治水は後世への遺産

今日はこの話題です。
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1.我、未だ木鶏たりえず

10月11日、安倍総理は衆院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美幹事長代行に対し「大変緊張しております。……至らない点もございますが、辻元さんに『謙虚で丁寧になった』と評価されるよう、一生懸命努力したい」と述べました。

これは、辻元議員が、安倍総理が歴代最長総理を目前にどういう心構えで臨むかとの質問への答えです。

そこで辻元議員は「謙虚で丁寧かどうか」と試すように、総理がよく口にする安倍政権と旧民主党政権の経済政策の比較をやめるよう、首相に要請し、「総理の値打ちが下がる。もう2度と言わないと約束してほしい」と述べました。

これに対し、安倍総理は「比較するのがいちばんわかりやすい」と述べ、応じない構えを示しました。安倍総理の答弁中に辻元議員は野次を飛ばしていましたけれども、安倍総理はすかさず、「自分が比較したから辻元委員も反論されたのだろう」と切り返していました。

比較する、あるいは比較できるということは、異なる部分を明確にするということですから、討論の焦点を浮かび上がらせ、議論や検証を促すことになります。比較されるのが嫌だからといって、比較させないようにするのは単に自分の主張を述べるだけになってしまう懸念があり、あまり生産的とはいえません。

「謙虚」を辞書で引くと、「自分を偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持があること」とあります。素直に学ぶためには、他人の意見を聞く態度がなければなりませんけれども、であるからこそ比較という行為も出来る訳で、比較するから謙虚じゃないというのは筋が違います。

安倍総理は答弁で自身のことを至らないことが多々あるとし、「未だ木鶏足り得ず」と述べていましたけれども、「木鶏」とは、荘子に収められている故事に由来する言葉で、木彫りの鶏のように全く動じない闘鶏における最強の状態をさす言葉です。

荘子は道を体得した人物は他者に惑わされること無く、鎮座しているだけで衆人の範となるとしています。

大相撲で69連勝という大記録を打ち立てた横綱双葉山は、連勝が69で止まった時、「我、未だ木鶏たりえず」と陽明学者・安岡正篤に打電したというエピソードがあります。

まぁ、「木鶏」という言葉は、割と引き合いに出されることがありますし、「木鶏たりえず」と言ったからとい言って、そのまま謙虚だという証明にはならないと思いますけれども、この言葉は、実力も実績もない人が使うと場を白けさせてしまうくらいには「強い言葉」です。横綱、それも大記録を打ちたてるような大横綱が使ってようやく似合う言葉だと思います。

例えば、「我、未だ木鶏たりえず」と辻元議員が言ったとしたら、筆者は、言ってるんだか、と鼻白むと思いますね。

その意味では、安倍総理はこれまでそれなりに実績を出してきたという自負心があるのだと思います。

木鶏の例えを辻元議員がどこまで知っているのは分かりませんけれども、安倍総理の「木鶏」発言に噛みつかなかったことは、あるいは無意識下で安倍総理の実績を認めているのかもしれません。




2.堤防に頼らないとは治水の放棄に他ならない

先日の台風19号の被害で多くの河川で越水、決壊が起こり、広い住宅地などが冠水しました。中には多摩川のように、堤防そのものがなかったという人災ではないかという所もあり、治水、防災の声が一段と高まるでしょう。

そんな中、日経新聞は「『もう堤防には頼れない』 国頼みの防災から転換を」という記事で、堤防をかさ上げしても水害を防げる保証はないとして、公共工事の安易な積み増しは慎むべきだという主張をしていますけれども、越水と決壊ではその被害の大きさも、期間も全く異なります。

越水は水位が堤防高を超えて、一時的に溢れるもので、水位が下がれば収まるもので、河の流れが変わるものではありません。治水の範疇です。

けれども、決壊は、上流から水が流れてくる限り決壊個所からとめどなく水が供給されますから、決壊個所を塞ぐか、決壊した水が地形に沿って、自然に河を形成するまで落ち着くことがありません。こちらは河の流れをコントロール、すなわち治水ではありません。

つまり、日経がいう「堤防に頼らない、公共事業の積み増しは止めよ」というのは治水を放棄することであり、河の流れを自然に任せてしまうことを意味します。畢竟、低地など、流れが変われば途端に河になってしまう危険のあるところには人は住めなくなります。そちら方がずっと国民生活を圧迫しますし、生産性も落ち、国力にも悪影響を及ぼすでしょう。

堤防があるからといって、それに頼って何もしないのではなく、常に危機への心構えと備えをするというのはその通りですし、そうあるべきだと思いますけれども、だからといって堤防を強化しない理由にはなりません。

今回の台風19号の被害を受け、ネットの一部ではやはりスーパー堤防が必要だという声も上がっています。

河の通り道に沿って壁をつくるのがこれまでの堤防とするば、スーパー堤防は、河の周辺の土地を丸ごと嵩上げする構造となっています。この構造だと普通の堤防でいう"壁"はなくなりますから、越水はあっても決壊は起こりません。必然的に洪水になっても、一時的なものに止まる可能性が高くなります。

スーパー堤防はその構造から、作るまで何年も何十年も掛かるものですけれども、国力のあるうちに出来る限りやっておけば、後世への遺産に成り得るものだと思いますね。

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3.政策の相対化は悪いことではない

また、今回の台風19号で利根川の氾濫がなかったことから俄然注目を集めているのが八ッ場ダムです。

八ッ場ダムは、利根川の氾濫による洪水被害を防ぐとともに、首都圏の人たちの生活用水や工業用水を確保する目的で、1952年に建設省が、群馬県長野原町と東吾妻町の町境に計画したダムです。

ところが、2009年、民主党政権は、地元住民の意見、関係市町村、共同事業者の1都5県の意見を聞くことなく、一方的に八ッ場ダムの建設中止を明言。一旦計画はストップします。

その後再検証した結果、2011年末に計画継続が決定。2016年から建設が再開され、2019年6月に完成。10月1日から試験的に水を溜める、試験湛水が始りました。

そこに今回の台風19号です。

八ッ場ダム周辺には、11日未明から13日朝までに累計347ミリの雨が降り、山間部から流れ込んだ水でダム湖の水位は約54メートルも上昇。満水まであと10メートルとほぼ満水状態となりました。台風によるダムの被害は確認されておらず、ギリギリ間に合った形です。

ツイッターなどでは「八ッ場ダムの奇跡」など賞賛が集まっています。また、八ッ場ダムがなかったら、群馬県が終わっていたという声もあり、「無駄な治水事業など無い」、「民主党政権のままだったら下流は今頃大洪水か」といった意見も出ています。
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実際のところは、利根川が氾濫しなかったのは、ダムというより、河道改修や分水が大きな役目を果たしていて、全体からみれば八ッ場ダムの貯水量はそれ程でもないようなのですけれども、ないよりはあった方がよいですし、治水はダムだけではありません。その意味では、治水をするという判断は間違ってないと思います。

10月13日、ラグビーW杯で、日本代表がスコットランドを相手に歴史的勝利を治め、史上初の決勝トーナメントへの出場を決めましたけれども、あれとて、会場の横浜スタジアムに併設されていた、新横浜公園こと鶴見川多目的遊水地が試合開催に大きな役目を果たしました。

鶴見川は、大雨の度に氾濫し、甚大な被害をもたらしてきたのですけれども、1980年、横浜市は全国に先駆けて総合治水対策計画を発表。河川対策・下水道対策・流域対策を一体として推し進め、河川の改修工事や、雨水排水施設・雨水貯留浸透施設などの設置に取り組んできました。

大雨で鶴見川が増水し、氾濫の危機が迫ると、鶴見川多目的遊水地は、鶴見川との境界に設けられた水門から川の水を取り込んで、スタジアムの地下スペースを含む公園内に流し込み、川の水位を安定させます。遊水地は、広大な土地を地下まで掘り下げることで、都市部では異例の総貯水容量390万立法メートルを誇り、建設以来、数々の豪雨に見舞われながらも鶴見川の氾濫は一度も起こしていません。

今回も、水門が開かれると同時に水位はみるみる安定し、氾濫危険水位の6.8mを超えることなく翌13日0時過ぎには平常水位に安定。流石の一言です。鶴見川多目的遊水地がなければ、世界に感動を与えた、日本VSスコットランド戦も出来なかったかもしれません。

これら治水政策にしても、単に政策として訴えるだけでなく、"民主党"はやらない判断をした、"自民党"はやる判断をしたという具合に、比較、相対化するのは確かに分かりやすく、争点にも成り得るものだと思います。

辻元議員も比較するなと議論から逃げるのではなく、与党の政策の穴なり不備なりをきちんと指摘して、実のある議論を積み重ねていくべきではないかと思いますね。


 

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