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<<   作成日時 : 2012/07/11 10:00   >>

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7月9日、オーストラリアの次世代潜水艦購入計画に日本がパートナーとなると、オーストラリアの『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙が伝えた。

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これは、オーストラリアの『2009年国防白書』には、現役のコリンズ級潜水艦の代わりとして、2025年に12隻の新型潜水艦を購入する計画が述べられているのだけれど、コリンズ級潜水艦は全長77.8m、全幅7.8m、水中排水量3353tにもなる通常動力では大型の潜水艦。

その後継となると、やはりそれなりのサイズが求められる。計画では、水中排水量4000トンクラスの通常動力の大型潜水艦で、オーストラリアで建造したいようだ。

だけど、実際問題、通常動力で大型の潜水艦となると、そんなにたくさんあるわけじゃない。たとえば排水量2000t以上のものはといえば、コリンズ級以外では、ざっと次のとおり。(何れも最大タイプ)
ロシア・キロ級:水中排水量:3950t、全長:74.0m、速力:25ノット(潜航時)、航続距離:350海里(潜航時)
ロシア・ラダ級:水中排水量:2600t、全長:68m、速力:22ノット(潜航時)、航続距離:500海里(潜航時)
英・アプホルダー級:水中排水量:2400t、全長:70.3m、速力:20ノット(潜航時)、航続距離:−(潜航時)
スペイン・S-80型:水中排水量:2426t、全長:71m、速力:19ノット(潜航時)、航続距離:4320海里(潜航時)
日本・そうりゅう型:水中排水量:4200t、全長:84m、速力:20ノット(潜航時)、航続距離:3294海里(潜航時)
これらの中で全長でコリンズ級を上回るのは日本のそうりゅう型だけ。オーストラリアは、サイズと能力から、日本のそうりゅう型に狙いを定めているようだ。

そうりゅう型は、川崎12V25/25SBディーゼルエンジンと川崎/コックムス4V-275R MkIIIスターリングエンジン4基の動力を持ち、X舵を採用している。



スターリングエンジンとは、1816年、スコットランドのロバート・スターリング牧師が発明したエンジンで、ガソリンエンジンのように、ガソリンを爆発させてピストンを動かすのではなく、気体の熱膨張および収縮を利用してピストンを動かす仕組み。

温度差さえあれば動き、排ガスもなく、静かという利点がある反面。気体の膨張と圧縮が動力になっているために、大きな出力を得ようとすれば、大量の気体が必要になって、エンジンが大型になってしまうという欠点がある。

このスターリングエンジンは、発明当初は結構作られたのだけれど、そのうち、より効率の良いガソリンエンジンに取って代わられてしまった。

ところが、ガソリンなどのように爆発させる必要がないために静粛性に優れているという特徴は、潜水艦の動力としてはうってつけ。ただ、それを潜水艦に入るサイズに収めるために、エンジン内の気体にヘリウムガスを高圧で詰め込むなどの工夫をしているのだけれど、高圧ヘリウムを詰め込んだ状態で、隙間からのヘリウムガス漏れを防ぎながら、ピストン運動をさせるのは中々難しい技術になのだそうだ。

また、X舵というのは、方向舵と水平舵を組み合わせた所謂「十字舵」を更に、45度傾けたものを指す。通常の十字舵を持った潜水艦が水中で動くときには、左右に動きたいときには、縦に2枚並んだ方向舵を動かし、上下に動きたいときには、横に2枚並んだ水平舵を動かす。(斜めに動くときは、それぞれの組み合わせ)

ところが、十字舵は、基本的に縦の2枚(方向舵)と横の2枚(水平舵)は同時に同じ方向に動くのが基本だから、例えば、横の2枚を動かす動力シリンダが故障か事故な何かで動かなくなると、上下の2枚が同時に駄目になってしまう。非常に脆い構造になっている。

X舵は、舵が斜めになっているから、左右又は上下に動きたいときには4枚同時かつ別々に動かす必要があるのだけれど、4つの舵を個別に制御するために、それぞれの羽に一本の動力シリンダが繋がっているので、仮にどれか一本が壊れても、残りの3本でもなんとか操舵ができる。つまり事故に強い構造となっている。

これまでは、日本の潜水艦を輸出するのは、武器輸出三原則に抵触するため、出来なかったのだけれど、去年その制約が緩和されたため、こうして他国が購入に手を挙げられるようになった。

日本の国防を考えると、こうした輸出などを通じて、開発技術の保持・発展に今後も努めるべきだと思う。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
オーストラリア経由で第三国に「輸出できる」もしくは「輸出されてしまう」ケースが発生するかもしれませんね。前者はともかく後者はそのまま機密漏洩につながりかねません。
実のところ、英・仏・豪と欧州諸国の日本接近について技術面と国際政治面の両側面から欧州の動向を考えてみると面白いかもしれません。ただ、これがこれからも継続するか徒花で終わるか、にもよりますけどね。
sdi
2012/07/11 01:15
>後者はそのまま機密漏洩につながりかねません。
これは当然、対策が必要でしょうね。
日比野
2012/07/11 01:53

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