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<<   作成日時 : 2016/01/29 10:00   >>

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昨日の続きです。

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 1月22日、フィンランドの入国管理当局は昨年難民認定に関する決定を受けたイラク人の多くが帰国したと発表しました。入国管理当局によると、去年3万2500人が難民申請を行いました。これは一昨年の10倍の人数なのですけれども、このうち約2万500人がイラク人でした。

 現在、申請の中で約3700人のイラク人に対して難民認定の可否の決定が決まったのですけれども、実に7割にも及ぶ2600人が決定の取り消しを求めたり、行方不明になったりし、多くが帰国したそうです。

 管理局は「祖国での家族の問題が理由だが、フィンランド人の敵意に満ちた雰囲気や、寒い冬に耐えかねた人もいた」と説明しています。人口約540万人のフィンランドに3万人の難民ですから、割合でいえば1%に満たない数にしか過ぎないのですけれども、それでも「敵意に満ちた雰囲気」に耐えられないと言っているのですね。まぁ、北欧の冬の寒さに耐えられなかった云々はさて置くにしても、難民受け入れは簡単な問題ではないことが窺えます。

 同じ様なことはドイツでも起こっています。

 どうやら、「ドイツは天国だ」と聞かされている難民も多くいるらしく、それで飛びついている難民もいるようです。例えば、あるシリア難民は、ドイツでは月に約500ユーロ(約6万円)を給付されると聞いて、喜んでドイツにいったまではいいが、ドイツの物価がシリアよりはるかに高いことを知らなかったとか、小さな住む家を貰えるかと思って行ったら、緊急シェルターの簡易ベッドでの暮らしだったというようなケースに直面し、続々と帰国を始める難民が出ているそうです。

 メルケル首相は、元々難民受けいれには積極的ではありませんでした。2010年、2004年と2回に渡り、「多文化主義は完全に失敗した」と発言しています。

 ドイツは戦後からずっと移民や難民を受け入れてきた歴史があります。1950年代後半から1970年代にかけて実に200万人以上の移民を受け入れ、1995年のユーゴ内戦では国外に逃れた難民約74万人のうち半数を受け入れています。

 ところが定住した移民が、ドイツ語が話せないなど社会に溶け込めず、外国人の失業率は2009年には12.4%とドイツ人の2倍、中途退学率も13.3%とこれもドイツ人の2倍となるなど社会問題を引き起こしました。

 メルケル首相の多文化主義は失敗した発言はこうした背景の下に行われた訳です。尤も、メルケル首相は、だからこそ「移民が社会に溶け込み、社会が彼らを受け入れる状況を生み出すために、ドイツはもっと努力しなければいけない」と発言しています。

 そんなメルケル首相はなぜ、難民受け入れを選択したのかというと、世論の影響が少なからずあったことは否定できません。

 去年の9月、トルコの観光地ボドルム近郊の砂浜にうつぶせで横たわっている写真が欧州各紙の一面を飾りました。

 この写真が報道されるや、難民を救えという世論が沸き起こり、欧州各国が難民受け入れに動く大きな切っ掛けになったと言われています。

 けれども、その更に2ヶ月前に、ドイツで似たような世論が沸き起こっていたのですね。

 昨年7月、メルケル首相と市民との対話集会があったのですけれども、そこでパレスチナ出身の難民少女が「将来大学で勉強したいが、滞在許可が下りず、国外退去されるのではないかと不安を感じながら生きている」と訴えました。

 その時メルケル首相は、「あなたの事情は良く分かる」とした上で、難民の全てを受け入れる訳にはいかない、と正論を述べたのですね。それを聞いた少女は泣きだしたそうなのですけれども、このやりとりがネットに拡散し「メルケル首相は冷酷だ」と国民から非難が集中したのだそうです。

 それがあって、9月の難民を救えの世論の大合唱ですから、その熱狂に正論が掻き消されてしまった可能性はあると思いますね。

 まぁ、最初は「難民を救え」と盛り上がった世論ですけれども、実際に受け入れてみたら「こんな筈じゃなかった」と手の平を返す。これが民衆だといってしまえばそれまでですけれども、そのツケを払うのは、結局は民衆です。

 この問題が最終的にどういう決着になるのか分かりませんけれども、やはり相当尾を引く問題であるのは間違いなさそうです。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
「難民」じゃなくて「移民」ですよね。一時的に避難先の外国に滞在するでなくて、移住しに来るのですから。
彼等のことは単に移民と呼ぶべきでしょう。
先ごろデンマークで可決された「難民認定申請者から当局が現金や貴重品を没収して経費に充てることを認める法案」の目的は、財源確保より記事中にあるような「移民」希望者達に「デンマークはもはや天国じゃない。行ったら有り金むしられる」と思わせることにあるのでしょうね。
sdi
2016/01/29 01:02
今ままで言っていたことがメルケルの本音だろう.
元東ドイツ出身であることもあり, どう見ても
ガチガチのリベラル・グローバリスト・理想主義者である.

欧州の政治は基本的に指導層の思想を国民に強いる面が強い.
これは別に不思議でも何でもないのであり,
第二次大戦の前, 「わが国には民主主義はまだ早い」
と首相が述べていた国があるし,
フーバー(元)米大統領も民主主義が弱いと書いている.
民主主義の発祥がギリシャだから
ヨーロッパの政治は民主主義だというのは大きな間違い.
世界的に見ても, 第二次大戦前の日本の民主主義は
世界でも相当に進んだレベルにあった.

現在でもイギリスを除くヨーロッパに立派な民主主義がある
とは思えない. 大体にして, 言論の自由もかなり制限されている.
この不自由さの中でつい最近まで階級社会であったのだから,
指導者の意見がすなわち国民の公称の意見であった訳である.

言論の自由の面でも今の日本は相当に進んでいる.
これが日本を安倍首相が目論む様な移民国家にしない
ための最後の切札である.
ちび・むぎ・みみ・はな
2016/01/29 19:03
> これが日本を安倍首相が目論む様な移民国家にしない
> ための最後の切札である.

日本の政治システムは基本的に首相の独裁体制になっており,
巧妙に選挙と組み合わされると, 首相の憲法観に沿った
改憲に自民党議員も官僚も反対できない状況にある.

ところで安倍首相の憲法観て? 誰か聞いたことあるだろうか?

ワタシハシラナイ.
ちび・むぎ・みみ・はな
2016/01/29 19:12
人道主義や博愛主義などという基督教由来の抽象的な考えよりも日本の「郷に入りては郷に従え」と「一度故郷を出たからには異郷の地に骨を埋める覚悟で生きよ」という具体的な考え方の方が移民(難民)にとっても受け入れる側にとってもより良い結果を生むように思いますね。
大体ですよ、自分の家に他人を招き入れた或いは他人が押しかけてきて彼らが無礼で我儘だったら叩き出されるのは道理でしょう。
おじさん
2016/01/30 12:11

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