GSOMIAで日米に追い込みを掛けられる韓国

今日は昨日のエントリーの補足です。
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1.破棄再考の圧力はなかった

11月6日、韓国を訪れているアメリカのスティルウェル国務次官補は、韓国の康京和外相、趙世暎第1次官と面会しました。

今回の面談については、韓国政府のGSOMIA破棄宣言についてアメリカから強力な圧力があるものと、事前に囁かれていたのですけれども、韓国・聯合ニュースは「破棄決定を再考せよという圧力をかけることはしなかった」と伝えています。

スティルウェル次官補は面会後、記者団の前で、4日に文在寅大統領が安倍総理と対話したことについて触れ、「関係改善を注視する中で、励みになるサインだ……GSOMIAをめぐる不協和音より、日韓関係改善に向けた前向きな流れに注目していた」とコメントする一方で「GSOMIAはアメリカ。日本、韓国全てに有益なもの」と、破棄決定の再考を願うアメリカ政府の基本的な立場は示したとしています。

この記事に、韓国のネットユーザーは「韓国に余計なことを言う暇があったら、日本に行って安倍を説得すべきだ。米国も日本には強く言えないくせに、韓国にはGSOMIAのことを言うんだな。韓国政府は堂々としているべきだ」とか「韓国は属国か?植民地か?アメリカが何をしてくれる?何もしないくせに自分たちが得することばかり願っている。こんなのどこが同盟だ」とか「焦ることはない。GSOMIAで日本を揺さぶるんだ。アメリカは引っ込んでてくれ」とか、反発を見せているようです。自分達の立場をまるで分かっていない。


2.北京、モスクワ、平壌には喜ぶ人がいる

この記事のように、たとえスティルウェル国務次官補が、破棄決定を再考せよという圧力をかけることがなかったとしても、破棄決定を理解している訳ではありません。

なぜなら、マーク・ナッパー国務副次官補がGSOMIA継続の意義について、はっきりと継続するように明言しているからです。

ナッパー国務副次官補は、都内の駐日米国大使公邸で日本経済新聞のインタビューで、GSOMIAについて次のように述べています。
――韓国は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めましたが、米国はどう対応しますか。

「韓国がGSOMIAから退けば、我々はかねて言ってきたように失望する。(日米韓)3カ国間の特に危機の際の調整に重要なツールだからだ。最近も北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射後にGSOMIAの価値を理解したと思う。これに代わる協定(TISA)は特に危機の際は良い代替策ではない。米国は双方に、GSOMIAに限らず他の問題についても解決策を見いだすよう働きかけている。最終的に、道を見つけるのは日本と韓国だ」

「最近のロシアと中国の共同パトロールは日本海の真ん中、日韓の防空識別圏を飛んだ。タイミングと位置は偶然ではない。日韓が解決を見いだせない限り、この種の挑戦は続く」

「我々3カ国は自由民主主義や自由市場経済を共有する特別な関係だ。こうした価値は中ロのような国々の挑戦を受けつつある。これらの権利を強化し守るために協力する責任がある」

――米韓同盟が不安定になっていませんか。

「近く経済担当次官が訪韓する。安全保障分野の対話を除けば最も高いレベルで、インド太平洋戦略と韓国の新南方政策を擦り合わせようとしている」

――中国や北朝鮮の脅威をどう分析していますか。日米韓3カ国の連携の重要性は。

「中国、北朝鮮、ロシアが日米に挑戦する軍事的な要素をもつことは疑いない。日本の同盟国として我々は条約のコミットメントを守るためには何であれ実行し、同盟が切り分けられないことを確実にする準備ができている。誰も現況を喜んではいないが、北京、モスクワ、平壌には喜ぶ人がいる。ソウル、東京、ワシントンにいる人はみなフラストレーションを共有し、解決策を見いだせるという希望を共有している」

「現状の一方的な変更を他国に強いる中国の試み、例えば尖閣諸島の問題や南シナ海の軍事化はすべて我々の懸念の対象だ。試みというより成功しつつあるが、特定の国々の外交関係を台湾から中国に切り替えさせた。(広域経済圏構想)『一帯一路』を通じた中国の取り組みは国々を債務のわなに陥らせている」
このように、日韓対立の長期化は、日米韓連携に悪影響を及ぼし「北京、モスクワ、平壌には喜ぶ人がいる」と強調しています。まぁ、当たり前なほど当たり前な認識です。


3.日韓関係改善がGSOMIA継続に繋がる

スティルウェル次官補は面会後、記者に対し、ASEAN会議で文大統領が安倍総理を待ち伏せして"対話"したことに触れ「関係改善を注視する中で、励みになるサインだ……GSOMIAをめぐる不協和音より、日韓関係改善に向けた前向きな流れに注目していた……GSOMIAはアメリカ。日本、韓国全てに有益なもの」とコメントしていますけれども、これは裏を返せば、GSOMIAを破棄すれば、日米韓に有益でなくなるということです。

勿論、有益といっても日米韓でその程度には差があります。

先の日経とのインタビューでナッパー国務副次官補が、TISA(日米韓情報共有協定)は危機においては、GSOMIAの良い代替策ではないと述べていますけれども、偵察衛星を持たない韓国にとって日本からの情報が得られなくなるのはかなりの痛手です。

実際、GSOMIAが締結された2016年当時、韓国国防省は「高度化、加速化、現実化している北の核・ミサイルの脅威などに対し、日本の情報能力を活用することで、われわれの安保利益を高めることができる。北の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に関連する情報を得るのに実質的に役立つと期待される」と述べていたのですね。

一方日本政府はGSOMIAが無くても安全保障には問題ないと発表していますし、防衛相の国会答弁で韓国がGSOMIAにもとづき提供した情報は「脱北者の話一件」だという話もあるくらいです。

日本についていえば、GSOMIAがなくてもそれほど大きな影響はないものと思われます。

アメリカはというと、確かに半島有事を考えると日米韓でのスムーズな情報共有を可能とするGSOMIAが無くなるのは痛いでしょう。

いずれにせよ、アメリカにとってGSOMIA破棄は半島および東アジア防衛の枠組みの見直しにまで及びかねないものであり、その影響の直撃を受けるのは間違いなく韓国です。

その意味で、スティルウェル次官補がわざわざにASEANでの日韓対話を持ち出して、GSOMIAの有益性を説いたのは、日韓関係改善がGSOMIA継続に繋がると認識しているということです。


4.安倍・文対話を無かったことにする日本

その日本ですけれども、政府はASEANでの安倍・文対話を無かったことにしています。

首相官邸のホームページに各国首脳との会談やアメリカのロバート・オブライエン大統領補佐官から表敬訪問は掲載したものの文大統領との対話は一切なし。外務省のホームページでも一切触れていません。

まぁ、正式の会談でもなんでもなく、待ち伏せしての不意打ちですからね。日本政府関係者が「信義に反する」と憤るのも当然です。

けれども韓国はこれに逆切れ。

11月7日、韓国の李洛淵首相は、国会予算決算特別委員会全体会議で、張済元・自由韓国党議員の「韓日対話に関する各政府の発表に大きな温度差がある」との指摘に「日本の発表は国際的基準に合うと見ない……日本側は対話の内容も紹介しなかった……私も安倍首相と会ったが、会った後に両国の発表文を見ると、我々の発表文は私と安倍首相の発言が6対4程度だが、日本外務省は95対5程度で自己中心的な発表をした……日本は対話の内容について韓国側に尋ねてほしいと話したという。穏当なことだとは思わない」と述べています。

いつも自分に都合のよい勝手な自己解釈を発表する韓国がこんな物言いとは、まさに「おまゆう」なのですけれども、アメリカのスティルウェル次官補が文在寅大統領が安倍総理と対話したことについて触れる一方で、日本は対話自体なかったことにしている。

見事な連携プレーです。

アメリカは日韓関係改善はGSOMIA継続に繋がるといいながら、自分は仲介しないとし、日本は日韓関係の改善は韓国次第としています。つまり、全ては韓国が100%責任を負っているのだと突き付けられている訳です。これは、韓国にはプレッシャーになるでしょうね。

韓国の世論調査ではGSOMIA破棄についてほぼ5割が支持しているなんて話も聞きますし、韓国政府もGSOMIA破棄を撤回する気はないようです。

11月8日、韓国の康京和外交部長官は国会予算決算特別委員会の全体会議で、「現在のところはわれわれの立場に変わりはない……GSOMIAは日本の不当な輸出規制措置に対する苦渋の決断だった……日本の輸出規制措置が撤回されるという前提の下でわれわれが再考できるという基本的な立場に変わりはない」と破棄の撤回はないと言明しました。

そして、アメリカには「我々の立場についてはっきりと説明している……日本の輸出規制によって触発された安全保障環境の変化の中で下さざるを得ない決定だった……基本前提となるべき日本側の輸出規制措置撤回がまだなされていない状況のため、我々の立場を堅持している」と日本のせいにする気満々です。

日本のせいにするのは彼の国の得意技ですけれども、アメリカが仲介しないと宣言している時点でそんな"リスカブス"作戦は通用しないと悟るべきなのですけれども、どっちにしろボールは韓国にあります。

日本は韓国が意味のあるアクションを取るまでは、これまで通り"丁寧に無視"で良いのではないかと思いますね。

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この記事へのコメント

  • 匿名

    日韓の機密情報共有にアメリカの国益とは?、確かに有事の即応性が重要ですが。
    日韓が直接やりとりする事に重きを置くのは何故?

    つまり近々に極東アジアでアメリカの戦力が不在・あるいは低下する可能性がある。
    中東(イスラエル・トルコ・イラン・ロシアで)戦端が開かれる可能性も高いから、
    極東有事で、中国と北朝鮮に電撃的に攻め込まれたら、日韓で即応出来るように、
    情報共有基盤は維持して欲しい。将来的にはアメリカも倒産懸念の財政状況があり、
    本国の事情で、駐留軍が動けない事態も想定されるので、極東から米軍が引き下がり、
    ハワイから、随時アジアに出てくる程に戦力を後退させる可能性がある。

    極東防衛に対して、アメリカが補助的な役割に徹する前振りとして、建前は日米韓連携
    だが、実態は、韓+日(極東防衛しない米軍)として戦力削減する前哨のようです。
    だからアメリカは GSOMIAに対して、強い圧迫をするのでしょう。
    2019年11月09日 00:55