香港デモの勝利とこれから

今日はこの話題です。
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1.香港デモの勝利

燃える香港で大きな動きがありました。

9月4日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、テレビ演説で逃亡犯条例の改正案の「撤回」を正式に表明しました。香港の人達の民意が政治を動かした訳ですけれども、ここにくるまで紆余曲折がありました。

香港の民主団体「デモシスト」の幹部で、日本語で香港デモへの支持を呼びかけていたことでも知られるアグネス・チョウ(周庭)氏が8月30日、警察に拘束されました。また、同じくデモシストの幹部・黄之鋒氏も拘束。2人は2014年に発生した民主化を求めるデモ「雨傘運動」の中心人物で、黄氏は運動に絡み有罪判決を受け、2019年6月に出所したばかりでした。

現地メディアによると、黄之鋒氏は「政府が許可していない活動に参加するよう他人を煽動した」、「許可されていない週を組織した」、「許可されていない集会に参加した」の3つの疑いで拘束され、アグネス・チョウ氏は「政府が許可していない活動に参加するよう他人を煽動した」、「許可されていない集会に参加した」の2つの疑いが持たれているとしています。 

その後、NHKなどが二人が保釈されたと報じ、アグネス・チョウ氏は「私たち香港人は諦めません。これらの白色テロと不正義を恐れることはありません」と話していますけれども、諦めなかった香港の人達の執念が実りました。

けれども、これで全て終わった訳ではありません。

香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に端を発する大規模デモが6月から続いていましたけれども、デモ隊は五大要求を訴えています。

五大要求とは、逃亡犯条例改正案の撤回、抗議活動の暴動認定の取り消し、逮捕された抗議者の釈放、警察の対応を調査する独立委員会の設置、直接選挙の実現の5つ。

デモに参加したある大学生は「ラム氏が辞任しようがしまいが、関係ない。どうせ行政長官は中央政府から任命される。問題は、ラム氏が五大要求への回答を拒んでいることだ。彼女は無責任なリーダーだ」と述べていますけれども、"どうせ行政長官は中央政府から任命される"という口ぶりに中国共産党政府への不信感が滲み出ています。




2.マリオネット・ラム

林鄭行政長官は、続くデモにまいっていたようで、辞められるものなら辞めたいとこぼしていました。

林鄭行政長官は、「あらゆる職業の人々」と数多くの非公開会合を行っているのですけれども、先週行った実業家グループとの非公開会合で、中国政府は10月1日に予定されている国慶節イベントの前に香港危機を終わらせる期限を設けていないとし、人民解放軍を香港の街頭に展開させる計画は「絶対にない」と述べています。

ただ、「言い訳のできない大混乱」を引き起こしたとし、「残念ながら憲法で2つの主人、つまり中央人民政府と香港市民に仕えなくてはならない行政長官として、政治的な余地は非常に、非常に、非常に限られている……もしも自身に選択肢があるなら……まずは辞任し、深く謝罪することだ」と述べたとロイターが報じています。

香港に隣接する広東省深?に、中国軍指揮下の暴動鎮圧部隊である武装警察の車両数百台を展開させておいて、軍を香港の街頭に展開させる計画は「絶対にない」とは、武装警察だから軍ではないとでも言い張るつもりでしょうか。

もっとも、実業家グループとの会合ですから、治安の不安を示唆して、資本逃避されては困りますから、そう言わざるを得なかったのかもしれません。

9月3日、林鄭行政長官はのロイター報道に対し、テレビ放送された記者会見で、「辞任の申し出を検討したことなどない。辞任するかしないかは私自身の選択だ……過去3カ月間、香港を助けるために私と私のチームがとどまるべきだと自分自身に言い聞かせてきた。この理由から、より簡単な道である辞任という選択肢を自分に与えていない……私がチームを率いて香港がこのジレンマから抜け出すのを手助けすることができると考えている……それが可能だという自信は今でもある……政府が状況に対処できる能力があると中央政府は引き続きみている」と報道を否定。更に私的会合での発言内容がメディアに漏れたことは非常に遺憾だと付け加えました。

ロイターは件の非公開会合に参加した3人の関係者がこれら林鄭行政長官は発言内容を確認。その発言は約30分にわたり、ロイターが入手した録音は24分間としていますから、公開されるようなことがあると、本当かどうかは直ぐに分かります。ただ、非公開会合の録音ですから、表に出るかどうかは難しいかもしれません。

また、香港政府が状況に対処できる能力があると中央政府が考えているというのが本当であれば、今後も、中国本土は介入せず、香港政府に任せるということになります。けれども、あの中国共産党政府のことですからね。眉唾に思えてなりません。

林鄭行政長官が中国政府の操り人形なのかどうかは、彼女の行動から伺えます。

複数の関係筋によると、林鄭行政長官は、今年夏、中国政府のハイレベル機関「中央香港マカオ工作協調小組」に抗議デモの参加者が掲げる「5大要求」について検討した報告書を中国政府に提出し、「逃亡犯条例」改正案を撤回すれば抗議デモの鎮静化につながる可能性があるとの見解を示しています。

「中央香港マカオ工作協調小組」とは、いかにも工作してますよと言わんばかりの名称ですけれども、この機関のトップは共産党中央政治局常務委員会の韓正氏が務めていて、習近平国家主席も報告書の存在を知っているそうです。

香港政府高官が匿名を条件に明らかにしたところによると、改正案の撤回と独立委員会の設置は政治的に最も実現可能で、一部の穏健なデモ参加者の不満を和らげるのに寄与するとみられていたのですけれども、中国政府は改正案の撤回に関する林鄭長官の提案を拒否。5大要求の他の項目についても、要求に応じるべきではないとの見解を示したそうです。

中国政府が抗議デモへの対応で香港政府に指示を出している実態が明らかになった以上、林鄭行政長官の「軍を香港の街頭に展開させる計画は絶対にない」発言もやはり眉唾ものになりますし、今回の条例撤回にしても、中国政府からの指示が下りただけなのかもしれません。




3.晒される便衣兵と香港のこれから

香港当局も、条例撤回表明の直前まではデモ隊を鎮圧しようとしていたのです。

デモ活動でも中国政府あるいは香港警察が、デモ隊を装って破壊活動などの過激な行動を行い、武力鎮圧の口実を得ようとする、いわゆる「便意兵」が混じっているのではないかとの指摘がありました。

なんでも、それら"便衣"過激デモ隊参加者はなぜか銃を腰にぶら下げていたり機動隊の手袋をしていたりカメラのレンズキャップをしたまま撮影してみたり、所々、詰めの甘さがあり、それで便衣兵ではないかと疑われていました。

そして、香港警察は記者会見で、反送中の運動期間中、警察が様々な身分で「運動」に潜り込んでいたと「白状」しています。確かにネットでは、香港警察が白Tシャツに着替えている映像が撮られたりしていましたからね。嘘はつき通せないと観念したのかもしれません。

中国政府が、ウイグルとかで、町中至る所に監視カメラを配置し、その言動をチェックしていますけれども、いざ自分達が便衣兵をやると、逆に香港中の市民からカメラ撮影され晒されたのは皮肉なものです。

今回のデモを通じて、デモ側、香港当局側と互いのネガキャン含めての広報合戦になっていた感がありますけれども、逆にいえば、それだけ世界の目を気にしているというか味方につけたいという思惑があったのでしょう。

ただ、デモ側にしても、「5大要求」の一つが通っただけで残りの4つについては不明です。とりわけ、直接選挙の導入については、中国政府としては絶対に飲めない要求でしょう。

とりあえず、今回は撤回して、一度デモを静め、ほとぼりが醒めてからまた似たような法案を出してくるのかもしれません。もっと卑劣なのは、表で撤回と宣言した裏で、デモ主催者に何癖をつけて次々と逮捕・監禁して口封じしてくるかもしれません。アグネス・チョウ氏や黄之鋒氏を一度逮捕していますから、追加の取り調べだなんだといえばいくらでもやれますからね。

今日のところは、香港の民意が部分的に勝利した形ですけれども、決して油断出来ません。日本政府もこのタイミングで香港の民意と林鄭行政長官の”勇気ある決断”を支持する声明を出してもよいのではないかと思いますし、アグネス・チョウ氏や黄之鋒氏などデモの主催者を日本に招くなりして、講演させ彼らに世界からの監視の目が届くようにした方がよいのではないかと思いますね。


 

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この記事へのコメント

  • ス内パー

    >正式な撤回ではなく、撤回の提案を立法会に送るだけです。
    >立法会での審議内で「変更」及び「撤回命令の撤回」も可能です。
    >だからメディアの皆さん、騙されないようにしてください。
    >香港政府の宣言はあくまで、全面撤回を立法会に提案、
    >逃亡犯条例の全面撤回命令では無いです。
    >いつでも復唱な可能性あり
    https://twitter.com/Kisaragimukuro/status/1169199177005330433

    以上引用。最近の中国韓国関係はどこの新聞でも捏造報道や発言の否定が出てきて
    そっちが正しいこと多いので日比野さんみたいな毎日時事書いてる人からすると
    いらだたしいこと多いですよねぇ……
    デモ二週目くらいに発表された延期表明といいあざといですが
    きちんと香港議会の会期が終了するまでは廃棄声明が嘘の可能性が普通に高いということで持久戦の様相を得ています。

    そういや呪術廻戦という漫画で偽のゴール複数用意しつつ波状攻撃で精神削りつつ隙を探す戦術取った伏黒(父)というキャラがいましたがこうして偽の廃棄声明というゴールを複数回発表してデモ隊を散らそうという中共の戦術にある意味そっくりだなぁと。
    2019年09月05日 08:57
  • 日比野

    ス内パーさん、こんばんは。

    >最近の中国韓国関係はどこの新聞でも捏造報道や発言の否定が出てきて……

    そうなんです。
    フッ化水素は、韓国産、中国産を使うなどそう簡単にいかないことを知ってますから、まだブレーキを掛けられるのですけど、それ以外となると……

    しばらくは、フォロー&訂正があるかと思いますけど、よろしくお願いいたします。
    2019年09月06日 00:11