覚はありますけど、そういうものを評価したり、そういうことにどうしたらいいかっていうのを言う専門性がないので、われわれは、われわれのような公衆衛生、感染症のプロと、それから経済のプロ、両方から政府に対して提言がいって、政府はその両方を見た上で最終的な判断をしてくださいというのを申し上げて。

政府のほうもそういうことが、十分われわれのことを理解してくれて分かったと、なんとかしようというお返事を今日いただきましたので、そういうことになることを期待して。
専門家会議が経済のプロからの提言も聞くようにと政府に申し入れているのは賢明なことだと思います。

であれば、政府は経済的な面から、更に武漢ウイルスの専門家会議に、感染拡大予防だけでなく、重篤化を防ぐための手立てについても見解を出すように要請してもよいのではないかと思います。

屋内運動施設やカラオケといった商業活動を再開すれば3密となってクラスターが発生する確率はどうしたって高くなりますから。


4.重篤化を防止する方法に注力すべし


武漢ウイルスが撲滅されない状況で、現在の非常事態宣言を解除するということは、武漢ウイルスと共存することを意味します。現に欧米などはその方向に舵を切りつつあります。その時、感染防止だけに注視するあまり、今の非常事態宣言下と殆ど変わらない生活を強要するのなら、経済的に壊滅することは目に見えています。

重篤化の防止については、この日の会見で記者とのやり取りがあります。それは次のとおり。
テレビ朝日:4月1日に専門家会議で出していらっしゃるものの中に、新しい生活様式で、ワクチンの開発か、早期診断から重症化予防までの治療法の確立っていうふうに書いてあるんですけど、これは、早期診断から重症化予防までの治療法の確立っていうのは具体的にはどういったものを想定していらっしゃるんですか。

脇田:ちょっと先ほども話が出ましたけども、迅速診断ですね。で、なるべく早く感染者が診断をされるということ。そして、治療法が今いろいろ開発されてますよね、治療薬。レムデシビルであったり、それからアビガンというものが今、観察研究であったり臨床治験が行われていて、その中から効果、有効性が高いものが見つかってくると。それからさらに新しいものも開発されているという状況の中で、早く診断をされて早く治療をするということが患者さんにとっても早期回復になりますし、それから早く治療することによって次に感染をさせないということにもなりますので、そういったことを言っているということになります。
このように専門家会議は、迅速診断と迅速治療の二つを挙げています。

その意味においては、ワクチンの開発は元より、PCR検査体勢の拡充や、迅速診断キットの開発。そして有効性が認められる治療薬の認可は必要です。

更には、出来るならば、「新しい生活様式」の中に、個人で出来る重篤化を避ける方法についても提言いただけることを期待したいですね。

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この記事へのコメント

  • マルリン

    分かりやすくよめました。
    ありがとうございました。
    2020年05月08日 18:46