策士トランプの戦争回避声明

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1.アメリカは軍事力を行使したくはない

1月8日(アメリカ東部時間)、アメリカのトランプ大統領は、イランがイラク国内のアメリカ軍駐留基地にミサイル攻撃をしたことを受け、ホワイトハウスで声明を発表しました。

演説の要旨は次のとおりです。
私が大統領であるかぎり、イランには核兵器を持たせない。幸運にも、昨夜の攻撃でアメリカ人に死傷者はなかった。
アメリカ軍の兵士はみな安全な状況にある。軍の拠点への損害は最小の規模で済んだ。
アメリカ軍は何に対しても準備ができている。イランは攻撃の構えを緩めようとしているようだ。これは世界にとってよいことだ。

私の指揮のもと、アメリカはソレイマニ氏を殺害した。ソレイマニ氏は、新たな攻撃を計画していたがわれわれがそれを阻止した。
彼はもっと前に排除されるべき人物だった。アメリカはイランに対し、新たな経済制裁を科すことにした。

欠陥のあるイラン核合意はどうせまもなく失効する。イランは核開発をやめ、テロの支援をやめるべきだ。
イギリス、ドイツ、フランス、ロシア、中国も、この現実を認識するべきだ。
関係国はこれまでのイランとの核合意にとらわれず、世界をより安全で平和にするため新たな合意に向けて協力するべきだ。
新たな合意はイランの経済的な可能性を引き出し、豊かで活気ある社会をつくるものであるべきだ。

イランが暴力をふるうかぎり地域の平和と安定はやってこない。私はNATO=北大西洋条約機構に対し、もっと中東に関与するよう求めていくつもりだ。
われわれはいまや世界一の石油や天然ガスの生産国である。アメリカは自立しており、中東の石油は必要ない。
アメリカは軍事力を行使したくはない。経済力こそが最大の抑止力である。
過激派組織IS=イスラミックステートはイランの敵であり、ISの滅亡はイランにとってよいことだ。私たちは、ISとの戦いを含めて協力し合うべきだ。
私たちはすばらしい将来を望んでいる。アメリカは平和を追求するすべての人々とともに、平和に身をささげる準備ができている。
トランプ大統領は声明の冒頭で「私が米国大統領である限り、イランには決して核兵器を保有させない」と言明。「アメリカ人の死傷者はいなかった。アメリカ人の兵士はみな安全で、基地は最小限の被害で済んだ……イランは行動を抑制している様子だ……関係国すべてにとって良いことだ。世界にとって、とても良い」と評価する一方、「イランに対し、ただちに追加的な経済制裁を科す」と述べ、NATOに中東への関与を強めるよう要請すると述べました。

戦争拡大等々についての発言はなく、このまま収束するのではないかという見方も出ているようです。

さらにトランプ大統領が声明を述べている時、自分のまわりに政権や軍の幹部を整列させる演出をしたことから、イランに反撃しないという判断は自分だけでなく、政権内で一致した方針だとアピールする狙いもあるのではないかという見方もあるようですけれども、筆者もそう思いますね。




2.我々は戦争の拡大を求めていない

イラク駐留アメリカ軍基地へのイラン側のミサイル攻撃について、イランのザリフ外相は「イランは自衛のため均衡の取れた措置を実行し、完了した。われわれは戦争の拡大を求めていない。しかし、アメリカの侵略に対しては防衛する」とツイートし、アメリカ側が反撃しなければ、当面、攻撃を控えるとの姿勢を示していました。また、アメリカ軍に対し軍事攻撃を行った直後、イラン政府はアメリカにイランに対し反撃しなければ、イランは攻撃を継続しないという内容の書簡を届けていたことが明らかになっています。

更に、ニューヨーク・タイムズによると、革命防衛隊に近い2人も、ザリフ外相と同じような趣旨の発言をしており、イラン政府の一致した方針と見られています。

一方、アメリカ国防省も、攻撃で標的となったのは基地の中でも人的被害が発生する可能性の低い軍用機の格納庫や倉庫などがピンポイントで破壊されていると、分析しています。

筆者は1月8日のエントリー「テーブルの上で殴りテーブルの下で手を差し伸べる」で、アメリカは「戦争しない、イラクから撤退する」というメッセージをイラン側に送っていると述べましたけれども、イラン外相発言と書簡、そして基地攻撃のターゲットから明らかなように、イラン側も同じく戦争回避のメッセージを返していたということです。

ただ、イラン国内では、ソレイマニ司令官殺害に対し、イラン国民がこぞって報復を叫んでいることから、ある程度のガス抜きが必要だとも見られていました。そうした背景からイラン最高指導者ハメネイ師は7日の国家安全保障委員会に出席し、「革命防衛隊と明確に分かるような報復」を指示。民兵などの代理人を使った報復ではなく、防衛隊自身が攻撃するという明確な報復行動を取らざるを得なかったとの観測もあるようです。

実際、イラク駐留アメリカ軍基地への攻撃について、イラン国営テレビはウェブサイト上で「この攻撃で、少なくとも80人のアメリカ兵が死亡した」と報じ、また無人機やヘリコプター、その他の軍事装備も大きな損傷を受けたと伝えていますけれども、まぁ、これは大本営発表と見てよいのではないかと思いますね。

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3.イラク撤退準備とNATOへの布石

あと、トランプ大統領の声明で注目したいのは、NATOに中東への関与を強めるよう要請すると述べている点です。筆者は、これをイラクからアメリカ軍が撤退した後のことを考えての布石ではないかと見ています。要するに、アメリカ軍が抜けた後はNATO軍にその穴埋めをしてくれ、ということですね。

まぁ、これが、騒動を起こしたアメリカの尻拭いを押し付けたとみるか、それともアメリカが悪役となって、イランへの圧力を掛けた代償とみるか、いろんな見方があると思いますけれども、イラクあるいはイランにとっては、水面下で伝えたと思われる駐イラク米軍の撤退をそのとおり実行するつもりであるサインだと受け取ったと期待したいところです。

残る懸念は、件のエントリーでも述べたようにイスラエルです。

今回のイラン側の”見せかけの報復”と大本営発表で、イラン国内が収まってくれるかということです。たとえば、革命防衛隊の一部の跳ねっかえりが、こんなのは報復ではない、生温いとばかり、他の米軍基地、とりわけイスラエルにミサイル攻撃をしたりしたら、元の木阿弥です。

一応、ニューヨーク・タイムズによると、革命防衛隊に近い2人も報復は完了した旨の発言をしているようですから、イラン側も革命防衛隊をしっかりグリップしてコントロールできていると思いたいですね。

まだ不安定な情勢は続くかと思いますけれども、ひとまず最悪の事態は回避したのではないかと思います。

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この記事へのコメント

  • さんさん

    イラン革命防衛隊の存在が、米国とイランに取って最大の邪魔だとすれば、両者は邪魔者排除と云う共通の認識の下で行動するでしょうね。
    ソレイマニ指令官は影響力と政治力が強すぎる存在で、両国の歩み依りには非常に目障りな存在だと云うのは確かでしょ。テロリストを傘下に置き、縦横無尽に暴れるソレイマニは、指令官としては優秀だが、そのヤリ方と政治力にイラン政府やハメネイ氏迄も口を挟む事すら出来ない存在で、核武装化への影響も強い存在で有れば、取り除く第一目標と成りますよね。
    トランプがアメリカの石油生産が世界一で中東に頼る存在では無いと言い切ったのは、ブッシュと違い、石油利権を狙う目的の無い宣言に見えます。
    トランプとイラン政府の本当の狙いは、地域の安定化と、それに伴う核武装の放棄に見えます。トランプが一番頭を痛めてる問題は米軍のコストですから、此れ以上の余計な支出は避けたいのが本音でしょう。
    トランプの演説で一番傑作だったのが、前政権オバマ政権とクリントン国務長官が中東を不安定化を招いたと云う大批判の部分ですね。アメリカでも左翼には禄な奴が居ない、実は陰でこそこそ火の種を蒔いている、トラブル屋で戦争屋の偽善集団です。
    2020年01月10日 22:43