「弱かったのは、個人ではなく、支える力でした。」 1.GKB47と抗議声明 2月6日、野田首相は参院予算委員会で、3月の自殺対策強化月間のキャッチフレーズである「GKB47」について、「見た瞬間、違和感を感じた」と見直す考えを示したことを受け、7日になって、「GKB47」を撤回し、「あなたもゲートキーパー宣言!」にすると発表した。 政府の説明によると、GKB47は、「ゲートキーパー・ベーシック」の頭文字と47都道府県を足したものだそうだけれど、誰が見たってAKB48のもじりだと分かる。この安易なネーミングに対して、自殺対策推進委員の一部から「自殺の標語としては違和感がある」と、疑問の声が上がり、ネットでも批判の声が多数あったのだけれど、発表当日の2月6日付で、自殺対策に取り組む全国72の民間団体が、抗議声明を提出している。 抗議声明の主な内容は次のとおり。 1)「GKB47」は、キャッチフレーズの役割を果たしていない とまぁ、掛け声だけの政府の姿勢に対して痛烈に批判している。いや、掛け声であるキャッチフレーズも意味を成さないと言っているのだから、それ以前の話。 そもそも、抗議声明を出した民間団体は、「ゲートキーパー・ベーシック」の意味が分からないという。政府の説明では、ゲートキーパーとは、「悩んでいる人に気づいて声をかけ、必要な支援につなげる存在」ということらしいのだけれど、どうやら、一般的な言葉ではないようだ。 2.宣言しただけではゲートキーパーに成れない ゲートキーパーの概念は、1970年代にアメリカのT.J.アレンによって提唱された。アレンは、元々、ボーイング社のリサーチ・エンジニアだったのだけれど、マネジメントに興味をもって、MITのマネジメント・スクールに留学したのち、経営学者になった。 アレンは、コミュニケーションが研究開発のパフォーマンスを向上させるという予測を立て、組織における内外のコミュニケーションの実態調査を行なったのだけれど、時間当たりのコミュニケーション回数とパフォーマンスとの間には有意な関係は見られなかった。アレンは、外部とのコミュニケーションがパフォーマンスに結びつかないのは、各研究所や組織にある、"組織固有の考え方"や"文化及び用語"などがあって、それが、意思疎通における雑音(セマンティック・ノイズ:semantic noise)となって、解釈ミスが起き、結果として、コミュニケーションを阻害しているのではないかと考えた。 そこで、アレンは更に詳細に、研究所における技術者集団のコミュニケーション・ネットワークを調べたところ、集団のなかに、集団内の誰とでも何らかの形で接触している「スター」的な人間がいて、そのスターの外部情報との接触頻度は、他の同僚とは明らかに異なっていることがわかった。アレンは、このスターを「ゲートキーパー」と名付けた。 アレンは、一般の技術者とを比較して、ゲートキーパーの特徴として次の3点をあげている。 1)ゲートキーパーは高度の技術達成者である。 アレンの調査によると、ゲートキーパーは、一般の技術者と比べて、高度の技術専門誌を含めた読書量が圧倒的に多いのだという。したがって、その豊富な知識が外部とのコミュニケーション時に起こる"セマンティック・ノイズ"を低減するのに役立っているのではないかと思われる。 このように、経営学的観点から言えば、ゲートキーパーとは、「組織や企業の境界を越えて、その内部と外部を情報面からつなぎ合わせる人」のことを指すのだけれど、ゲートキーパーになる為には、相当の専門知識を有し、外部とのコミュニケーションにおける"セマンティック・ノイズ"を低減しつつ、正しい理解と意思疎通が出来るだけの豊富な知識が要求される。誰にでも直ぐなれるというものじゃない。 さて、この経営学でいう、ゲートキーパーの概念を自殺対策に当てはめるとするならば、自殺対策に従事するゲートキーパーは、自殺念慮者の固有の考え方や、これまで生きてきて身に付けてきた、生活習慣や文化、及び、彼の発する言葉が真に意味するもの(用語)を正しく理解して、それを外部に誤差なく翻訳・伝達するスキルが必要になる。時には、自殺念慮者の言葉にならない心の声までもを読み取って言語化する必要すらあるかもしれない。 そこまで出来て、尚且つ、自殺念慮者に対して、その悩みを解決するための支援に繋げて自殺を食い止めるところまでいかないと、政府の言うところの"ゲートキーパー"とやらにはなれないことになる。こんなことは、心理カウンセラーとか、精神科医とか、或いは、悟りを開いたどこかの和尚さんがやるようなことであって、ちょっとそこらの人がホイホイとできるとは思えない。ハードルが高すぎる。 要するに、政府としては、自殺しようかと思い悩んでいる人に、皆で声を掛けることで、自殺を食い止めようという意図があるのだろうけれど、声を掛けたくらいで自殺が収まるのなら、誰も苦労しない。やはり、その人特有の悩みや苦しみに対して、正しい答えを出せないと意味はない。 政府は、「AKB48」を撤回して、「あなたもゲートキーパー宣言!」に変更しているけれど、それほどハードルが高いゲートキーパーに、宣言しただけでなれると思っているとしたら、ちょっと考えが甘すぎる。それよりは、悩んでいる人を見つけたら、何処何処に相談するといいよ、という具合に、専門のカウンセラーを簡単に紹介できる体制を整えたほうがいい。 その意味では、抗議した民間団体が指摘する、「相談支援の受皿がないことを知りつつ、「気づいて」「相談しよう」はあまりにも無責任」というのはそのとおり。 だから、「GKB47」だか、「ゲートキーパー宣言」だか知らないけれど、標語を出したり、引っ込めたりしてどうこういうような問題ではないと思われる。 それでも、ただ、政府が撤回することで、自殺が減る可能性がある言葉が一つだけある。 それは、「消費税増税を撤回する」こと。 自殺やなんだといっても、ただ、本人が心に悩みを抱えて自殺するだけとは限らない。経済不況で会社が倒産して、社長が首をくくったなんて話はよく聞く。自殺する人がよくいう「生きるのがつらくなった」という中には、少なからず経済的苦境が原因になっているものもあるはず。それが政府の無策によるものであったなら何をか況や。経済的苦境が死に追いやっている部分があることも忘れてはいけない。 冒頭でも触れたけれど、NPO法人・自殺対策センター・ライフリンクは自身の資料の中で、「亡くなる人たちは、決して特別な人たちではありません。過労や失業、いじめや介護疲れといった社会的な要因が、生活やこころの問題へと連鎖して、自殺へと追いつめるのです。」と述べている。 だから、政府が本当に自殺を無くしたいと思うのであれば、抗議した民間団体が指摘する、受け皿づくりは勿論のこと、デフレを脱却して、経済を活性化させることが大事。不況下の増税をやって、自殺者を増やすことなどしてはいけない。 自殺対策強化月間(3月)のキャッチフレーズ「あなたもGKB47宣言!」を政府が批判を受けて撤回した。人気アイドルグループ「AKB48」をもじった形で、「ふざけすぎ」といった反発が出ていた。 「GKB」はゴキブリの略として使われることもある。インターネット上だけでなく、参院予算委員会でも問題視され、自殺対策に取り組む72の民間団体が共同で抗議声明を発表する事態に発展していた。 「あなたもゲートキーパー宣言!」へ変更 内閣府サイトでも「ゲートキーパー」を紹介している。 自殺対策を担当する岡田克也副総理は2012年2月7日の会見で、「あなたもGKB47宣言!」を撤回し、「あなたもゲートキーパー宣言!」にすると発表した。「GKB47」は、「ゲートキーパー・ベーシック」の略と47都道府県を足したものだ。岡田副総理は「自殺の深刻さを十分にわきまえていないのではないか」という指摘が一部からあったことを理由に挙げた。 「ゲートキーパー」は、「悩んでいる人に気づき、声をかけ、必要な支援につなげる」などの活動をする人で、「ベーシック」には、専門家だけでなく国民全体で見守っていこう、という思いを込めていた。 「GKB47」に対しては2月6日、参院予算委で撤回要求が与党の民主党から出たほか、自殺対策に取り組む全国の72民間団体が、抗議声明をネット上などで公表し、撤回を求めた。 岡田副総理による撤回発表で、「一件落着」なのか。 実は抗議声明では、「もじり」問題だけではなく、「GKB」で訴えようとしていた「あなたもゲートキーパーに」との趣旨自体に対しても、「あまりにも無責任だ」と反発している。撤回後の新フレーズは「あなたもゲートキーパー宣言!」で、この抗議には答えた形になっていない。 「多くの関係者が傷つき、失望しました」 抗議声明に加わった「NPO法人 全国自死遺族総合支援センター」の杉本脩子代表に聞いてみた。 杉本代表は「問題は残りますが、容認範囲です」と答えた。「ゲートキーパー問題」については、「現場の取り組みはとても厳しいものです。ゲートキーパーは誰でもできますよ、と広く薄く呼びかけるのではなく、ゲートキーパーの質を高めていくべき時期なのです」と説明した。 自殺対策を担当する内閣府などには、「批判もあったが、マスコミに多く取り上げられ、ゲートキーパーという言葉の啓発などに結果的に役立った側面もある」といった声もある。 しかし、杉本代表は「当事者が言う言葉ではありませんね。単なる自己正当化に過ぎません。撤回はしたものの、これまでの政府の姿勢に対し、遺族を含めた多くの関係者が傷つき、失望しました」と指摘した。 その上で、一連の「GKB騒動」について、こう評価した。 「『内閣府を批判すればいい』ということではなく、自殺問題を原点に立ち戻って考える契機にするべきだと思います」 URL:http://www.j-cast.com/2012/02/07121424.html?p=all |
| << 前記事(2012/02/11) | ブログのトップへ | 後記事(2012/02/13) >> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
ゲートキーパーと初めて聞いてピンときたのが「天国、地獄の門番」そんな程度ですから、48「アイドルグループ」ではなく47と聞いて「赤穂浪士47士」何れにしても死ぬ事から離れられない。名は体を表すので、名前の言霊としては「裁き」はあっても「救い」が無い。この名前を一生懸命に考えた人には気の毒だが、中身と名前がチグハグなので、、、本業に一生懸命ならそんな言霊は生まれないのでしょうが、最初から上手いこと名前を付けたいだけでしょうからこんな事になる。いるんですよね、こう言う人、本来の仕事ではサッパリなので「命名」に時間掛けて格好いい名前を考え寝ずに考えてしたり顔の、でも本当は中身がちゃんとあれば名前なんて工夫しなくても、、、 |
白なまず 2012/02/12 06:30 |
御意見, 本当にその通り. |
ちび・むぎ・みみ・はな 2012/02/12 11:49 |
とても魅力的な記事でした!! |
履歴書の資格 URL 2012/02/13 10:43 |
| << 前記事(2012/02/11) | ブログのトップへ | 後記事(2012/02/13) >> |