今日はこの話題です。 ![]() ![]() 1月22日、安倍総理はロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリンで会談しました。 両首脳は1956年の日ソ共同宣言に基づいた平和条約締結交渉をめぐり、2月に予定される日露外相会談などで交渉を前進させることを確認しました。 安倍総理とプーチン大統領は会談は通算25回目。会談には河野外相とラブロフ外相も同席し、3時間にも及びました。 今月14日の日ロ外相会談では北方領土をめぐる双方の歴史認識の溝の大きさが問題となりましたけれども、安倍総理はプーチン大統領との信頼関係を元に、日露両国民が受け入れ可能な一致点を見いだすことで、6月のG20首脳会議までの大枠合意に繋ぎたい考えだと報じられています。 会談後、両首脳は共同記者発表に臨み、安倍総理は北方領土問題を含む平和条約締結交渉について「じっくりと時間をかけ胸襟を開いて話し合った……解決は容易ではないが、やり遂げなければならない。両国民が相互に受け入れ可能な解決のためリーダーシップを発揮する決意を確認した」と述べ、プーチン大統領も「会談は非常に建設的だった……」と述べ、平和条約については「締結を目指す」と明言。更に領土問題などについても「解決は可能だ」と強調しました。 日ソ共同宣言については、昨年11月のエントリー「日露平和条約は結ばれるか」でも取り上げていますけれども、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記されていますし、当時の会談で既に「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」として合意しています。 日ロ首脳会談の直前、政府は北方領土問題に関し、北方四島のうち色丹島と歯舞群島の引き渡しをロシアとの間で確約できれば、日ロ平和条約を締結する方向で検討に入ったと報じられていましたけれども、要は昨年11月の段階でそのラインで線が引かれていたということです。 筆者は2016年のエントリー「プーチンの日ソ共同宣言」と「馬関条約結びたる 春帆楼の跡とひて 昔しのぶもおもしろや」で、北方領土問題は、二島返還プラス国後、択捉は居住権付での主権のみ確認、辺りを落としどころに考えているのではないかと述べたことありますけれども、やはり凡そはこのあたりに落ち着きそうな雰囲気ですね。 ただ、条約締結に向けた関係強化の一環として、今後数年で両国の貿易額を少なくとも現在の1.5倍に相当する300億ドルに引き上げることで一致したということですから、北方領土返還をちらつかせられながら、貿易拡大を承諾させられたように見えなくもありません。若干、プーチン大統領にしてやられた感は否めません。 会談では、双方の法的立場を害さない形での北方四島での共同経済活動や、元島民の空路墓参など人道措置について具体化を急ぐことで一致。エネルギーや医療など8項目の対露経済協力プランや防衛当局間の連携強化も確認したとのことですけれども、対露経済協力プランとは、2016年5月、ソチで開催された日露首脳会談で、安倍総理からプーチン大統領に提示したプランで、以降、日露でプロジェクトが進められています。 これについて安倍総理は、インターファクス通信の書面インタビューに次のように答えています。 【問】安倍総理は、安倍総理が提案した日露関係のさらなる発展に係る8項目の「協力プラン」の実現状況に満足しているか。2019年には、どのような分野で新しいプロジェクトが実現し得るか。この質問の前に、インターファクス通信は「日露間の平和条約交渉は重要な局面に入ってきているとの発言だが、2019年には日本にとってどのような成果を期待しているか」と質問しているのですけれども、安倍総理は、8項目の協力プランが進んでいると前置きをした上で、領土問題を解決して平和条約を締結したいと答えています。 平和条約について問われたにも拘わらず、8項目の協力プランに先に言及したということは、平和条約には経済協力が不可欠だという認識があるということです。 日露平和条約の締結にあたって、更なる経済協力の締結が為されるかもしれませんけれども、「世界の命運を分けるロシアと台湾」のエントリーで触れたように、対中牽制を考えたとき、日露平和条約の重要性はいうまでもありません。 なんとか安倍総理在任中に日露平和条約の締結に漕ぎつけていただきたいですね。 |
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>なんとか安倍総理在任中に日露平和条約の締結に漕ぎつけていただきたいですね |
アラジン 2019/01/25 15:08 |
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