一国二制は通ってはならぬ道だと示してくれた

昨日の続きです。
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1.復活からの大勝

先日の台湾の総統選で史上最高となる817万票余を獲得し見事再選を果たした蔡英文総統ですけれども、当初は勝てるとは思われていませんでした。

2019年の年初、蔡英文政権はその前年秋の地方選の惨敗を受けて党首を引責辞任、政権支持率は20%代に低迷していました。蔡英文総統を候補にしては総統選挙は戦えないとまで言われていた程でした。

その理由は、蔡英文総統自身の対中政策が曖昧であることに加え、経済低迷、脱原発などのリベラル政策が保守層の多い中高年台湾有権者から反発を受けていたことなどが上げられています。

更に、民進党自体が、政権与党として未熟であったという面もあったようです。

この蔡英文総統と民進党の敗北の流れが変わった切っ掛けは2019年新年早々に習近平主席が打ち出した「習五条」と呼ばれる対台湾政策だったと言われています。

2019年1月4日のエントリー「アジア再保証イニシアチブ法と中国の焦り」で取り上げましたけれども、習近平主席は演説で、「両岸関係と民族の未来について、広範で踏み込んだ民主協商を展開し、両岸関係の平和発展について制度的配置の実現を推し進める」と一国二制度を強調する一方、「中国人は、同じ中国人を戦いの相手にしない。われわれは、武力の使用を放棄することを約束せず、あらゆる必要な措置を取る選択肢を保有するが、それはあくまでも外部勢力の干渉と極めて少数の『台湾独立』分裂勢力および分裂活動に対するもので、決して台湾同胞を対象とするものではない」と半ば恫喝めいた発言をしました。

これに対し、蔡英文総統は、一国二制度は「台湾の絶対的多数の民意が断固として反対しており、コンセンサスだ……圧力や威嚇を用いて台湾人民を屈服させる企てであってはならない」と拒絶しました。

この時期、国民党の呉敦儀主席は、政権を奪還した暁には「両岸和平協議」を推進するとして、中台統一を打ち出していました。

これについてジャーナリストの福島香織氏によると、この時点で、2020年1月の総統選の争点は「一国二制度による統一か、抵抗か」という選択肢を有権者が選ぶというものになり、過去4年の与党政権の政策の評価はあまり関係なくなったとのことです。

それでも、2019年4月の段階では、香港世論は中台統一か否かで世論も揺れていたのですけれども、その流れを一気に統一反対に動かしたのが、あの香港デモでした。

香港市民の100万人規模のデモと、その後の抗議活動に対する香港警察の暴力、そして、それに抵抗する香港市民との応酬がエスカレートするにつれ、蔡英文の支持率はぐんぐん上昇していきました。

中国は、フォックスコンのカリスマ経営者・郭台銘を国民党から出馬させ、台湾経済の引き上げを餌に台湾世論を引き付けようと画策するも、郭台銘氏は総統候補の予備選に敗れ脱落。

最後の望みを託した韓国瑜氏も、2019年6月9日の香港100万人デモについて記者から質問されて「知らない」と答えたり、ドイツの脱原発政策の見直しが浮上していると発言してドイツ政府からクレームが入ったりするなど、メディアへの露出が増えるに従い失言が増え、支持は剥がれ落ちていきました。

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2.若年層に狙いを絞った蔡英文陣営の選挙戦略

今回の総統選挙では、こうした香港市民のデモに共感する台湾の若年層に対し、蔡英文陣営は積極的なアピールを行いました。

蔡英文陣営は、蔡氏をアニメの美少女戦士風に描いたイラスト入りクリアファイルや、猫好きな蔡氏にちなんで猫耳、猫足姿の蔡氏をモチーフにした漫画入りステッカー、消しゴム、石鹸などを配布。「2020台湾勝つべし」のスローガンなどとともに、北京側への反発や、台湾の民主社会をアピールして蔡氏に投票を呼びかけました。

蔡陣営スタッフによると「これまでに蔡氏の立ち居振る舞いは、政治家らしく社交的に前に出るタイプではなく、少し控えめで、その言動も物静かな官僚的イメージで受け止められてきた。そうしたイメージを払拭する戦略、努力はこれまでも行ってきたが、今回は特に若い世代の支持がカギを握る選挙だとみて、こういう形でも力を入れた……ご本人は、少し照れているようではありますが」とコメント。

蔡総統の選挙事務所に集う支持者らには20代、30代の若者をはじめ、女性の姿が目立っていたそうです。

蔡総統はそれまで控えていた外国メディアの単独インタビューにも積極的に応じ、民主主義を重んじる台湾社会の価値観を、国際社会に積極的に訴えかける姿勢に転換。ツイッターやフェイスブックのみならず、選挙戦では動画やライブ配信も頻繁に行うなど、若年層へのアプローチに注力しました。

一方、高雄市長在職のまま今回、国民党の総統候補となった韓国瑜氏の陣営はというと、50代以上の高齢層支持者が目立ち、陣営の配布物も、「中華民国」を象徴する青天白日満地紅旗のステッカーや、同旗をモチーフに「UP」の文字を象ったフェイスペイントシールなど、アカ抜けないものでした。

確かに両陣営の配布物を並べてみると、若者vs年寄りというかターゲットにしている年齢層がはっきりと分かれていることが見て取れます。

更に、選挙戦の最中には台北市内のビルに突然「韓国瑜を支持することは共産党を支持することだ」と大書された巨大な垂れ幕が掲げられて物議をかもす一幕もあるなど、若年層や中間層の支持を伸ばすことは叶わなかったようです。

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3.「一国二制」は通ってはならぬ道

こうして大差の再選を果たした蔡英文総統ですけれども、その代償がなかった訳ではありません。それは、一国二制度を明確に否定したことで、これまでの曖昧な対中戦略が取れなくなると予想されることです。

総統選挙前日、蔡英文総統は次のような演説を行っています。
今は合法である限り、いかなる人もデモ集会の権利を警察に守ってもらえる。
警察に放水砲や催眠弾を撃たれる心配はない。

盾を持った警察が急に駆け寄ってきて、警棒で殴られ血塗れになる心配もない。
これが民主です。若い皆さん、台湾は民主という道を長い時間歩んできた。その過程はとても辛かった

民主は空から降ってきたものではなく、無数の抗争と多くの人々の命がけの奮闘によりこの地に根付いたもの。
そのお陰で、我々は民主的な生活ができる。

皆さんがこの道をどう歩んで行くのか、全世界の人々、とりわけ香港の若い方達に注目されている

香港の若い方達は、命と血と涙で我々に「一国二制」は通ってはならぬ道だと示したくれた。

若い台湾の皆さん、民主的自由の価値は、いかなる困難をも克服できることを、明日香港の人達に示そう。
ここまで明確に一国二制を否定して、再選した以上、その路線を翻すことは出来ません。中国があの手この手で台湾を締め付けてくると予想される中、どう台湾を舵取りしていくか。

日本はアメリカとも連携して、台湾との関係を深め、サポートしていけるよう考えていく必要があるのではないかと思いますね。

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