北朝鮮安定化作戦と米韓合同演習を好まないトランプ

 
今日はこの話題です。

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1.北朝鮮安定化作戦

8月10日、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射しました。

このところ北朝鮮は立て続けにミサイルを発射していて、先月25日と31日、今月2日、6日にも短距離弾道ミサイルなどを発射しています。僅か2週間かそこらで5回の発射です。

北朝鮮としては、どこからでも攻撃できる能力を誇示することで、米韓を牽制する狙いがあるとみられていますけれども、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は北朝鮮外務省の声明として、5日から始まった米韓合同演習が外交上の合意に違反していると非難。韓国とアメリカが敵対的軍事行動を継続すれば、これまで示唆したように、新たな道を模索せざるを得ないかもしれないと発表しています。

また11日には、北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国担当局長が「南朝鮮当局が軍事演習の名称を変えたからといって今回の峠を無事に越えることができると考えているのなら見当違いだ……今後、対話に向けた良い気流ができ、われわれが対話に臨むとしても、こうした対話は徹底的に朝米間で開かれるものであり、北南対話ではないことを正確に知っておいた方がよい」と、米韓合同軍事演習を中止するか、韓国が演習について誠意ある釈明を行うまでは南北間の接触自体が難しいと考えるべきだとの談話を朝鮮中央通信が報じています。

要するにそれだけ米韓合同演習を嫌がっているということです。

ただ米韓合同演習は毎年行っているものです。それを今年は2週間で5回もミサイルを発射した。

その理由として、今年から米韓合同演習の内容が一部変っていることも関係しているかもしれません。

戦時作戦統制権の韓国軍への返還が決まったことをうけ、今年から韓国軍主導の連合作戦遂行能力(IOC)を検証するため、北朝鮮地域の「安定化作戦」を試行することになっています。

これは、対北朝鮮戦争勃発からおよそ90日後に北朝鮮軍主力が無力化される、という想定の下で行う演習のことで、戦闘が終わり混乱に陥っている地域を中心に大量破壊兵器除去、残党狩り、反乱軍制圧、デモ・騒乱鎮圧作戦などを展開するとされています。

この「安定化作戦」の演習は、17日から20日まで米韓合同演習の第2部として行われているとされています。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長によると、「一般的なウォーゲームの安定化作戦には、住民とゲリラを分離して地域を安定させ、住民を対象に心理戦を行う過程が全て含まれる。軍だけでなく関係機関も演習で協調することになる」と述べています。

今回の演習は指揮所演習(CPX)方式で、兵力や装備を実際に動かすことはなく、コンピューターシミュレーションで行うものなのですけれども、韓国軍の統制権遂行能力を評価する始めての演習だということで、文在寅政権は非常に重視しているようです。

それを受け、演習は、統制権移管後の連合軍司令部体制を想定し、崔秉赫・米韓連合司令部副司令官が司令官役を、ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官が副司令官役を務めるといわれています。

韓国軍内外からは「北朝鮮は連合演習をやるだけでも強く反発するのに、北朝鮮修復後を想定した演習までやらないといけないという困った状況」という声も上がっているそうですけれども、北朝鮮からみれば、北朝鮮軍が壊滅した後の演習を目の前でされることは、自国への侵略準備だと見えたとしても仕方ないでしょうね。


2.米韓合同演習を好んではいないと公言したトランプ

8月10日、アメリカのトランプ大統領は「金正恩委員長は、米韓連合訓練を気に入っていません。我々がやっているのは小規模な訓練です。しかし、金委員長はそれが好きではなく、その内容が手紙に書いてある」とツイートし、北朝鮮の金正恩委員長から書簡を受けとっていたことを明らかにしました。

トランプ大統領は金委員長からの書簡について「短距離ミサイルについても若干のお詫びと、軍事演習が終了すれば発射をやめることが記されていた……金委員長は書簡の中で、軍事演習が終了すれば、交渉を開始したいと、とても丁重に述べていた。私は遠くない将来に金委員長と会えるのを楽しみにしている」と述べ、米朝対話が再開されることに期待を示しました。

また、トランプ大統領は、「私も米韓連合訓練を決して好きではない。なぜなら、訓練のためにお金を出すのが嫌だからだ。我々は訓練費用を返してもらわなければならず、韓国にもそのように言った」と述べています。こういうやり取りがトランプ大統領と金正恩委員長の間で出来ているのなら、韓国の役割は以前よりもかなり低下しているのではないかと思いますね。

それにしても、金正恩委員長が短距離ミサイル発射を詫びていたとは、道理でアメリカと日本がミサイル発射についてスルーしている訳です。

この状況下で、韓国の立場は益々無くなってきています。

8月5日、文在寅大統領は、政権幹部を集めた会合で、「北朝鮮との経済協力で平和経済を実現し日本に追いつく」と南北経済協力構想をぶち上げました。

けれども、それに対する北朝鮮の答えは6日のミサイル発射です。要するに文在寅大統領など相手にしていないということです。せいぜい、米韓合同軍事演習を止めろと命じるくらいでしょう。増してやトランプ大統領から、自分も米韓合同軍事演習は嫌だと言われているのなら猶更です。

他方、アメリカからは、在韓米軍の経費負担増額とGSOMIA延長を求められ、本当に身動きが取れなくなってきています。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「米韓関係は大きく揺らいでいる。トランプ氏は今回、文氏に『踏み絵』を踏ませた。文政権は負担増額を受け入れられず、将来には、『在韓米軍削減・撤退』から『米韓同盟解消』の方向にいくことを前提とした動きだ」と指摘しています。

トランプ大統領が米韓合同軍事演習に金を使うのが嫌だとし、韓国に金を払えと言ったと公言していることと考えあわせると、やはり、在韓米軍撤退および米韓同盟解消を北朝鮮の非核化の取引に使おうとしているように思えてなりません。

そうだとすると、韓国がGSOMIAの延長を渋り、米韓同盟を破棄させるように動くのは、そのシナリオに乗ってしまっていることになります。

ただ、北朝鮮の非核化が行われないうちに、米韓同盟を破棄するのは、カードの只捨てになりますから、アメリカは許容しないでしょう。

けれども、もはやアメリカにとって、韓国にそれ以上の価値が見出しにくくなっているとするならば、後はカードを切るタイミングだけの問題になります。

果たしてそれが文政権の内に行われるのか、それともその後の話になるのか。もしかしたら、今年あるいは来年には半島に激震が走るかもしれませんね。
 

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