ペンス副大統領の対中演説

今日はこの話題です。
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1.ペンス演説2019

10月24日、アメリカのペンス副大統領は、ワシントンの政策研究機関「ウィルソン・センター」で「米中関係の将来」についての演説を行いました。

その内容はこちらで翻訳されていますけれども、筆者なりに、その要旨を箇条書きにすると次のとおりになるかと思います。
・1年前の同じ月、私は北京政府の政策の多くについて、アメリカの国益と価値観に有害であることを語った。
・政治的既成勢力は、中国の経済侵略と人権侵害に沈黙しただけではなく、中国がそうできるにしてきた。
・我々は過去25年間にわたって中国を立て直したが、そうした日々は終わった。
・ アメリカは、経済的関わり合いだけで、中国共産党による独裁主義国家を、自由で開かれた社会へと変革できるとは考えていない
・北京の非倫理的な取引慣行には2500億ドルの中国製品に対して関税を課した。
・知的財産権や我が国の安全保障を守るために、我々はファーウェイやZTEなどの違法行為を抑制する強力な対策を講じた。
・北京政府に対抗し、インド太平洋地域全体にわたって我が軍のプレゼンスを強化した。
・自由を愛する人々の価値観を擁護するために、中国共産党が信教の自由を抑圧していることを非難した
・台湾の自由を守るために台湾と共にある
・香港の人々の権利を尊重した平和的な解決が行われなければならない。
・この1年、北京政府は我々の経済関係を改善するための意味ある行動を取っていないどころか、多くの課題において、より攻撃的で攪乱的になっている。
・中国の指導者が行った停戦の約束にもかかわらず、中国は我々の知的財産を盗む行為を幇助し続けている。
・中国共産党は、世界がいまだかつて目にしたことがないような監視国家を建設中だ。
・彼らは独裁主義体制下で使っている科学技術ツールを、アフリカ、ラテン・アメリカ、中東の国々へ輸出している。
・北京政府はまた、民間と軍事の技術的領域の間にある垣根を取り去った「軍民融合」と呼ぶ政策をとっている。
・彼らは南シナ海を「軍事化する意図はない」と発言したが、高度な対艦および対空ミサイルを、人工島の上に建設した軍事基地の頂上に配備した。
・中国の沿岸警備隊は、日本が管轄している尖閣諸島周辺の海域に60日以上連続して警備艇を派遣している。
・中国は世界中における港湾に「一帯一路」政策を活用している。これらの目的はいつしか軍事的なものになる。
・我々の政権は、「一つの中国政策」を尊重し続ける。しかし中国は過去1年間、札束外交を通して更に2ヶ国を勧誘し、台北政府から北京政府へと外交的承認を変更させている。
・過去数年、北京政府は香港に対する介入を強化し、そこに住む人々の権利や自由を奪う行為に従事している。
・中国共産党は、アメリカにおける国民的議論に影響をおよぼすために、アメリカ企業、映画スタジオ、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方、州、連邦政府職員たちに謝礼を渡し強要し続けている。
・今日、中国は何千億ドルもの不公平な貿易製品をアメリカに輸出しているだけでなく、検閲をも輸出しようとしている。
・NBAで最も有名な選手やオーナーたちの何人かは、中国共産党の味方をし、言論の自由を沈黙させることで、NBAは独裁主義政権の完全所有子会社のように振る舞っている。
・北京政府による経済的そして戦略的行動、そしてアメリカの世論を形成しようとする試みは、私が1年前に語ったことを証明している。中国は異なるアメリカ大統領を欲している。トランプ大統領のリーダーシップが功を奏している証だ。
・我々は中国の発展を封じ込めようとしているのではない。中国からの「デ・カップリング」を求めているのではない。
・何十年にもわたって広い世界から「デ・カップリング」をしてきたのは中国共産党だ。


2.アメリカは北京をコントロールできる

今回のペンス演説では、中国を封じ込めもしないし、対立も求めていないと対中呼びかけのニュアンスが入ったのですけれども、中国による人権・軍事・監視・窃取・移転強制などを非難した上で、2015年のローズガーデンでの約束を守っていないとし、新たに香港のデモ活動に対する明確な支持を表明しています。

全体の内容は昨年のそれと殆ど変っておらず、当時、中国に対し指摘したことが今でも当てはまるとし、中国はトランプ以外の大統領を欲している、つまり、トランプ政権の対中政策は効いていると述べています。

要は、中国は何一つ変わっていないと言っている訳です。

ペンス演説の前、21日にラリー・クドロー国家経済会議委員長は、FOXビジネステレビで「『第1段階合意』の交渉が進展すれば、12月に予定する対中関税発動を取り止める可能性がある」と述べ、ロバート・ライトハイザー米通商代表部代表も同日のホワイトハウスでの閣議で、チリの首都サンティアゴで開催される「アジア太平洋経済協力首脳会議までに第1段階を終わらせることが目標だ」と述べていました。

この前フリがあった上で、このペンス演説です。

その意味するところは、アメリカは北京を制御出来る、というアピールだと筆者は見ます。

ペンス演説で、北京は1年前の約束を守ってこなかったと宣言した上で、米中貿易に関する「第1段階合意」が出来たとしたら、中国はペンス演説を認めた上で合意したことになる訳です。つまり、アメリカにしてみれば、「北京をコントロールする第一段階合意である」とも言えるわけで、来年の大統領選挙のみならず、世界に対するアピールすることが出来るのですね。

よしんば、「第1段階合意」が流れたとしても、トランプ政権は、それを理由に制裁関税を堂々と発動できる訳です。「北京は一度合意したものを反故にした」という大義名分も付け加えて、です。

ペンス演説を、第一段階合意の文書作成直前のタイミングに持ってくることで、中国政府が進んでも退いても、アメリカが優位に立つ、損をしないように仕向けたのは流石だと思いますね。

実際、翌25日、通商代表部(USTR)のライトハイザー代表とムニューシン米財務長官が、中国の劉鶴副首相と電話協議を実施し、協議後、通商代表部(USTR)が「特定の問題について前進し、一定の分野で合意に近づいている」とし、引き続き次官級協議を進めていく方針と発表しています。しっかりプレッシャーを掛けていますね。


3.中国の厚顔無恥

今回のペンス演説に対し、中国は反発。25日、中国外務省の華春瑩報道官は記者会見で、「中国の社会制度と人権状況を意図的に歪曲した。政治的偏見と嘘に満ちている」と「強烈な憤りと断固とした反対」を表明しました。

まぁそういうしかないでしょうけれども、どれが「偏見」でどれが「嘘」なのか明確に指摘出来ない限り説得力はありません。

第一、他国からの情報を遮断し、他国の自由な取材を許さない時点で、何かを隠していると疑われても仕方ありません。今も香港のデモに対する対応には世界が目を光らせています。

また、前日24日、中国外務省の楽玉成次官は学術フォーラムで講演し、中国が世界における米国の「覇権主義的な」地位を担うとの憶測があると指摘に対し「これは事実に合致していない」とし、「中国はこれまで、アメリカに挑戦したり、アメリカに取って代わったりしたいと思ったことはない。われわれの目標は中国人民に良い生活を送ってもらうことであり、われわれの統治を絶えず改善することだ」と述べたようです。

中国政府の厚顔無恥は今に始まったことではありませんけれども、よく言えたものです。

南シナ海の人工島や、一帯一路を隠れ蓑にした港湾租借戦略など、普通にみれば覇権主義ですし、チベットやウイグルなどでの民族浄化や人権弾圧をしておいて、中国人民に良い生活を送ってもらうなど笑い話にもなりません。


4.陰りが見え始めた一帯一路

そんな中、ここにきて、中国の「一帯一路」覇権戦略に少し陰りが見えて来ています。

10月25日、南太平洋のソロモン諸島の首相府は、同国のセントラル州が中国国営の「中国森田企業集団(China Sam Group)」と交わしたツラギ島全体の賃貸契約について、州政府にツラギ島に関する契約を締結する権限はなく、違法であり「直ちに破棄せねばならない」とする声明を発表しました。

さらに、中国森田はソロモン諸島における外国投資家資格を得ていないと指摘し、ジョン・ムリア法務長官が承認していない契約は無効だとしています。

ツラギ島は面積約2平方キロメートル、人口およそ1200人の小さな島で、契約は、ツラギ島での石油精製所開設が目的となっています。けれども、ツラギ島の入り江は水深が深く軍港として理想的で、かつては旧日本海軍が拠点を置いていた要衝であり、アメリカとオーストラリアは、中国が軍事基地として兼用する恐れがあると懸念を示しています。

また、フィリピンでは、9月から10月にかけて、不法就労や入国管理法違反などの容疑で、1000人以上の中国人が警察当局によって逮捕されています。容疑は不法就労や入国管理法違反で、彼らの大半は中国マフィアの一員とされ、フィリピンで非合法組織を形成して犯罪に関与している可能性があると見られているようです。

マニラでは9月初旬に入管当局が277人の中国人を逮捕。その1週間後にはフィリピン南西部のリゾート地であるパラワン州で324人の中国人を「違法なサイバー犯罪およびその他の違法行為に関わった」容疑で逮捕しています。

段々、南太平洋の諸国にも中国のやり方が分かってきたのかもしれません。
 
米中冷戦は終結に向かうのか、これからなのか。とりあえずは来年のアメリカ大統領選挙までは米中睨み合いが続くとみてよいのではないかと思いますね。

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この記事へのコメント

  • さんさん

    ソロモン群島、ツバルへのシナの進出は米豪分断、南太平洋へのシナ海軍の進入する布石と成る物で、米国は黙認出来無いでしょうね。
    黙認する事は、米国の都市がシナの原潜の標的化する事を放置すると同じ意味を持ちます。
    此は、先の戦争で、帝国海軍が米豪分断をした時以上にアメリカを大いに刺激するものに当たります。
    結果として、シナは滅亡し原始時代に戻される可能性が出てきますね。
    其れでアメリカは江沢民派に肩入れした素振りで香港の騒動をケシ掛けて、シナ共産党の弱体化へと導こうとしてるかも知れませんね。
    此処に来てウイグル問題をヒーマン•ライツ•ウオッチナウが大々的に取り上げ出して世界中に発信しだしたのは、香港とウイグルを絡め、シナの人権問題を梃子にシナ共産党を追いつめる狙いが有る様に感じますが。
    前大統領のオバマが、シナを甘やかし過ぎたのも問題か、裏でパンダに抱きつかれ捲ってる、ヒラリー•クリントンが暗躍してた影響も強いでしょうが。
    2019年10月28日 20:11